100day Challenge
11.飛サソ
2024/10/05 23:56SS
※ 学パロ
初めてのキスはレモンの味。
なんて言い始めたのは一体誰なんだか。
「……下らねぇ」
「だってよォ、気にならねー?」
「ならねーな」
ダラダラと雑談しながら、オレはページを捲る。
チルな雰囲気、と言えば聞こえはいいが……ただのかったるい昼過ぎだ。勝手知ったる飛段の家で、オレはベッドの上で胡座をかいて雑誌を読み、飛段はカーペットに寝転んで漫画を読んでいる。
普段ならあと数人は集まるんだが、バイトだの家の用事だので二人のみの会合になった。
「なぁサソリー」
「っうぉ! おま、驚かせんなっ」
「してみねぇ?」
そして暇な男子高校生ってのは、碌なことを考え付かない。
いつの間にかオレの目の前まで来ていた飛段に驚き、肩を跳ねさせてしまった。飛段はオレの手から雑誌を取り上げ、その辺に放る。そしてオレに覆い被さってきた。
「……は、いやいやいや……冗談だろ?」
「だってよぉ、暇なんだもん」
「もんとか言うな気色悪ィ」
飛段を押し退けようとするが、中々手強くそれは叶わない。
つうか初めての相手が男だなんて冗談じゃねぇ。……なんてコイツに言えるか。
キスさえしたことがない、とは言えない男としての見栄。
「馬鹿、ふざけ、っ」
両腕を押さえつけられ、身動きが取れない。いくら身長差あるからってコイツ、力強すぎだろ!
ニヤっと笑った顔が次第に近づいてきて反射的に目を閉じてしまう。
「おま、マジやめ――」
――ふに。
唇に何かが触れる。見えなくてもそれが何なのか、察してしまう。
少し開いていた唇の間を舐められ、まずいと思った時にはもう遅かった。舌に侵入され、後はもう舐められたり吸われたり……翻弄されるばかりだ。
やっと解放された頃には、オレの息は荒くなっていた。身体の力が抜け、壁に凭れる。
「なー、何味だった?」
「……わかるかよ、バカ」
……クセになりそう、だなんて絶対に言ってやらねー。
レモンの日