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「……さっき言ったように、私から手放す事はできない。それに一緒にいて辛い想いをするのは、私ではなくお前だ」
『なんで?私は何があっても、クラピカの側にいて辛いなんて事は生涯ないよ』
「しかし…それでは…」
クラピカは本当に悩んだ。
大体こんな質問をリンにする事自体、おかしい事だとはわかっていた。
しかし、どうしてもやり場のない感情がここに存在している。
自分の行動がリンを犠牲にし、苦しめる。
使命を全うする意思だけは変えられないのに。
変えてはいけないのに。
…リンを傍に置く資格など、もとからなかったのだ。
それでも
…やっぱりリンを手放せない。
傍にいたい。
傍にいて欲しい。
『私はどんなにこの手が汚れても、例え腕や足をなくしても、それがクラピカの為になるなら構わない。
…命だって惜しくない。
てのが本音なんだけど…
』
リンは何故か申し訳なさそうに言った。
クラピカは長いため息をつき、右手で頭を支えて俯いた。
『もしクラピカが私を許してくれるなら、私はクラピカの傍にいたい』
離れようと言ってはみても、それが本当の気持ち。
それがリンの答えだった。
クラピカは顔を上げると、何も言わずにリンの手をとり、そっと口付けしてから自分の頬に当てた。
『…クラピカ?』
「すまない…私はずるい男だな」
15歳……まだ幼いこの少女に、私はどれだけの物をもらっただろう
リンといると、何故か優しい気持ちになれた
明るい笑顔につられて、全て忘れて心から笑った瞬間が何度もあった
誰かを愛しいと思う気持ちを、初めて知った
行き場のない感情を収める為に、私はお前に選択を突き付けて
お前自身の気持ちで、傍にいる事を選んで欲しかった
酷い男なんだ
それなのにお前はいつも―――
「リン……ひとつ頼みがある」
『う…何…?』
リンの表情が凍る。
嫌な想像をしているようだ。
クラピカは頬に当てていたリンの手を握ったまま下ろした。
「抱き締めさせて、くれないか?」
~続く~