平和な一日
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「ふぅ~、美味かった!
ご馳走さーん」
キルアがお腹を擦りながらソファーの背もたれにドカッと倒れた。
「ホントリンって料理上手だよね。毎日こんな美味しいの食べられるなんてクラピカ幸せだね」
相変わらず澄んだ瞳でストレートにお上手な事をおっしゃるゴンちゃん。
『えへへへ~ホント?
ホントにそう思う?』
「うん!クラピカが羨ましいな!」
『え~そうかな!?クラピカもそう思ってるかな!?』
「絶対思ってるよ!」
否定されないのをいい事に、何度も尋ねるリン。
その時、ゴンの携帯が買った時のままの地味な着信音を鳴らした。
どうやら相手はゴンの親代わりの人。
「まぁたミトさんからだ。携帯買ったって言ったら毎日のようにかかってくるんだよね」
そうブツクサ言いながらゴンは電話を取り、会話をしながら家の外へ出ていった。
部屋にはリンとキルアの二人きり。
キルアが急に無言になるのでリンは気まずくなり、空いた皿を片付けたり、コップにコーラを注ぎ足したりして間を持たせる。
するとキルアがふと大きな溜め息を吐き、リンはビクッと肩を跳ねさせた。
「…何びびってんの?」
『え!?あ、いや……』
睨むように目を細めてこちらを見遣るキルア。
「別に今更お前に手ぇ出したりなんかしねーよ」
『はぁ!?そっ…そんな心配なんか全くしてないよ!』
まだたった13歳の台詞とは思えない………
なんてマセた子なんだ!
リンは不覚にも少し動揺してしまった。
「なぁリン。今幸せ?」
足を組んでコーラ片手に、キルアが尋ねてきた。
『当たり前でしょ?多分世界一幸せだよ』
本当にこの上ない幸せそうな笑顔で答える。
キルアは「そっか」と言いながらコーラを一口飲んで、コップをテーブルの上に置いた。
ソファーの向かいにあるベットの上に座りながら、紅茶をすすっているリン。
二人の視線がぶつかり、そのままリンはキルアの青い瞳に捉えられ、動けなくなった。
見た事もない位真剣なキルアの表情。
うわ……
変だな、緊張するや…
リンは速くなっていく鼓動を静める為に、深呼吸をして酸素を多く取り入れようと心の中でもがく。
流れる沈黙。
──その静寂を破ったのは、キルアの方だった。
「なぁ、いっこ訊いていい?」
『ぶふっ!なっ、何?』
落ち着きを取り戻そうと紅茶を口に含む瞬間だった為、軽くビクついたと共に紅茶を少し吹き出した。
「…もし俺がさ…クラピカより先にリンと会ってたら何か違ってた?」
『……!』
言葉の終わりと同時に、キルアは顔を伏せた。
リンは瞬間、答えに詰まる。
キルアの真剣な瞳に誠意を持って答えるべきだと思い、その難しい問い掛けについて考えてみた。
もし、師匠と離れて一人になったあの日に出会ったのがクラピカではなくキルアだったら………
私の心はどうなっていたのかな───?
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