共鳴する想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クロロは閉じた瞳をゆっくり開き、クラピカの方を向いた。
「鎖野郎…クラピカ。ひとつ、取引しないか?」
「貴様の話を聞く気はない」
空気が一気にビリッと張りつめる。
「お前を殺せばリンが死ぬ。だからお前とは闘えない。旅団のメンバーにもお前を狙うのはやめさせる。
だからひと月。リンを俺に貸してくれ」
クロロはクラピカに"お願い"しているのだ。
「ふざけるな。つまらん戯言はよせ。死期が早まるだけだ」
クラピカは今にもクロロに飛びかからんという形相。
「それまでに緋の眼を全て集めてリンと一緒にお前に返す。
ひと月だ。必ずリンを守るから、ひと月だけ預けてくれ」
「黙れ!」
クラピカが鎖を投げ、クロロの目の前にピタッと突きつけた。
クロロは微動だにせず、クラピカを見つめている。
「頼む。ちゃんと謝罪の気持ちを込めながら大切に集める。最初で最後の頼みだ。
その代わり永遠にお前の事は狙わない。リンを…貸してくれ」
リンは張り裂けそうな胸を押さえながら、声を殺して涙を流す。
クロロ…なんでそんな事言うの
殺すとまで言っていたクラピカに頭を下げるの
…ひと月だけ私と過ごす為…?
そんなの苦しすぎるよ…!!
私からすれば、それがクラピカの為になるかどうかで判断するんだよ?
私はクロロを…好きじゃないんだよ……
クロロの眼前に突きつけた鎖が、クラピカの手から伝わる振動で微かに震えている。
この男は何を言っているのだ
リンをひと月貸せだと?
私を殺せばリンが死ぬから殺せないと言ったばかりではないか
永遠に狙わない代わりにという条件は意味を成さない
私は旅団など全く恐れていない
狙わないから…か
この上ない侮辱だな
狙うなら狙えばいい
旅団には屈しない
取引きもしない
必要がない
なのに…
私にはこの男の気持ちがわかってしまう
リンを想う、その気持ちが…
何故惹かれるかが…
ひと月…リンを預ければ全てが片付くのか?
リンの不安もなくなるのか?
ひと月後には仲間の眼も集まって、何事もなかったかのようにリンとまた暮らせるか?
……そんなはずはない
ひと月も傍に置いたら、尚更離せなくなるに決まっている
迷う必要はない
答えは───
「否、……だ!」
~続く~