永遠の誓い
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どれ位寝ていたのか、目を覚ますと既に日は傾き始めていた。
ふと辺りを見渡すと、何故かそこは深い山奥で、林の奥に何やら見覚えのあるバンガローが建っている。
『ここは……』
「覚えているか?私達が出会い、三日間を共に過ごしたあのバンガローだ」
そう、そこは念修行を終えて師匠と離れ、一人で旅立つ日にクラピカと出会った山だった。
そして師匠を殺した男に撃たれたリンを、クラピカが三日間側にいて介抱してくれたバンガローが、あの日と変わらない姿で建っている。
クラピカは黙ってリンの手を引き、バンガローから少し下った梺近くへ連れていった。
『どこ行くの?』
「…もう着いたよ」
ここら一帯で一番太くて、大きく枝を広げた高い木を、クラピカは指差した。
「墓石も墓標もなくてすまない。
あの日、私がお前の師匠を埋めた場所だ」
『……!!』
クラピカが示したその大きな木を、リンは暫く眺めていた。
(師匠が…ここに…)
一歩…一歩…
ゆっくりとその木に歩み寄り、震える指で木の肌にそっと触れてみた。
一年と半年前…
撃たれて気を失ったリンをバンガローへ連れて行った後、クラピカはもう一度山を登ると、師匠の遺体を抱えて梺近くのこの場所まで降りて来た。
そして墓石や墓標の代わりになる物が見つけられず、代わりに一番目立つ木の下に埋めたのだ。
『師匠…ただいま…遅くなってごめんね……』
リンはその木に抱きついて涙した。
大きくて、立派に枝を広げ葉を繁らせて、ドンと太く力強いその木は、正に師匠そっくりだ。
温かくて命の息吹を感じる。
まるで本物の師匠にダッコされてるみたいだ。
クラピカは大木の足元に膝を着き、深く頭を下げた。
「リンを育てて下さった事、感謝します。
貴方の大切なリンを、どうか私に護らせて下さい」
『クラピカ……』
「必ず大切にすると誓います。だからリンを貰う事を、どうか許して下さい」
リンもクラピカの隣りに並んで座り、同じように頭を下げた。
『お願いします!クラピカと幸せになるから…だから見守ってて下さい…!!』
その時
そんな二人の言葉に応えるかのように、その場を一陣の風が吹き抜けた。
それはまるで師匠が
「おめでとう」
「幸せになれよ」
と言ってくれているようだった。
そして、リンの涙を優しく拭い去っていってくれたのだ。
『…ありがとう、師匠…また来るね』
そう言い残して、二人は師匠の眠るその地を後にした。
思い出のバンガローはシーズンオフで開いていなかったが、外から中を覗くと、当たり前だがまるで変わっていなくて、出会ったあの日が鮮明に思いだされた。
ここで全てが始まった。
懐かしくもあり、とても切なくなってくる。
人の出会いは奇跡。
それを今になって深く思い知る。
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