呼ぶ声の元へ
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ゴン、キルアと分かれ、一人になって最後の下り坂を駆け降りる。
…その時だった。
林の奥から鋭いスピードで何かが飛んできて、リンはとっさに跳んでかわす。
『……!』
トン、と近くの木に刺さって止まったその正体は
──トランプ!!
『ヒソカ!!今更何!?
出てきなよっ!!』
トランプの飛んで来た方に向かって、リンが叫んだ。
すると、木の陰からヒソカがゆっくり姿を現した。
「くっくっく…嬉しいなぁ◆記憶はなくなっても、僕の事は覚えてるんだ?」
『ええ、残念ながら!
何の用?あんたの相手なんかしてらんないから!』
リンは無視して先を急ごうとする。
「行かせる訳にはいかないなぁ◆クロロと別れたのなら、僕と一緒に行かないか?」
『バカをお言いでないよ!答えはノー!!決まってるじゃんっ!』
進む足を止める事もせずリンはスパッと拒否した。
「それじゃあ僕と闘ってくれないか?それもノーなら…」
『!!』
走って坂を下っているリンの目の前に、一瞬にしてヒソカが立ち塞がる。
「…クラピカを殺す◆」
『はぁぁ!?』
リンはあまりに唐突なヒソカの申し出に、思わず声を張り上げた。
『い、意味わかんない!何で今更私とあんたが闘うの?それ何が目的?』
「僕のものにしたい◆けどそれがダメなら思いきり闘って君を壊す◆
…本当の君は強い。きっといい試合ができるはずだ…◆」
とても素敵な、殺試合(コロシアイ)……ってね◆
リンの顔の至近距離まで近付いて、笑いながら舌なめずりをするヒソカ。
リンは後ろに飛び退いて、怒りに燃えながら返事をした。
『すごい嫌だけど、やってやる!』
オーラで身を纏い、臨戦体勢を整える。
クラピカを殺す…?
"クラピカ"は私の大切な人なんだから…
そんなバカな事、絶対させない───!!
「何故彼に関する記憶を失っても尚、彼を守ろうとするのかな?」
手の内でトランプを切りながら、少しずつリンに近付いて来るヒソカ。
『何故って、好きだからでしょうね?私にもわかんないけど、心がどうしても彼の元へ戻りたいって思うんだ』
あんたなんかには説明したって無駄だろーけど…
「クロロ可哀想だね◆
ま、帰って僕が慰めれば済む事か。
君とこうして刃を交えるように…ね◇」
そう言い終わったと同時に、ヒソカがリンに向かって来た。
トランプで切りかかられたのを、瞬時に身を屈めて避ける。
しかし早くも二手が繰り出され、ヒソカからの回し蹴りをとっさに両腕でガードしたが、その強い威力に軽々と蹴り飛ばされてしまった。
そのまま太い木に体を打ちつけられる。
『ぐっ…っ』
痛い…こいつ本気だし!
リンはそのまま着地し、地面を蹴って今度は自分が向かっていった。
ヒソカの動きは見きれるのに、避けるのは間に合わない。
とりあえず何とかガードするが、体が軽すぎてやはり飛ばされる。
リンの攻撃は尋常でないその素早さでヒソカの体をかすめはするものの、有効なダメージは一切与える事ができない。
「思ったより手応えないな◆しぶとさは認めるけど◆」
何度も何度もヒソカの攻撃を受け、リンは既に体中が傷だらけになっている。
「どうしようかな…でもこのまま帰すのもつまらないし…◆」
リンの体に何度も切傷をつけたハートのエースを、口の前でちらつかせている。
「さて、どうするか◆」
ヒソカは作られたような妖しい笑みを浮かべ、血を流しながら膝をついているリンの目の前に佇み、見下ろした。
その姿はまるで
死神────
~続く~