100day Challenge

26.トビサソ(R-18)

2024/11/08 23:08
SS
 


 ※ サソリが生身





「飲め」
「エ!? 嫌ですけど!?」
「なんだ? 先輩の言うことが聞けねーってのかよ」

 台詞だけを聞けば、飲みの席でアルハラを受けている部下とアルハラしている上司の図。だがそうではないのは、サソリが手にしている物が酒の入ったグラスではなく、コルクで栓をされた小瓶であることからわかる。
 トビことオビトは、言われるがままサソリに着いてきてしまったことを激しく後悔した。誰かを探していたサソリに、トビとして仮面を被ったオビトが声を掛けたのがついさっきのこと。聞けばデイダラを探していたらしい彼は、まぁお前でもいいかとオビトの腕を掴んで己の自室へ向かった。その時点で既に嫌な予感はしていたオビトだが……。
 小瓶の中で乳白色の液体が揺れる。サソリが探していたのは……被験者だった。先日大蛇丸の実験室で奴が遺していった薬瓶を発見したサソリ。厳重に保管されていたソレが、一体どういう効果を持つのか確かめたかった。
 その為にデイダラを探していたが、特にアイツに拘る理由はないし、どちらかと言えば暁の見習い小僧であるトビを犠牲にする方が組織にとっても都合がいいだろう。そう説明すればオビトは抵抗を始めた。当たり前だ。

「いいから早く飲めよ、ホラ」
「嫌ですって! サソリ先輩が自分で試せばいいじゃないですか!」
「あぁ? 何でオレが訳のわからん液体を飲まなきゃいけねーんだ!」
「その“訳のわからん液体”を他人に飲ませようとしないでくださいよぉ!」

 言い争い、小瓶を押し付け合う二人。オビトはいざとなれば神威で逃げることは出来るが、できればサソリにその能力を見せたくはない。無力で何の術も持たない見習いだと思わせておきたかった。
 神威を使わずこの状況を打破するには……と思考を巡らせたオビトが取った行動は。

「もうっ! しょーがないですね……わかりました、飲みますよ!」
「最初からそう言っときゃいいんだよ……ホラ」

 観念したようにそう言って、片手をサソリに差し出すオビト。サソリは鼻を鳴らし、オビトに薬瓶を手渡す。
 オビトが瓶の栓を抜くと、軽い音と共にミルクのような甘い香りが辺りに漂った。大蛇丸が作ったにしてはマトモそうな……いや、あの毒蛇がマトモなモノを調合するとは思えない。それはサソリとオビトの思考が一致した瞬間だった。

「じゃあ……飲みますよぉっ……!」
「いいから早く飲、んぐっ!?」

 呆れ顔のサソリが口を開いた、その瞬間をオビトは見逃さなかった。その口に自分の指二本を突っ込み、閉じさせないようにする。そして。

「油断しましたね先輩! やっぱりこれは先輩が飲むべきですよーっ!」
「ふあへんあ! へめ……っ!?」
「まぁまぁ、何かあったらボクが責任取りますから~」

 思ってもいないことを言いながら、オビトはサソリの口に小瓶を傾けた。薬剤がオビトの指を伝い、サソリの口内へと滴り落ちていく。瓶の中身を全て注ぎ込んだオビトは、指を抜いて距離を取った。怒り狂ったサソリに殺されかねないと思ったからだ。
 だが。

(……アレ?)

 その場に頽れてしまったサソリに、オビトは首を傾げる。もしかして本当に劇薬の類いだったのだろうか。それは困る。只でさえ人手不足なのに、これ以上メンバーが減ってしまうのは……影クラスなどそう見つかるものではないから、補充も難しい。
 “計画”に支障が出てしまう可能性だってある。それだけは避けたかった。

「さ、サソリさ~ん……?」

 オビトは、サソリに恐る恐る近づいてみる。へたり込んで時折身体を痙攣させ、苦しそうな息を吐いているサソリ。その頬は真っ赤に染まり、瞳は熱に蕩けていて……思わず生唾を呑み込む。
 胸元を握り締める拳は白く、相当力を込めているようだ。それ程までに苦しいのだろうか。

「ぁつ……い……っ」

 途切れ途切れにそう言うので、急いで握っている箇所から手を外させ、マントのボタンを外してやる。
 そこでオビトは呆気に取られた。現れた黒いインナー越しに、二つの突起が主張していたから。しかもその部分だけ布地が濡れている。

(な、んだコレは……ッ)

 オビトは動揺しながらも、薄っぺらい布を取り出したクナイで引き裂く。すると先程の薬品と同じ、甘い香りが広がった。
 メッシュインナー一枚になったサソリ。網越しに見える胸部の慎ましやかな飾りは勃ち上がり、充血してピンク色になっていた。そして――その先端からは、サソリが呼吸する毎に……半透明の液体が漏れ出していて。

「どうし……っ、どうなってるんスか、コレ」
「知るかよ、っ……それ、飲んだら……急、に」

 震える手でサソリが指すのは、オビトが持ったままだった小瓶。その瓶には……先程までは書かれていなかった文章がはっきりと記されていた。

「ええーっと……“おっぱいが止まらなくなる薬”……っハァ!?」
「なん……ッ」

 その文章に度肝を抜かれたオビトと衝撃で固まるサソリ。おっぱい、というのはもしかして……二人してトロトロと溢れている液体に視線を向けた。

(ふざけんな、あのクソ蛇っ……!)

 サソリは内心で歯噛みする。というかおっぱいって何だ、女向けの薬だろうになぜ男にも効くんだ。あとそんなモン作ってどうする気だったんだ……等、苛立ちと共に疑問が生まれる。だがその答えを知るのは大蛇丸本人のみである。

「“母乳が出なくなるまで搾れば一旦は落ち着く”、“薬には催淫効果があり、そっちは数時間程度で切れる”……らしい、デスケド」
「クソが……っ」

 “そっちは”ということは、この……母乳は止まらない可能性が高い。
 唸るような声を上げるサソリだが、頬を染めたままでは迫力がない。それどころか……。オビトは手を伸ばしかけ、はっとして動きを止める。

(今オレは、何を……ッ)

 熱に当てられ、己の奥底に眠っていた筈のそういった欲が起き上がるのがオビトにはわかった。
 このままここに居ては不味い。そう判断し、部屋から出ていこうとしたが……。

「待て……っ」
「な、何スか……」

 サソリの前を通りすぎようとしたが、その一言で動けなくなってしまう。続く言葉を期待して……待ってしまう。

「お前、言ってただろ……責任、取れよ……っ♡」

 それは確かに、先程のオビトが口にした台詞だ。
 そして今のオビトには……あまりにも甘美な囁きだった。
 サソリを抱き上げ、ベッドの上に寝かせるオビト。そして彼は、その上に覆い被さった。

「仕方ない、望み通りにしてやる……」

 低い声で囁き、未だ濡れている二つの突起に触れるオビト。
 熱に浮かされた顔で、サソリが笑った。





 11/8 いいおっぱいの日


 

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