理不尽な交渉
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「…私は、お前に失望されても仕方ないと思っている」
クラピカは振り返らないリンの背中を見つめながら言った。
「できれば、こんな自分をリンに見られたくはなかった。
我を忘れ、取り乱し、理不尽を強いる私など…」
暗く瞳を伏せるクラピカ。
リンはゆっくりと振り返る。
『…ねえクラピカ…痛い…?』
真っ直ぐに向き合い、見つめ合う二人。
『ホントはこんな事…望んでなんかいないよね?
こんな形で蜘蛛を抑えたかったわけじゃないのに…何でだろね……』
リンは微かに微笑みさえ浮かべている。
『クラピカは悪くない。なのに辛い思いばかり。そんな重たいの背負って…私じゃ…分けあえないの……?』
リンの澄んだ瞳が涙で滲んでいく。
「リン…」
『クラピカと一緒にいても…私、肝心なところで何もあなたの為にできない。
私、意味…ある?』
言葉が終わる前に、クラピカはリンを引き寄せ、抱き締めた。
「何もしなくていい。いてくれるだけでいい」
やっと振り絞るような、傷付き掠れた声。
「お前は私の生きる意味、そのものなんだ。だからどうか、泣かないでくれ」
クラピカの腕に力が篭り、リンの言葉はその胸に飲み込まれた。
クラピカ、嘘つきだ
いや、いつもはそう思ってくれてるのかも知れない
でも、クラピカがこうして一番辛い時、苦しい時に、結局私は何ができたろう?
初めてクラピカが私の声を無視した
ホテルのロビーで、変装したクラピカと目が合ってから今まで、クラピカは私の顔を一度も見なかった
私の存在の無意味さ…
大袈裟だけど、ホント、
「いなくていい」って
言われてるような気がしたんだよ
愛する心よりも
憎しみの心が何倍も強い
……すごく不幸な事だと思う
それが、彼の身に降りかかっている現実
『あのさ、クラピカ。お願いがあるの』
「何だ?」
『…クロロと、二人だけで話したい』
クラピカからゆっくりと体を離し、真摯に目と目を合わせた。
「だめだ。お前と奴を二人になどさせられない。例え鎖で拘束していても、本来なら口を利く事も許せない」
クラピカは眉を潜め、冷たく視線を逸らした。
『お願い。一生のお願いだから、クラピカ…』
リンはクラピカの袖を掴んで何度も懇願する。
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