【スキット】CP・准将・少将時代
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【とある岬にて】
ここはドレークが指揮をする隊の船上。
「准将、この大砲なんだが…」
「はい、それは…」
ドレークは部下達と船の整備をしていた。
その少し慌ただしい船にトンッと軽く乗り込む人影がひとつ。
『………』
ドレークはふと気配を感じ、後ろを振り返った。
「?…アルトか!?」
『やぁ』
その人影はアルト。いつも通りの無表情で返事をする。しかし…
「(……不機嫌だな)」
ピリピリと肌にアルトの“覇気”を感じる。ドレークはそれでアルトが不機嫌だとわかった。
覇気のおかげでドレークの部下達が固まっているのを感じ、ため息をつく。
「アルト、何かあったのか?」
『なんでわかるの?』
アルトは不思議そう尋ねる。ドレークは苦笑し、答える。
「まぁ、お前の“覇気”は正直だからな。…出来れば抑えてくれないか?おれの部下が当てられてしまう」
『!?……すまない』
アルトは自分が覇気を纏っていたとは思わず、素直に謝り覇気を消した。ドレークの部下達がふぅと息をつく。
「ところで、どうしたんだ?えらく不機嫌だが…」
『……クザンクンとケンカした』
「何!?」
アルトは眉間にシワを寄せながら答える。ドレークは驚いた。
「……もしかして飛び出して来たのか?仕事は?」
『サボる。今はクザンクンの側には帰りたくない』
「………」
いつもは仕事をあまりサボらないはずのアルトが即答。ドレークは軽く頭を抱えた。
「………はぁ。なかなか根が深そうだな。茶でも出そうか?」
ドレークの言葉にアルトは首を横に振る。
『いや、いい。ここじゃクザンクンに見つかるかもしれないから』
「……そんなに見つかりたくないのか?」
『うん。だからドレーククン、どこかサボれるいいとこ知らないかい?
クザンクンも知らないところがいいんだ』
「……難しい注文だな」
腕を組み考えるドレーク。
「ドレーク少将、あの岬はどうでしょう?」
ドレークの隣に居た准将が提案する。ドレークは一瞬驚いた顔で准将を見た。
「いいのか?あそこは……」
「ノティ少将ならば構わないと思います」
ドレークは准将の言葉を聞いた後、辺りにいる部下を見渡す。皆笑って頷いていた。
「……そうか。じゃあ准将、残りの仕事を頼んでいいか?」
「もちろんです。ここはお任せを」
「頼む。じゃあアルト、行こうか」
『どこに…?』
「お前の希望した、とっておきの場所さ」
アルトは首を傾げる。ドレークや部下達はいたずらっ子の様な笑みを浮かべた。
とある岬。
『ここは…?』
「ここは何十年も前に使われなくなった岬だ。元々少し入り組んでいるからか人が寄りつかない」
『へェ…。使われてない割には、キレイだね』
「ああ。実はおれ達の隊が整備している。少しずつだがな」
アルトは、えっ?とドレークを見る。
『?なんでそんなことを?』
「理由を聞かれると困るな。子供の秘密基地みたいなもんだ」
『秘密基地……?』
「作らなかったか?昔、子供の頃に」
『……。さぁ、どうだったのかな』
「?」
アルトは他人事の様に言い、岬を見渡す。
「変なことを聞いてしまったか?」
『いや。気にしないでくれ』
アルトの言葉にドレークは首を傾げつつ、話題を変えた。
「とりあえず、座るか。アルトの話を聞かないとな」
『あ…うん』
ドレークとアルトは地面に腰を降ろす。アルトは膝を立て、それを両手で包んだ。
ドレークは息をつく。
「ずいぶん落ち込んでいるな」
『初めてなんだ…ここまでケンカしたのは』
アルトはため息をつく。
「……?何があったんだ?」
『…僕とクザンクンの二人で行く“任務”があってね』
アルトが話し始める。
『詳しくは言えないけど、クザンクンから“殺すな”って命令が出てたんだ』
「……」
