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リンは今日の出来事を全てクラピカに話した。
一族に対する思いも、師匠に対する思いも、全て打ち明けた。
クラピカは黙って聞いてくれた。
『私は…やっぱりグレスや同胞を許せないんだ…狙われたから皆で死ぬなんて…おかしいよ。狂ってる…。誰も反対しなかったっていうんだよ?』
リンの話を聞いて、クラピカは真剣に何かを考えているようだった。
二人の間に少しの沈黙が流れ、そしてクラピカの穏やかな声がそれを破った。
「これは…私の勝手な推測だが…おそらくリンの師匠がその盗賊団だったというのは本当だろう」
『…うん…』
驚く様子もなく、リンも肯定した。
そう。それで全てつじつまが合う
たまたまで孤島なんか訪れない
目的があって…その目的っていうのもきっと…
それはわかってんだけど…
「そしてリンの一族が住む里へ訪れ、神殿に隠されていたリンを見つけて、側に置くうちに愛しさが生まれたのかもしれない。
何故なら、リンの家族だと偽って墓を作ってくれているのだろう?」
『ん?偽って?』
不思議そうに眉を寄せるリンに、クラピカは穏やかに微笑んだ。
「師匠が里へ来た時にはもう皆亡くなっていて、リンは一人神殿に隠されていたのに、誰がリンの家族かなどわかるはずもない」
『───!!』
そう言えばそうだ!
師匠は両親と祖父母の遺骨の一部をあの海へ連れて来てくれたと言った
考えてみればそうだ──
誰が私の家族かなんてわかるはずないんだ
じゃあ何故そんな嘘を…
その答えは、師匠の事を何も知らないはずのクラピカがくれた。
「お前が寂しくないように、少しでも家族を感じられるように、きっと師匠はそうしたんだ」
落ち着かせるようにリンの肩を抱き、そっと優しい声で。
『…本当に…そう思う…?師匠は……私をホントに大切に思ってくれてたって……』
「それはずっと一緒にいたお前が一番わかっているのではないか?」
夕焼けに赤く染められた微笑みが綺麗で。
クラピカの言葉が余りに嬉しくて。
「真実など、師匠がいなくなった今となってはわからない。本当の答えは、傍にいたお前の心に残されているはずだ」
リンの瞳が、クラピカを見つめたままユラユラと滲んでいく。
「また泣く…いい加減枯れてしまうぞ」
そう言って、リンをそっと抱き寄せる。
「その盗賊団、今は存在しないのだろう?お前が彼を止めたのかも知れないな」
『うっ…そっかな…凄いね、私……』
リンはふふっと笑いをこぼした。
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