年末年始


彼女の姉の生態


“あっという間に過ぎて、また過ぎて”


「おい」
「しょうがねぇだろ」

俺達の前でデジャヴする光景
テレビの前に鎮座する彼女
画面は《駅伝》中継
知らない人達は毎年の事
だが、俺達はそうはいかない
彼女はどうにも熱血?真剣?な人に夢中になりやすい性質らしい
今も駅伝のスタートからボロ泣き状態
自分の躰が苦しんでも泣かないのに
どうなってんだよ
いつかの1日がかりのマラソンに比べればマシかも
ただし、その間俺達は完全空気扱い
横からチョッカイ出そうものなら良くてシカト
間が悪ければ、拳が飛んでくる
最近は諦める事を覚えた俺達
ひとまず今回の駅伝は放置する事にしておいた
お互いの得意分野で今日の家事を片付ける

「まさかと思うがこれから」
「言って後悔するのは一人でやってろ」

自覚したく無いものを突きつけられるとつい遠回りしたくなる
お互いにそれ以上言うのは無し


二日間の駅伝が終わり
やっと振り返った彼女に
空気扱いされた分を取り戻すように俺達はしがみつく
子供みたいだと笑うけど
結構キツイぞ
同じ空間にいて認識されないって

「あ、遅くなかったけど」

あぁ、一応自覚はあったんだ
ホッとしたのも束の間

「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「「よろしくお願いシマス」」

今年も頼むよ、本当に

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