11日間の地獄
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それから五日が過ぎた。
クラピカは仕事を休んでリンをずっと見守り続けた。
キルアとゴンも、クラピカを休ませる為に病院に残っていたが、「少しでも寝てこい」と言って家族室へ送っても、クラピカはまた30分もしないうちに戻って来た。
何とか容態も安定し、リンは面会謝絶だが一般の部屋へ移された。
クラピカだけは家族として部屋の中でずっとリンの側にいた。
目を覚まさないリン…
それでも、ようやくガラス越しから触れられる距離になり、改めてリンが帰って来てくれた事を実感した。
キルアとゴンに聞いた話…
リンは覚えていないはずの私の事を必死で尋ねていたらしい
忘れたままなら…いっそ楽だったろうに―――
リン…
早く目を開けろ
その目で私を見ろ
覚えていなくてもいい
私を忘れたのなら、また一から出会い直せばいい
今度は私がお前を口説いてやる
お前に片想いというのも悪くないな
もう一度お前の心を奪って
今度はもう二度と離さない
お前が嫌がっても、この腕に閉じ込めて
誰にも見付からない場所で、そのまま二人だけで化石になってしまえばいい
リン
お前を失ったら、私はもう何もない
私の全てが終わる
だから目を開けてくれ…
クラピカは傷付いたリンの頬に手をあてて、ひたすら祈り続けた。
ふと、病室のドアの方に気配を感じた。
クラピカは振り返る前から、それが誰だかわかっていた。
「……何の用だ」
リンを見つめたまま、クラピカは冷たい声で一言放った。
静かにドアが開き、部屋の中へ入って来たのはクロロだった。
「…酷くやられたな」
その余りに冷静な声に、クラピカは勢いよく立ち上がり、憎悪に満ちた表情で振り返った。
「誰のせいだと思っている!」
病室じゃなかったら、そしてリンがこんな状態じゃなかったら、今この場で刺し違えてでも殺したい程だ。
しかしそれを全力で抑え、視線だけでクロロを刺した。
「よく…ここに来れたものだな。リンがこんな目に遭ったのも全て貴様が原因ではないか!」
「わかっている」
「ならば何しに来た!こんな状態のリンをまだ連れて行こうとでもいうのか!!」
大きな瞳は美しく朱く燃えている。
その緋色は、心の奥底から溢れ出す激しい憎しみを宿していた。
「…今更リンが俺のものになるとは思っていない。
今日はクラピカ、お前に渡すものがあって来たんだ」
そう言ってクロロは懐から1つの小さな箱を取り出した。
「…何だ、これは…」
クラピカは警戒心剥き出しの表情で、差し出された箱に視線を向ける。
「この箱にはリンの宝が入っている」
クロロは箱をクラピカへ投げ渡した。
「だが俺にはただのガラクタでしかない。捨てるのも面倒だからお前から返しておいてくれ」
クロロはそれだけ事済ませ、リンの寝顔を暫く見つめた後、病室から出て行った。
クラピカは、とりあえず渡された小箱を振ってみたが、何の音も重みもない。
よく見ると念の札が張り付けてある。
「まさか…」
クラピカはすぐにその中身の正体を察し、箱を持ったまま練を行った。
すると、ただの紙製の箱がカッと光り、蓋が飛ばされて中から箱の容量からは考えられない程、大きな何かが輝きながら飛び出してきた。
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