失うあの日
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三人が消えた後、クラピカは地図を探しに街へ降りた。
だが、リンが連れて行かれた場所は地図に載っている範囲を越えており、ダウジングしてもチェーンは反応しなかった。
──またリンをさらわれた───
ヒソカに……
クロロに……!
クラピカは地図を広げたテーブルを思いきり叩き、その場に膝をついた。
今、リンはどんな状況にあるのか
あの男に何をされているのか
考えただけで気が狂いそうになる
体が震える
「くそっ……」
殺しておけばよかった!
こんな事になるならヨークシンでパクノダとの交渉を破り、あいつを殺しておけばよかったんだ…!
元はといえば奴らが全て悪い
こちらが約束を違えようとも何も責めを感じる事などなかったのに…
律儀に交渉を守る必要も義理もなかったのに!
クラピカはひたすら自分の情けなさを責めた。
守ると約束したのに
何故、私は――――
「リン…っ、必ず見つける…無事でいてくれ…!!」
『で、そいつが私に何するって!?』
縛られながらも喧嘩腰で尋ねるが、クロロはそんなリンの様子を楽しそうに眺めながら答えた。
「簡単だ。リンから奴の記憶を奪う。
奴と過ごした日々、奴を想う心…出会った事すら全てな」
『……………は』
さっきの説明を聞いていなかったリンにとっては、まさに寝耳に水。
『……………』
余りにぶっ飛んだ内容に、リンの威勢までどこかへ飛んでいってしまった。
『…どーやって?…く、薬とか…?』
訳の解っていない顔をするリンに、クロロはしゃがんで側に寄り、説明した。
「この人にお前の中から鎖野郎の記憶だけ取り除いてもらうんだよ。そういう能力なんだ。
逆にこちらが設定した記憶をお前に埋める事もできる」
クロロの説明に、リンはポカンと口を開け、茫然自失となった。
驚愕…まさかクロロがそこまでするなんて…
凍り付いていたリンの表情が、だんだんと歪んでいく。
『いや…なんだけど…』
白く青く血の気が引いて、クラクラと地面が揺れているように定まらない視界。
クラピカを忘れる…?
有り得ない
無理だと思う
…思うのに…
クロロは本気だ
どうしたらいいの?
クラピカを忘れるという事は、私にとって死ぬ事も同然だ
それはまさに恐怖
リンの体が小さく震え出す。
それをクロロは優しく抱き締めた。
「大丈夫だ。怖くない。
痛みもないし、すぐに済む。目覚めた時には全てが終わり、お前も楽になっている」
それは、クロロにとって初めてのリンへの抱擁。
ずっとこうしてリンを腕の中に収める事を望んできた。
それがもうすぐ、永遠になる───
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