アルトは言いにくそうに沈黙する。ドレークは静かにアルトが話すのを待った。
『でも、僕がその命令を破った』
「“殺し”をしたのか……?」
ドレークが聞く。アルトは頷いた。
『“任務中”クザンクンを狙った奴らが居たから……“全員殺した”』
「………」
アルトは前を向いたまま、続ける。
『命令違反はわかってる…。けど、クザンクンに危害が加わるのを黙って見てられなかった』
「青キジ殿はその存在に気づいてたのか?」
『……うん。殺した後に“なんで殺さずに事を納められないのか”って……怒鳴られた。言い返したらケンカになって…』
「……」
ドレークはアルトの手がグッと力が入っているのが見えた。
それは今にも血が出るんじゃないかと思うくらいで、ドレークは言葉を紡げない。
アルトは吐き捨てる様に言う。
『僕の仕事は“殺し”なんだよ』
「……」
『……なのにクザンクンは僕に“殺すな”って言うんだ』
アルトは顔を膝に埋める。
そして声を、言葉を、絞り出す様に呟いた。
『それを…禁止されたら……僕がここにいる――………』
「………。アルト?」
『………』
あまりにも弱々しい声で最後の方が聞き取れなかった。
黙ってしまったアルトの肩にドレークは手を置く。アルトは顔を上げた。
「……アルト。おれも青キジ殿と同じ立場なら、きっと同じ命令をして、同じ様に怒るぞ」
『!?……なんで…?』
アルトの瞳が揺らぐ。ドレークはそんな顔をしたアルトを初めて見たため驚いた。
「(なんだ…?今のアルトは余裕が無さすぎる……)」
ドレークは困惑しつつも、アルトに話す。
「…これはあくまでもおれの意見だが、青キジ殿も同じだろう」
『………』
ドレークは静かに語る。
「おれはアルトに“自分は殺ししかない”っと思ってほしくない」
『?……わからないよ。僕から“それ”を外したら何も残らない。それじゃあ、ダメなんだ……!!』
「!?アルト、落ち着け」
ドレークはアルト宥める。
「何も残らないなんてことはないさ。お前はバイオリンを演奏出来るじゃないか」
『………そんなのみんな出来るよ』
「じゃあ“殺し”はお前しか出来ないのか?」
『……いや』
ドレークの核心をつく言葉にアルトは顔を下に向けた。
ドレークは続ける。
「おれに言わせれば、バイオリンの演奏の方が難しい。特にアルトの演奏はそこらの演奏者とは訳が違う」
『……?何が違うの……??』
アルトは首を傾げる。ドレークは笑顔でアルトの頭を撫でた。
「お前の演奏は“心に響く”んだ」
『響く……?』
アルトはドレークの言葉を理解するために繰り返した。
ドレークは頷く。
「ああ。最初は皆そういうものなのかと思ったが、違うんだな。……そういえば、青キジ殿ともそう話したことがある」
『………え!?』
アルトは驚いた。ドレークは頷く。
そしてドレークはアルトにしっかり目を合わせた。
アルトは緊張する。
「アルト、“心に響く演奏”が出来るお前が“殺し”だけなんか思うのが間違ってる」
『……』
「青キジ殿は、アルトにそれを知ってほしいかったんじゃないか?」
アルトはドレークから目を反らした。ドレークはふうっと一息つく。
「それにお前なら、殺さずに“気絶”させるくらい出来るだろ?」
『…あ』
「やっぱり気付いてなかったか」
『う………』
バツが悪そうなアルトの顔にドレークは苦笑する。
少し沈黙してからアルトが声を出した。
『……ドレーククン』
「なんだ?」
『今回は僕が悪いよね……?』
「任務の内容を知らないから絶対とは言えないが…。“命令違反”があるしな」
『………謝った方がいいよね』
「…そうだな。アルトが悪いと思ったんなら謝った方がいい」
『……』
アルトは立ち上がる。ドレークが尋ねた。
「どうした?」
『………。僕、謝ってくる』
アルトの言葉にドレークは微笑んだ。
「そうしろ。お前と青キジ殿がケンカしていたら周りが大変だ」
