発熱・過労
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隣りでリンが見つめる中、クラピカの瞳がゆっくりと開かれた。
『!…クラピカ…』
僅かに苦しげな声を漏らした後、クラピカは殺風景な天井を数秒見つめ、そしてリンの方へと視線を向けた。
「…リン…」
『クラピカ…クラピカ…よかった…』
二日ぶりに目を開けたクラピカの顔を見て、リンは涙を滲ませた。
握りしめる温かい手を、クラピカは力なくそっと握り返す。
「気がついたか!リンに大騒ぎで電話貰った時は驚いたぜ」
「貴方、丸二日以上も寝ていたのよ」
側についていたレオリオとセンリツも、クラピカに声をかける。
「…丸二日?…ボスは…競売はどうなった?」
「結局中止よ。来年からもないみたい。ボスも自宅へ帰ったわ」
クラピカはこんな時まで仕事の事を気にする。
「リン…すまなかったな、心配かけて…。
声、ちゃんと聞こえていた」
小さく首を横に振るリン。
『ホントよかった…。
あ、喉渇かない?お腹すいたでしょ?私、何か作ってくる!』
そう言って、ほとんど丸二日座っていた椅子を立ち上がる。
瞬間、リンの頭はスーッと風に当たったように涼しくなり、目の前が真っ白になった。
「おいっ!しっかりしろ…!」
ゆっくりと倒れ込むリンを、とっさにレオリオが受け止めた。
結局今度はリンが倒れ、クラピカの隣りのベットに寝かされた。
熱などはなく、寝食忘れて看病し続けた末の貧血、過労だった。
リンは大人しい寝息を立てながら、ぐっすり眠っている。
「ったく、クラピカが目覚めたと思ったら今度はお前かよ」
レオリオはぶつぶつ言いながらリンの側についている。
弱った体を何とか起こし、シャワーを浴びてきたクラピカが、レオリオに代わってリンの傍らに座った。
「このコ、あなたが寝ている間ずっと傍にいて手を握っていたのよ。
私達の言葉もきかずに食事や睡眠も一切とらなかった」
センリツの話を聞きながら、じっとリンの寝顔を見つめるクラピカ。
「あなた、本当に愛されてるのね」
「…ああ」
謙遜して否定する理由すらない。
それは、完璧なほどの"愛"だった。
リンの手をとり、自分の頬にあててみる。
ふわりと温かい。
「…ありがとう」
そう呟いてみたが、熟睡しているリンからの返事はない。
「私はどれだけ、お前に生かされ続けるのだろうな…」
クラピカはリンの寝顔にそっとキスをした。
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