100day Challenge
25.サク♂サソ
2024/11/05 22:18SS
※ サクラ男体化、サソリ上忍if
木ノ葉隠れでは、合同中忍試験の真っ最中だった。急遽行われた予選が終了し、他里の忍達はそれぞれ帰路に着く準備を進めていた。次に木ノ葉へ来るのは本選が行われる一ヶ月後。
それは砂隠れとて例外ではない。木ノ葉から砂までは早駆けでも三日はかかる。今回は急ぎ帰る必要もない為、五日程度と見ていいだろう。
しかし疲れた……とサソリは宿の廊下を歩きながら眠い目を擦る。
そもそも、どうしてサソリが木ノ葉まで来ることになったのか。それは、本来四代目風影の子息子女達を担当していたバキが、出発直前で熱を出して倒れてしまったからだ。その為、風影補佐を勤め、以前から子供達と交流のあったサソリが担当する羽目になった……という訳だ。
夕刻には木ノ葉を出る為、頼まれていた土産物等の買い物に出たサソリだったが……。
「……あ」
「お前は……」
サソリが宿を出て人通りのない道に入った途端、出会したのがこの少年だった。
ピンク色の髪が陽光を浴びて艶めく。丸い翡翠色の瞳に見つめられ、サソリはたじろいだ。確かコイツは、予選敗退した木ノ葉のルーキーだった筈だ。名前は――。
「春野サクラ、だったか」
「っ、覚えててくれたんだ」
サソリが名前を口にするだけで、花が綻ぶような笑みを見せるサクラ。その純真な笑顔が疲弊した心身に沁みる。自分の周りにはいないタイプの清純な少年だ。何せ上司は
「えっと、どこか行くんですか?」
「あ? あぁ……今日の夕刻にはここを発つから、その前に土産でも買、」
「オっ、オレも手伝います!」
「……は?」
早く解放されたくて、素直に言ってしまったのが裏目に出た。サクラからの思いがけない申し出に固まるサソリ。反対に、サクラはキラキラと輝く目でサソリに迫る。この好機を逃してなるものか、という勢いのまま。
サクラにとってサソリは、憧れの上忍だった。我愛羅達砂の下忍は怖い者が多かったが、サソリと居る時だけはその雰囲気が柔らかくなる。きっと慕われているのだろう、とサクラがサソリを気にし始めたのはその時から。
自分の担当上忍であるカカシから聞いた情報によると、サソリは砂隠れでも指折りの手練れらしい。加えて目を引く容姿、細部にまで宿る美しさ……年頃の少年が夢中になるには、それだけで十分だった。
サソリと一度話してみたい、と考えていた矢先に訪れた千載一遇のチャンスだ。サクラは逃してなるものかと躍起になっていた。……サクラが抱いている感情はただの憧れではないが、彼がそれに気付くにはまだかかりそうだった。
「おい、近……」
「オレも丁度、買い物に行くところだったんです!」
「待て、だから近いって」
「それに土産物屋ならオレ、いい所知ってますよ!」
サクラに圧倒され、後ずさるサソリ。疲れているせいか、正面から密着するように迫ってくるサクラを上手く往なすことができない。
「ねっ、だからいいでしょう?」
「わかった、わかったから落ち着け!」
「え……!」
勢いに乗せられ、つい肯を返してしまったサソリ。了承を得られたサクラは、パアッと顔を明るくする。その眩しさにサソリは目を細めた。
「やった! じゃあ行きましょう!」
「ハァ……」
サソリは溜め息を吐きながら、スキップでもしそうなサクラの後ろを着いていく。もう何でも良かった。買い物を無事に終えられればそれで……。
まぁ、でも。こういうのも、たまには悪くない……かもしれない。口角を僅かに上げたサソリは、大きく一歩を踏み出した。
結ばれた
11/5 縁結びの日