呼ぶ声の元へ
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クロロと数日間暮らした廃ビルを後にして、ひたすら走り続けるリンに、後を追いながらゴンが尋ねた。
「ちょっと待ってリン!俺たちリンとクラピカが暮らしてる家の場所知らないんだけど!覚えてるの!?」
ゴンの呼び掛けにハッと我に返り、超高速の走りからいきなり立ち止まった。
車の急ブレーキのような鈍い音が地面に響く。
『そうか!わからない!何か足が勝手に動くから任せてたけど…!』
キルアが案の定といった顔で呆れている。
「だったら体は覚えてたんじゃねーの?とにかく帰巣本能に任せてみれば?」
『え!?でも今冷静になるとわかんない!間違ってるかもしんないし!』
「嘘、ごめんね。俺、余計な事言ったかな?」
『いや、ホントわかんないや!違うかも!』
キルアはとりあえずクラピカの携帯に連絡を入れてみるが、仕事中なのか繋がらない。
『てゆーか私…その人と一緒に住んでたの?』
頬を両手で覆って赤面するリン。
「何だよ、やらしーな。何想像してんだよ」
『ちが!!やらしーとか言うかな普通!!』
リンがキルアをポカポカ殴る。
「どうしよう?クラピカの職場を探せばいいのかな?」
『職場って?』
「マフィアの護衛。確かノストラードとかいう…」
『あ、それ私の職場!』
「え、仕事の事は覚えてんだ?」
『一緒に働いてたの!?それは全然覚えてない!』
驚きの事実ばかりだ。
三人はリンの案内(?)でノストラードの屋敷に向かう。
『てゆーか…私とその人…めちゃ仲良かったんだね…』
記憶から消え、まだ見ぬクラピカを想い、頬を染めて嬉しそうに呟く。
ゴンとキルアはそんなリンの横顔を見ながら、やっと心から安心した。
暫く走って、もうすぐノストラードの屋敷が見えるという所までやって来た。
『ほらもうすぐだ!行こう!』
リンは山の畦道をピョンピョン跳ねて越えていく。
すると、キルアが突然足を止めた。
ゴンがすぐに気付いて振り返る。
「どうしたの?キルア」
「再会も近いみたいだし、後はもう大丈夫だろ」
『え!!??』
先を急いでいたリンが、慌てて引き返して来た。
『なんで!?もう行っちゃうの!?やだよ!!』
いつものようにキルアの腕に飛びついてみてハッとした。
" こんな奴にやる為に、
お前を諦めたわけじゃねーよ ''
予想だにしていなかった告白が蘇り、活動の全てを停止させる。
恐る恐るキルアの顔を見ると、リンの心を全て見透かすように晴れやかに微笑んでいる。
キルア…
ホントに私の事…?
訊ける筈もなく、キルアの腕を掴む手が緩む。
「せっかくの感動の再会に俺たちがいたんじゃ邪魔だろ?後は二人でうまい事やれよ」
いつもの悪戯な笑顔でリンを小突くキルア。
本当は顔もわからない"クラピカ"を探し出せるか不安。
二人にはついて来て欲しい…
しかし、キルアの精一杯の想いが伝わってきて、そんな我が儘は言えなくなってしまった。
『…わかった。本当にありがとう、二人とも!』
リンは腕を放し、ゴンとキルアに満面の笑顔で礼を言った。
「大丈夫?ホントに場所わかる?」
『問題ないっ!また近いうちに絶対会おうね。約束ね!』
深く頷く二人を後にして、「それじゃあ」とリンは走り去った。
遠くなるリンの後ろ姿をずっと見つめ続けるキルア。
その背中を、ゴンは思いきり叩いてやった。
「キルア、かっこよかったよ!」
「ばっ…うっせーよ!」
二人は殴りあい、追い掛けあいながらその場所を後にした。
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