初・旅行!
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割と足は速いみたいだな
でも私に敵うはずないのに…
リンはわざと誰もいない所まで導かれ、男がが止まるのを待った。
そして案の定、その男は追って来たリンの方を振り返り、ニヤッと笑った。
と、その瞬間、相手の手元で何かが光を反射した。
油断していた上に、相手の動きが意外にも速かった為、かわすタイミングが少し遅れ、リンの胸元をナイフがかすめた。
あっ、避けるんじゃなくて掴めばよかったのか!
どうせもう一撃くるだろうと待っていると、何故か男の動きが止まった。
こちらを見て、驚愕の表情を浮かべている。
不思議に思いながら男の視線の先を辿ると……
『───!!』
少し破れた服の裂け目から、胸元に輝く赤い宝石が覗いている。
思わず叫びを上げそうになった。
"バレれば殺される"という師匠の教えが、条件反射に頭をよぎる。
リンは即座にそれを手で押さえ、隠した。
『こっこれ!アクセサリーだから!!』
「デューナ……」
『?…はっ?』
「デューナ様…」
男の手から、力なくナイフが落ちた。
『私の名前はリンだけど。デューナじゃないよ』
しかめっ面で否定すると、その男は黙って左手の袖を捲った。
その腕には、リンと同じように幾つもの宝石が輝いている。
『…!?え!?なんで……!?』
訳がわからず戸惑っていると、その男はリンに歩み寄り、ひざまづいた。
「会いたかった…!お会いしたかった!!我々の神…!生きていると信じてました!!」
涙をボロボロとこぼし、リンに頭を下げたまま動かない。
リンは何が何やらわからずに、ただ困惑するばかりだ。
彼は涙を拭い、顔を上げてリンに真っ直ぐ瞳を向けた。
「俺の名前はグレス。今はなき一族、ジュエリストの生き残りです」
『な、何歳?』
「28です。あの事件があった頃は12でした」
自分にまさか同胞がまだ存在していたなんて思ってもいなかったリンは、とても不思議な気分でいた。
「あの日、ある集団が我々を狙って襲いに来るという情報が入ったんです。今はもう存在しない盗賊団でしたが…
我々は武術を一切心得ず、ただ自然の中で自由に平和に生きていました。体についた宝石を一族の誇りにし、余所の血は一切交えずに…」
初めて自分の真実が明かされる事に、リンの胸の中で期待と不安とが交錯していた。
「我々はその情報を得ても、里を離れるという事は考えませんでしたし、孤島だったので全員が島から出るのも不可能でした。
しかし闘う術もない。もし捕えられればこの体を売られ、晒され、一族の誇りすら汚されるだろう──。
全ては長老の判断で、我々は集団自害する事を決めたんです」
――――!!!
『嘘…みんなが死んだのは…自殺だったの?』
それは師匠から聞いていた話とは違うもの。
衝撃の事実に、リンの心は酷くショックを受けた。
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