裏切りの逢瀬
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リンは言葉も動きも止まってしまった。
その間にクロロの方が先に口を開いた。
「お前が俺のものになるなら鎖野郎を諦めてもいい」
その台詞に、止まっていたリンの時間が動き出した。
『……言うと思った。てゆーか条件は無しって言ってるでしょ?』
やっぱりクロロは最低なんだな
殺された仲間の復讐を、たかが一人の女を手に入れたいが為に諦めるなんて……
天秤のかけ方がおかしい
誠意のない、自分勝手な人……
『それで…仲間は納得するの…?』
「さぁ…でも蜘蛛のメンバーはウボォーを殺ったのがリンだとは知らない」
『そんなん私がしゃべるよ!』
「交渉成立後を仮定して話してるんだろ?ならお前もそんな事できるはずがない」
『交渉はしない!とにかくクラピカを諦めないなら私と闘いなよ!』
堂々巡りな会話…
嫌になる。でも引く事はできない。
「仮にお前と俺が闘うとしよう。俺に勝てると思うか?お前は俺に殺され、鎖野郎は大切な者を失い、めでたくまた独りぼっちだ。
心身ズタズタになったところを俺たちが狙い打ちにしてジ・エンド…それがお前の望むシナリオか?」
『……!』
ぐうの音も出ない…
確かに私はクロロには勝てないだろう
だけどクロロのものになってクラピカを裏切るのなら、闘って死んだ方がマシだ!
…いや、でもそれは自分勝手なのかな?
クラピカにとっては、そんな事で死なれたらきっと一生自分を責めて苦しむだろう…
ならどうする!?
クラピカを本当の意味で守るには、一体どうすればいいの………!?
クロロの手に落ちるのも裏切り
死ぬのも裏切り
でもこのままじゃクラピカは旅団に命を狙われてしまう
どうする事が正しいんだろう…?
リンはその場に立ち尽くし、悔しさの余り深く俯いた。
「クロロが嫌なら僕のところに来ればいい◆どうせこれからクロロと闘うしね◆」
『……………』
返事もしたくないっ…
「ゆっくり考えればいい。俺は急がないから」
私はそうはいかない!
今日、決断しに来たんだ…
許してもらうか、報復をもらうか…
…やっぱり闘うしかない!!!
リンは両手の拳をグッと握り、勢いよく顔を上げ、口を開いた。
───その時だった。
~♪~♪~♪~…
リンの携帯が、クラピカ専用の着信音を鳴らした。
『…!!』
しまった、音を切ってなかった!
慌ててズボンのポケットを探ろうとした。
―――が、瞬間、ふわっと風が通り、目の前にいたはずのクロロがいなくなった。
気付くと真後ろにいて、リンの携帯を手に持っている。
『!!!!どっ、どろぼー!!』
「はは、今更」
そうだ、こいつは正真正銘の泥棒だった!!
スリの技術も一流だ!!
(グレスとは比べ物にならない!)
『やめて、返して!何すんのっ!?』
携帯を奪おうとするリンからヒラヒラと余裕で逃げ回るクロロ。
『…やめ…電話取らないで!』
クロロの逃げ去る横顔がが一瞬ニッと笑った。
~♪~♪~…ピッ
「もしもし」
~続く~