灯〜ともしび〜
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目の前に現れた記憶の糸をたぐり寄せようとした時、ヒソカがリンの腹に強烈な最後の一発を打ち込んだ。
『か、はっ…』
「まだここには入れてなかったね。中々良い防御だったよ◆
でもまだまだだな。次は楽しませてくれよ◆」
そう言い残して、ようやく死神は去って行った。
木を背にしていたリンは、その一発の威力を全く流せず、肋骨も内臓も破壊されて、口からは大量の血が噴き出した。
暫く咳き込んで血を吐き続け、うずくまっていた。
…ヒソカが途中で引き上げてくれるような事言うから、オーラを緩めちゃったよ…
随分長い時間、動けずにその場で倒れ込んでいた。
だがリンの頭にはもう、 " クラピカ " の元へ行きたい、その気持ちしかなかった。
早く行かなきゃ…
きっと待ってる…
心配してる…
私の大事な人
…"クラピカ"…
早く会いたい
リンは全身に走る激痛に耐え、ボロボロの体を何とか起こして、ゆっくりと立ち上がった。
そしてクラピカがいるであろうノストラードの屋敷に向かって、フラフラと歩き出した。
自慢の足が今は鉛より重い。
一歩踏み出す度に血がパタパタと地面に落ちる。
山の最後の下り坂を、リンは何度も転びながら、それでもひたすら下りていった。
その頃クラピカは、ようやく仕事が一段落して家に向かうところだった。
職務もハードな上にリンの事が毎日気掛かりで、クラピカは心身共に疲れ果てていた。
ノストラード邸の立派な門を抜けて、既に夕日も沈みきった薄紫の空を仰ぐ。
無意識に溜め息が漏れた。
仕事を終えると尚更頭の中はリンで一杯になり、胸が締め付けられて吐き気がした。
「…そういえば、さっきキルアから着信が入っていたな」
クラピカは携帯を取りだし、キルアにかけ直した。
「あ~クラピカ?いや、さっきの電話はもういいんだ。
リンが家の場所わかんないっつーからさ、クラピカに訊こうと思っただけだから」
「リン…?リンが見付かったのか!?今一緒にいるんだな!?」
唐突に舞い込んだ、何より望んでいた報告に、クラピカは思わず声を張り上げた。
「は?まだリンに会ってないのかよ?ノストラードの屋敷に来なかった?」
電話の先で、キルアとゴンが不思議そうに顔を見合わせた。
自分たちとリンが別れてからもう三時間程過ぎただろうか。
とっくにリンはクラピカと再会を果たしたのだと思っていた。
「どういう事だ?リンはこちらに向かっているのか!?
今どこにいるんだ!」
逸る心を抑える事ができず、クラピカは責めるように問いかけた。
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