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クラピカはリンが気付いた事を感じ、一瞬だけ視線をくれた。
よかった……
クラピカがいる……!
その愛しい人の姿を見ただけで、リンの心には勇気が湧いてきた。
「ところでよぉ、この小娘は誰だ?」
ゴンに絡んでいた男がリンの存在に気付き、仲間に尋ねた。
「この子供と一緒にあたしたちをつけてたんだよ」
「団長の知り合いなんだよね?」
側にいた女性メンバー二人が説明する。
「ああ。今回の事が一段落したら旅団に入れようと思う」
『!!!?』
そのクロロの突然の言葉に、リンは仰天してクロロを見上げた。
「はあ?こんな小娘をか?それよりこっちの坊主を俺は推薦してーんだが」
「絶対に死んでも嫌だ!」
「だそうだ」
『わわわ私だって死んでも嫌だよ!!!意味わかんないよ!!何言ってんの!?』
リンは冷や汗をかきながら首を横に振り続けた。
クロロはリンの顔の目の前に近付き、囁くように言った。
「俺たちと来たら楽しいぞ。俺もお前がいたら暇をしなくて済みそうだ。
世界中、どこへでも連れて行ってやる」
逃さないと言わんばかりの至近距離で、クロロは余裕に溢れた微笑みを浮かべる。
漆黒の瞳に真っ直ぐ見つめられ、リンは動く事すらできなかった。
クロロは本気だ。
そんな様子を遠くから見ながら、クラピカは込みあげる殺気を何とか押し殺していた。
くっ………
リンに近付いて何をしている!
貴様らなどには指一本だって触られたくないのに……!!
クロロは更にリンへと詰め寄った。
『近い近い近い!!』
「まあまあ、蜘蛛だって悪い事ばかりしてるわけじゃない。入ってみればリンも気に入る」
リンはふっと表情を消して、真面目な顔で答えた。
『本当に、私が蜘蛛に入る事は絶対ない』
「何故だ?殺しをやるからか?」
『私の好きな人、あんたたちに家族を殺された。
私、クロロの事も許せない』
その言葉に、旅団員の空気がピンと張りつめた。
「…おい、てめぇ、鎖野郎と関係があるな」
「パク、リンとその子供を調べてくれ」
「何て訊こうか?」
「何を隠してるか、だ」
───しまった!!
何、こいつら鎖野郎が旅団に家族殺されたって事も調べてたの!?
私、馬鹿だぁ~!!
パクノダの手が、二人に伸びてくる。
ゴンとリンはギュッと目を閉じた。
やばい…どうしよう!!
「さぁ、何を隠してるの?」
──────!!!
その時だった。
レオリオの持ってきていたラジオから、七時の知らせが流れた。
その知らせと同時に、ホテルの中は闇に落ちた。
全ての明かりが消え、一瞬にして視界が奪われる。
その中で、目をつぶっていたゴンとリンだけが闇に慣れ、見えていた。
リンはすぐに自分を縛っていた女性団員の腹に一発、思いっきり蹴りを入れた。
「ぐっ…!」
リンを縛っていた糸が緩み、リンはスルリと抜けだした。
多分、ゴンも抜け出せたよね!?
今のうちに逃げるぞ!!
リンは絶を使って一瞬にしてその場を後にした。
しかし、ゴンは糸から抜け出す事ができていなかった。
リンは知らずにクラピカの元へ向かう。
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