クモの壊滅
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『クラピカ!競売がもう始まってるんだって!』
現場から戻って来たクラピカに、リンが「急ごう」と促す。
『…やっぱ死体、本物だった?』
「……ああ」
『そう……』
クラピカの暗い顔。
やっぱり仇があっさり死ぬのは複雑なのかな……
いや、そんな簡単な心理じゃないよね
私にはきっとわからない
簡単に訊けもしない
リンは口をつぐんだ。
オークションの会場へ入ると、ちょうど最後の品が競りにかけられるところだった。
「さぁ、本日ラストの品は世界七大美色の1つ!
<緋の眼>でございます!!」
『………!!』
舞台の裾から女性がケースに入れられた緋の眼を運んできた。
リンは人の体から取り出された眼を初めて見て、声を失った。
隣りにいるクラピカの顔が見れない。
クラピカはフラッと会場の外へ出た。
ボスへ連絡し、競売の再開と、緋の眼が競りにかけられていると報告。
ボスからは金の上限はないから必ず競り落とすように言われた。
言われた通りクラピカは会場へ戻り、競りに参加した。
殺されて奪われた、誰かの眼……
生きていた頃は確かに、あの眼は色々な人、景色、世界を見ていたのだ。
その誰かの眼を……
沢山の人がお金を出して買おうとする。
喜々とした表情で、自分の物にする為に───
自慢する為?
眺めて楽しむの?
部屋に飾りでもするの?
リンはその異様な光景に、吐気を感じてしゃがみ込んだ。
そこへ、会場に戻って来たクラピカが手を上げ、競売に参加し始めた。
「三億五千!」
『!!』
リンはクラピカの顔を見上げた。
その横顔は、何も表情などうつしてはいなかった。
次々と上がる声をクラピカが更に押さえ、とうとう29億という莫大な額で競り落とすのに成功した。
リンの頬には幾つもの筋を作って涙が流れていた。
ただ、クラピカの心が痛くて痛くて……
それを感じるかの様に、リンの心も張り裂ける思いだった。
クラピカ…
辛いね…痛いね…
この眼は…
誰のだったんだろう
もしかしたら、クラピカの家族や友達のだったかも知れない……
クラピカは緋の眼を受け取ると、黙って会場を後にした。
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