100day Challenge

19.トビデイ

2024/10/22 16:17
SS
 


「おいっトビ! どういうつもりだよ、うん!」

 デイダラの自室で、二人は対峙していた。一人は部屋の主であるデイダラで、両腕を一纏めにして片手で押さえ付けられ、壁際に追いやられていた。それを押さえ付けている張本人はトビ。
 日はとっぷりと暮れており、無機質な電灯の光が二人を照らす。

「センパイが悪いんですよぉ?」

 橙色の面のせいでその表情はわからないが、拗ねたような声色でデイダラに迫るトビ。デイダラは抵抗しようとはしているが、トビの力が強く抜け出せない。

「イタチさんのことばっかり追い掛けてボクのこと無視するから……」
「追い掛けてねぇ! その気色悪ぃ勘違いやめろ! うん!」
「だからオシオキっス」

 デイダラを拘束したまま、もう片方の手でその特徴的な面を右側にずらし、口元を露出させるトビ。
 デイダラはそれを見て、目を逸らしたい衝動に駆られる。嫌なわけではないが、トビと恋人関係になって日が浅いこともあり、未だにこういった行為には慣れていなかった。

「ホラ、目閉じてください」
「っ、うん……」

 急かすようなトビの言葉には、嫉妬の色が垣間見えて。デイダラの胸の奥が疼く。そっと目蓋を伏せれば、トビがその唇に噛みついた。僅かに開いていたデイダラの唇から咥内に侵入し、歯列をなぞり、舌を絡める。
 仕置きには甘すぎる口付けを堪能する二人。結局のところ、口実は何でもいいのかもしれない。
 こうして二人、現実を忘れ……甘い蜜の中で溺れられるなら。




 

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