100day Challenge

21.デイサソ

2024/10/28 16:26
SS
 


「……お前、いい加減執拗いぞ」

 今日もまたサソリの旦那の部屋に押し掛けて、旦那が人傀儡の調整を行っている傍で粘土を捏ねる。
 つい先日オイラは旦那に告白した。だっていうのに返事は「……そうか」の一言だけで、動揺というより困惑してた。その時点で返事はわかってたけど、それでも諦めきれなくて……今はアタックしてる最中ってワケだ、うん。

「いいだろ、邪魔してるワケじゃねーし……うん」
「気が散る。チラチラこっち気にしやがって」

 一刀両断された。……アタックっていったって、どうするのがいいかわかんねぇ。とりあえず一緒に居ればいいかと思ったんだけどな……難しいぜ、うん。

「別に……オレじゃなくてもいいだろ」

 零された言葉に、心臓が冷えた。
 否定して欲しいって意味じゃない、ただの疑問だ。行動原理を聞いて、オイラを否定する為の糸口を探すための。
 ……ああ。やっぱり旦那には、オイラの気持ちが伝わってない。

「ダメなんだよ……オイラは、旦那じゃないと……」

 吐き出した言葉は思ったより弱々しい。絞り出すみたいな声。
 サソリの旦那の手を握ってみる。されるがままの旦那、その目に表情はない。
 手は。当たり前だけど冷たくて、サソリの旦那が大切に扱う傀儡人形と同じ。オレもきっとその他大勢の一人。
 それが無性に、……寂しかった。




 

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