…って、誰…?
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この胸の痛みはなんだろう
ナイフで刺されたように、どうしようもなく酷く痛む
海の底にいるかのように息ができずに苦しい
濃い霧の向こうから誰かが呼んでる
手を差し伸べたいのに、体が動かない
キラキラ…キラキラ…
指の隙間から大切な何かがこぼれ落ちた
悲しくて悲しくて…
それが何を意味するのかもわからないのに
ねぇクロロ
助けてよ
ねぇ
貴方は……
誰?
リンはクロロに連れられ、その廃ビルの地下へと下りた。
古くて汚いビルの薄暗い階段を抜けると、そこには最近造られたような、新しくて綺麗な部屋があった。
家具も一級品が揃えられ、まるで一流ホテルのように凝った内装。
日は射さないが、それを除けばとても素晴らしいスイートルーム。
この廃ビルの地下にこんな部屋があるなんて誰も思わないだろう。
クロロはリンの腕を引き、部屋の真ん中にある立派なソファーに座らせ、自分はその足元に膝をついてリンの両手を握った。
「リン、これからここで暮らそう。帰る場所もないんだろ?ここなら不自由しない。何でもある。俺といよう」
内心少し緊張しながらも、クロロは何とか平静を装った。
『でも私仕事してるし…ノストラードの護衛…それに今日は何しにここへ来たんだっけ…?』
リンは不安気な表情で尋ねる。
「俺と暮らす為に来た。ノストラードは俺が何とでもする。仕事は辞めろ。金なら心配しなくていい」
『でも…』
「頼む。俺にお前を護らせてくれ」
どこか必死な声でそう言うと、クロロは小さく頭を下げた。
私…本当にどうしちゃったんだろう?
何だか頭がボーッとする
目の前にいるのがクロロだという事は認識できるけど、彼とどうやって出会ったか、彼がどんな人物なのか、イマイチ思いだせない
それにマフィアの護衛なんて仕事、自分が何故しているのかもわからない
全てが曖昧
まるで夢の中にいるようにフワフワと定まらない
リンは全てがどうでもよくなり、コクリと頷いた。
クロロは安堵し、リンを引き寄せて抱き締めた。
リンは全く抵抗しない。
『…どうしたの?』
自分の胸元にあるクロロの頭をそっと撫でる。
普通では有り得なかったはずのその状況に、クロロは自分でも驚くほど満たされた気持ちになった。
リンが傍にいる。
これから二人でここで暮らしてゆく。
どんな大きな盗り物より、喜びと達成感を感じた。
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