クロロ
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暫くその場に立ち尽くし、リンにほどかれた手を見つめるクラピカ。
一瞬、仕事の事よりリンの身を案じて引きとめてしまった事に、ひどく落胆していた。
自分の弱さや甘さをかいまみた気がした。
「…こんなにも、自分の自信を砕かれるとは…」
大切なものができる。
それは弱点にもなる。
わかっていた事だ。
だが───
クラピカは見つめていた手をグッと握り、前を見据えて歩きだした。
関係ない。
とにかく今はやるべき事だけ考える。
走り去るリンの後ろ姿を脳裏に残しながら、クラピカは仕事に戻った。
その頃リンは、一階から順に巡って、最上階まで来ていた。
さすがに人はいない。
大丈夫そうだと判断し、クラピカの所へ戻ろうと振り返ったその時
何故か、ふと気になった。
『この部屋……』
誰かいる───
リンの体に緊張が走る。
旅団の誰かかも知れない。
度胸を決め、ドアノブに手を伸ばした
その時
ガチャッ
『わっ!』
内側からドアが開いた。
「あれ、こんなとこで何してんの?危ないよ一人じゃ」
中から一人の青年が出てきた。
黒いスーツに身を包み、額に深く包帯を巻いて、漆黒の瞳でこちらを見下ろしている。
『あ、ごめんなさい!
でもお兄さんも危ないよ!ここにはもうすぐ、幻影旅団っていう凶悪な盗賊たちがやって来るんだから!』
リンはいい聞かせるようにして、青年をキッと鋭く見上げる。
青年は「ぷっ」と小さく吹き出し、笑い出した。
『あー!信じてないな!?マジなんだから!早く逃げよう!連れてったげるから!』
リンは怒りながら青年の腕を引いて走り出した。
「お~い、どこ行くの?」
『脳天気だな!逃げんだよっっ!!』
リンは急いで階段を下ってゆく。
外ではまた爆発の音が鳴り響いた。
「君、足早いね」
『でしょ?てかホラ、聞こえたでしょ!今の爆発もきっと幻影旅団の仕業だから!もう奴ら、すぐそこにいるんだよ!』
リンは青年の腕をしっかり掴みながらも、五段飛ばしに下りている。
彼も難なく着いて来れているので、遠慮はしない。
「へぇ、そいつらそんなに強いんだ。じゃあ逃げても無駄かもよ」
その言葉にリンは立ち止まり、くるっと青年を振り返って言った。
『心配しないで!貴方はちゃんと逃がしてあげるよ!私が守ってあげるから大丈夫!!』
真っ直ぐに見据える強い瞳に、凛とした強い声。
青年は一瞬、息を飲んだ。
リンはまた前を向いて走りだす。
「……ねぇ、君の名前は?俺、クロロ」
『私はリン!15歳!』
「うわ、俺と11も違うんだ。若いな~」
『てか今そんな話してる場合!?ホント呑気だな!』
ツッコミながらも、リンはその青年の、何とも憎めない雰囲気に、毒気を抜かれていた。
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