『……?ごめん、迷惑かけた』
「あ…いや、おれは迷惑じゃない。相談に来てくれて嬉しかったよ」
『良かった。……ねェ、ドレーククン』
「ん?」
『また、この岬に来ていい?』
アルトの問いにドレークは少し間をおいて立ち上がる。
アルトは返事がないのでもう一度尋ねる。
『ダメかい…?』
「いや、いいぞ」
ドレークは頷く。そして人差し指をたてた。
「ただし、ここに来るときは誰にも見つからない様にな」
『誰にも?』
「ああ。秘密基地だから、見つかってはダメだ」
ドレークは微笑む。アルトは、わかったと頷いた。
アルトは海に目を向ける。気が晴れた様だ。ドレークはその横顔をじっと見て、呼ぶ。
「……なぁ、アルト」
『ん?なんだい?』
「お前は“違う世界”を見たくないか?」
『……?』
アルトはドレークの言葉の意味が解らず、首を傾げた。
ドレークは真剣な目でアルトを見る。
「どうだ?」
『“違う世界”って言うのが何かわからない。けど……見れるものなら、見てみたい…かな』
「そうか」
アルトは素直に答えた。
ドレークは少しホッとした顔をする。
『???』
再び首を傾げるアルトにドレークは笑いかける。
「早く、青キジ殿の所へ行って来い」
『あ…うん。行ってくる。ありがと!』
アルトはドレークに手を振り、岬を後にした。
一人になったドレークは岬から海を眺める。ポツリと呟いた。
「…上手くはいかないな」
ドレークは苦笑し、腰に手を置く。
「本当はこの機会に二人を引き離す様、謀るべきだったか……」
あの表情の乏しいアルトが瞳を揺らす程嫌われたくない相手。
そして、これから自分たちにとって一番厄介になるであろう人物。
「……“青キジ”は手強いな」
ふうっと息をつく。そして先程まで一緒にいた友を思い出す。
「おれの作戦を知ったら、お前はどんな顔をするだろうな……」
いつか来るその日、お前はいつもみたいに笑ってくれるだろうか…
ドレークは目を瞑り、静かに岬にたたずんでいた。
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ここはドレークが指揮をする隊の船上。
「准将、この大砲なんだが…」
「はい、それは…」
ドレークは部下達と船の整備をしていた。
その少し慌ただしい船にトンッと軽く乗り込む人影がひとつ。
『………』
ドレークはふと気配を感じ、後ろを振り返った。
「?…アルトか!?」
『やぁ』
その人影はアルト。いつも通りの無表情で返事をする。しかし…
「(……不機嫌だな)」
ピリピリと肌にアルトの“覇気”を感じる。ドレークはそれでアルトが不機嫌だとわかった。
覇気のおかげでドレークの部下達が固まっているのを感じ、ため息をつく。
「アルト、何かあったのか?」
『なんでわかるの?』
アルトは不思議そう尋ねる。ドレークは苦笑し、答える。
「まぁ、お前の“覇気”は正直だからな。…出来れば抑えてくれないか?おれの部下が当てられてしまう」
『!?……すまない』
アルトは自分が覇気を纏っていたとは思わず、素直に謝り覇気を消した。ドレークの部下達がふぅと息をつく。
「ところで、どうしたんだ?えらく不機嫌だが…」
『……クザンクンとケンカした』
「何!?」
アルトは眉間にシワを寄せながら答える。ドレークは驚いた。
「……もしかして飛び出して来たのか?仕事は?」
『サボる。今はクザンクンの側には帰りたくない』
「………」
いつもは仕事をあまりサボらないはずのアルトが即答。ドレークは軽く頭を抱えた。
「………はぁ。なかなか根が深そうだな。茶でも出そうか?」
ドレークの言葉にアルトは首を横に振る。
『いや、いい。ここじゃクザンクンに見つかるかもしれないから』
「……そんなに見つかりたくないのか?」
『うん。だからドレーククン、どこかサボれるいいとこ知らないかい?
