灯〜ともしび〜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
自分を呼ぶ声に、リンは俯いていた顔をゆっくりと上げた。
全身傷だらけで、ボロボロの体を引きずるように歩くリン。
既に目も霞んでよく見えない。
しかし、今自分の名前を呼んだ声───
優しく懐かしく、リンの胸を響かせた。
「リン!!」
満身創痍のその姿に、クラピカは抱えきれない不安が込み上げ、急いで走り寄った。
リンはとうとう力尽き、クラピカの腕の中へと倒れ込む。
「リン!大丈夫か!?何があったんだ!何故っ…!」
心臓がドクンドクンと鼓膜に響く。
体中から凄い出血だ。
リンが歩いて来た道を見ると、血の雫が点々と跡を残している。
クラピカは言葉を失った。
リンは力を振り絞ってようやく顔を上げ、霞みがかってよく見えない目の前の人物の顔を見つめた。
『あなたが……クラピカ……?』
「とにかくすぐに病院へ…!少しの間堪えてくれ!」
クラピカの体中から嫌な汗が止まらない。
すぐにリンを抱きかかえてノストラードの屋敷に車を取りに走った。
リンはクラピカに抱えられ、腕の中で大輪のような笑顔を咲かせた。
『クラピカ…………
会いたかった…………』
消え入りそうな声で、確かにリンはそう言った。
そしてゆっくり瞳を閉じた────
もう目の前が真っ暗で、彼のシルエットすら判らない
だけどこの声
この腕
温もり……
私は確かに知ってる
ああ……
私はここに帰って来たかったんだ
ずっとこの場所が恋しかったんだ
記憶の中から消えても
心はずっと覚えてた
離れてもずっと、ずっと
貴方が私を呼んでいた
ようやく会えたね
もう離れなくていいんだね
消えていく意識の中で
私は自分の生まれた意味を知った気がした
そうだ…あなたに出会うために
私、生まれてきたんだ…
リンは幸せそうに微笑みを浮かべ、静かに瞳を閉じた。
その頬には、綺麗な一筋の涙が伝っていた――――
~続く~