命懸けの作戦
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「リンは私と共に行動するんだ。いつものように一人で勝手に予定を変え、動かれては困る」
クラピカのその言葉に、リンは怒って反論した。
『そんな事しないよ!どうして皆、いつも私の事を対等に見てくれないの!? 女だから!?
私だって闘えるし、念だって使えるもん!
仲間外れや守られてばっかなんて絶対ごめんだ!!』
言い終えると、息を切らせながら唇を噛んで俯いた。
私だって…
こんな時に、何もクラピカの役に立てないなんて嫌だ
クラピカと共に行動なんてしたら、盾になるどころか、守られるのはきっと私の方だ……
「……ゴン、リンも連れて行ってくれるか?」
『!』
溜め息混じりだが、そこでやっと妥協案が出た。
「あ、うん、わかった」
一瞬「えっ」という顔をしたが、ゴンも快く承諾してくれた。
「おいクラピカ!もし捕まったらどうすんだよ!何されるかわかんねーんだぞ!」
キルアは尚も必死に抗議する。
『大丈夫!絶対捕まらない!捕まる位なら作戦が失敗しても逃げる方を選ぶから!』
「一人より二人の方がうまく攪乱できるかもだし」
リンはフォローを入れてくれたゴンと顔を見合わせ、頷いた。
キルアはうんざりした顔で溜め息を漏らし、その場に背を向けた。
「…んじゃ、時間もったいねーから行くぜ」
さっそく旅団のアジトへ向かう。
残りの四人はキルアからの連絡で蜘蛛の動きを確認でき次第、車で追う流れだ。
外はひどい雨で、ゴンとレオリオは車を取りに駐車場へ向かった。
リンとクラピカはホテルの入り口で待つ。
二人の間に漂う居心地の悪い沈黙に、リンが口を開いた。
『あの…ありがとう、私の我が儘許してくれて…』
大分頭も冷え、少し申し訳なくなってきた。
「許してなどいない。予定変更は常に考えている」
クラピカはかなり不機嫌そうだ。その横顔に、リンも萎縮してしまう。
クラピカはリンの方へ向き直り、真っ直ぐに見つめて言った。
「先程はああ言ったが、状況次第ではお前が行く事は許さない。
例え予定通り、お前が奴らと接触する流れになっても、まずいと思えば私は作戦よりお前を優先する。それがどういう状況でもだ。
意味がわかるか?」
クラピカが強い瞳で、しかし冷静な声で続ける。
「お前が勝手をしたり無理をすれば、他の皆が危険な目に遭うかもしれないという事だ。
…それだけは忘れるな。
今からでも予定は変更できる」
そしてクラピカはリンから視線を空へ移し、数歩進んでリンから離れた。
クラピカがあんな事言うなんて…
私を優先すると言ったけど、私の為にこの仲間たちをクラピカが捨てる訳がない
何の見返りもなく、命を懸けて協力してくれようとする仲間を
クラピカは私に危険な事をさせない為に釘を刺したんだ
…本当はやっぱり納得してないんだね…
リンは胸が痛んだが、それでも身を引く気はなかった。
大丈夫
ゴンだけで行ったって
本人の自信も可能性も少ないんだし
私が必ずなんとかしてクラピカの作戦を成功させてみせる!
二人は駐車場からやって来たレオリオの運転する車に、無言で乗り込んだ。
この時確かに
クラピカの胸にはキシキシと嫌な予感が巡っていたのに────
~続く~