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この男の落ち着き払った態度が気に入らない……
クラピカは非常に気が立っていた。
リンを旅団に入れるだと…?
正気じゃない
仮に本当にその気だとするなら、今ここで殺してやる……!
『ねえクラピカ、これからクロロをどうするの?』
「…人質としてパクノダと交渉するのに使う」
『なるほど…』
「それとリン、そいつの事を気安く名前で呼ぶな。不愉快だ」
『おっ…!?ごめんなさい!!』
そのやり取りを見ていたクロロが、ふっと笑みを零した。
「意外と嫉妬深いんだな。
リンが俺を呼ぶ事すら気に食わないとは」
「貴様っ…!」
ついに感情を抑えられなくなったクラピカは、クロロに掴みかかって殴ろうと腕を振り上げた。
『ちょっ…待ってクラピカ!ゴン…ゴンとキルアがっ…!』
「もしそいつを殺したら、俺がお前を殺るぜ!」
「クラピカ!」
周りが一斉に止めに入る。
クラピカは息を荒くしてクロロを睨みつけている。
リンはクラピカに抱きついた。
『クラピカ!』
どうしようもない怒りと憎しみと痛みが伝わってくる。
『クラピカ、大丈夫だよ、落ち着いて。わっ…私がいるじゃない……』
リンが何とかクラピカをなだめようとする。
最後の言葉は勇気を出して言ったものだった。
クラピカはリンの言葉には返事もせず、顔を見ようともしなかった。
リンはひどく落ち込んだ。
その代わりにクロロがずっと、微かに笑みを浮かべ、リンを見ていた。
クラピカはホテルに残った旅団に連絡を取り、センリツという心音を読む能力者がいる事を伝えた上で、パクノダ一人を呼び出した。
呼び出した先はリンゴーン空港。
リンはズキズキと痛む心を、一人、黙って撫でていた。
もうクラピカの心には今、私の存在はない……
隣りにいる事すら忘れているのだろう
クラピカ……
あなたが見た絶望は
それ程までに深い……
クラピカの隣りで、リンは溢れだしそうな涙を堪えていた。
~続く~