クザンクンも知らないところがいいんだ』
「……難しい注文だな」
腕を組み考えるドレーク。
「ドレーク少将、あの岬はどうでしょう?」
ドレークの隣に居た准将が提案する。ドレークは一瞬驚いた顔で准将を見た。
「いいのか?あそこは……」
「ノティ少将ならば構わないと思います」
ドレークは准将の言葉を聞いた後、辺りにいる部下を見渡す。皆笑って頷いていた。
「……そうか。じゃあ准将、残りの仕事を頼んでいいか?」
「もちろんです。ここはお任せを」
「頼む。じゃあアルト、行こうか」
『どこに…?』
「お前の希望した、とっておきの場所さ」
アルトは首を傾げる。ドレークや部下達はいたずらっ子の様な笑みを浮かべた。
とある岬。
『ここは…?』
「ここは何十年も前に使われなくなった岬だ。元々少し入り組んでいるからか人が寄りつかない」
『へェ…。使われてない割には、キレイだね』
「ああ。実はおれ達の隊が整備している。少しずつだがな」
アルトは、えっ?とドレークを見る。
『?なんでそんなことを?』
「理由を聞かれると困るな。子供の秘密基地みたいなもんだ」
『秘密基地……?』
「作らなかったか?昔、子供の頃に」
『……。さぁ、どうだったのかな』
「?」
アルトは他人事の様に言い、岬を見渡す。
「変なことを聞いてしまったか?」
『いや。気にしないでくれ』
アルトの言葉にドレークは首を傾げつつ、話題を変えた。
「とりあえず、座るか。アルトの話を聞かないとな」
『あ…うん』
ドレークとアルトは地面に腰を降ろす。アルトは膝を立て、それを両手で包んだ。
ドレークは息をつく。
「ずいぶん落ち込んでいるな」
『初めてなんだ…ここまでケンカしたのは』
アルトはため息をつく。
「……?何があったんだ?」
『…僕とクザンクンの二人で行く“任務”があってね』
アルトが話し始める。
『詳しくは言えないけど、クザンクンから“殺すな”って命令が出てたんだ』
「……」
アルトは言いにくそうに沈黙する。ドレークは静かにアルトが話すのを待った。
『でも、僕がその命令を破った』
「“殺し”をしたのか……?」
ドレークが聞く。アルトは頷いた。
『“任務中”クザンクンを狙った奴らが居たから……“全員殺した”』
「………」
アルトは前を向いたまま、続ける。
『命令違反はわかってる…。けど、クザンクンに危害が加わるのを黙って見てられなかった』
「青キジ殿はその存在に気づいてたのか?」
『……うん。殺した後に“なんで殺さずに事を納められないのか”って……怒鳴られた。言い返したらケンカになって…』
「……」
ドレークはアルトの手がグッと力が入っているのが見えた。
それは今にも血が出るんじゃないかと思うくらいで、ドレークは言葉を紡げない。
アルトは吐き捨てる様に言う。
『僕の仕事は“殺し”なんだよ』
「……」
『……なのにクザンクンは僕に“殺すな”って言うんだ』
アルトは顔を膝に埋める。
そして声を、言葉を、絞り出す様に呟いた。
『それを…禁止されたら……僕がここにいる――………』
「………。アルト?」
『………』
あまりにも弱々しい声で最後の方が聞き取れなかった。
黙ってしまったアルトの肩にドレークは手を置く。アルトは顔を上げた。
「……アルト。おれも青キジ殿と同じ立場なら、きっと同じ命令をして、同じ様に怒るぞ」
『!?……なんで…?』
アルトの瞳が揺らぐ。ドレークはそんな顔をしたアルトを初めて見たため驚いた。
「(なんだ…?今のアルトは余裕が無さすぎる……)」
ドレークは困惑しつつも、アルトに話す。
「…これはあくまでもおれの意見だが、青キジ殿も同じだろう」
『………』
ドレークは静かに語る。
「おれはアルトに“自分は殺ししかない”っと思ってほしくない」
『?……わからないよ。僕から“それ”を外したら何も残らない。それじゃあ、ダメなんだ……!!』
「!?アルト、落ち着け」
ドレークはアルト宥める。
「何も残らないなんてことはないさ。お前はバイオリンを演奏出来るじゃないか」
