100day Challenge

31.デイサソ

2024/11/22 17:52
SS
 


「だーんな」
「何だ、デイダラ」

 人傀儡のメンテナンスに勤しんでいたサソリは、デイダラに後ろから抱き付かれて手を止めた。
 サソリのまろく冷たい頬に自分の頬をくっつけたデイダラは、そのひんやりした感触に癒されながら話し続ける。

「なぁ旦那、それ終わったらどっか出掛けようぜ、うん」
「どっかって何処へだよ」
「んー……買い物?」

 特に決めていなかったデイダラは、首を傾げる。それに呆れた様子のサソリ。

「せめて決めてから誘え」

 サソリは背中にデイダラを寄り掛からせたまま、傀儡の調整を再開した。その手付きを眺めながら、金髪の少年は笑う。

「だってオイラ……旦那と一緒ならどこだっていいんだ、うん」

 目的は共に出掛ける事であって、場所に拘りはない。同じ時間を共有できれば、それで。
 それを聞いたサソリは、僅かに目を見開いた。

「……クセェ事言ってんじゃねえよ」

 ややあって吐き出されたサソリの台詞は辛辣だが……付き合いの長いデイダラには、それが照れ隠しにしか聞こえなかった。

「なぁダメか? うん」
「……丁度切れそうな薬草があるから、買い物なら付き合ってやる」

 デイダラの追い打ちにそう返しながら、手元の工具を片付け始めるサソリ。途中で終えられた作業は、どう見てもひと段落付いているとは言い難い。なのに。
 デイダラは緩む頬を抑えられなかった。素直じゃない、この人のそういう所が。どうしようもなく……。

「大好きだぞ、旦那!」

 デイダラはサソリの小さな唇を自分のそれで塞ぐ。驚いたサソリだったが、口角を僅かに上げて……大人しくその口付けを享受した。
 遠い昔に失くしたと思っていた心が……満たされる気がして。





 11/22 いい夫婦(?)の日


 

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