『………そんなのみんな出来るよ』
「じゃあ“殺し”はお前しか出来ないのか?」
『……いや』
ドレークの核心をつく言葉にアルトは顔を下に向けた。
ドレークは続ける。
「おれに言わせれば、バイオリンの演奏の方が難しい。特にアルトの演奏はそこらの演奏者とは訳が違う」
『……?何が違うの……??』
アルトは首を傾げる。ドレークは笑顔でアルトの頭を撫でた。
「お前の演奏は“心に響く”んだ」
『響く……?』
アルトはドレークの言葉を理解するために繰り返した。
ドレークは頷く。
「ああ。最初は皆そういうものなのかと思ったが、違うんだな。……そういえば、青キジ殿ともそう話したことがある」
『………え!?』
アルトは驚いた。ドレークは頷く。
そしてドレークはアルトにしっかり目を合わせた。
アルトは緊張する。
「アルト、“心に響く演奏”が出来るお前が“殺し”だけなんか思うのが間違ってる」
『……』
「青キジ殿は、アルトにそれを知ってほしいかったんじゃないか?」
アルトはドレークから目を反らした。ドレークはふうっと一息つく。
「それにお前なら、殺さずに“気絶”させるくらい出来るだろ?」
『…あ』
「やっぱり気付いてなかったか」
『う………』
バツが悪そうなアルトの顔にドレークは苦笑する。
少し沈黙してからアルトが声を出した。
『……ドレーククン』
「なんだ?」
『今回は僕が悪いよね……?』
「任務の内容を知らないから絶対とは言えないが…。“命令違反”があるしな」
『………謝った方がいいよね』
「…そうだな。アルトが悪いと思ったんなら謝った方がいい」
『……』
アルトは立ち上がる。ドレークが尋ねた。
「どうした?」
『………。僕、謝ってくる』
アルトの言葉にドレークは微笑んだ。
「そうしろ。お前と青キジ殿がケンカしていたら周りが大変だ」
『……?ごめん、迷惑かけた』
「あ…いや、おれは迷惑じゃない。相談に来てくれて嬉しかったよ」
『良かった。……ねェ、ドレーククン』
「ん?」
『また、この岬に来ていい?』
アルトの問いにドレークは少し間をおいて立ち上がる。
アルトは返事がないのでもう一度尋ねる。
『ダメかい…?』
「いや、いいぞ」
ドレークは頷く。そして人差し指をたてた。
「ただし、ここに来るときは誰にも見つからない様にな」
『誰にも?』
「ああ。秘密基地だから、見つかってはダメだ」
ドレークは微笑む。アルトは、わかったと頷いた。
アルトは海に目を向ける。気が晴れた様だ。ドレークはその横顔をじっと見て、呼ぶ。
「……なぁ、アルト」
『ん?なんだい?』
「お前は“違う世界”を見たくないか?」
『……?』
アルトはドレークの言葉の意味が解らず、首を傾げた。
ドレークは真剣な目でアルトを見る。
「どうだ?」
『“違う世界”って言うのが何かわからない。けど……見れるものなら、見てみたい…かな』
「そうか」
アルトは素直に答えた。
ドレークは少しホッとした顔をする。
『???』
再び首を傾げるアルトにドレークは笑いかける。
「早く、青キジ殿の所へ行って来い」
『あ…うん。行ってくる。ありがと!』
アルトはドレークに手を振り、岬を後にした。
一人になったドレークは岬から海を眺める。ポツリと呟いた。
「…上手くはいかないな」
ドレークは苦笑し、腰に手を置く。
「本当はこの機会に二人を引き離す様、謀るべきだったか……」
あの表情の乏しいアルトが瞳を揺らす程嫌われたくない相手。
そして、これから自分たちにとって一番厄介になるであろう人物。
「……“青キジ”は手強いな」
ふうっと息をつく。そして先程まで一緒にいた友を思い出す。
「おれの作戦を知ったら、お前はどんな顔をするだろうな……」
いつか来るその日、お前はいつもみたいに笑ってくれるだろうか…
ドレークは目を瞑り、静かに岬にたたずんでいた。
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