短編夢まとめ
「ふあ……、」
もそもそと、ベッドの中で何度か身を捩る。重たい瞼を押し上げたら、私のことをまっすぐに見つめてくれている……大好きなアイスブルーの三白眼が、真っ先に視界に入った。
「よお。やっと起きたか」
「……おはようございます、れもねーどさん……」
眠気が残っている私の声を聞いて、レモネードさんは「まだ寝足りねえのかよ?」とおかしそうに笑っていた。さらさらと私の髪を掬って、梳いてくださる手付きはとても優しくて……心地よくて、また眠りの世界へと誘われてしまいそうになる。
「……んう、いま、おきます……」
けれど、そういうわけにもいかないから。まだ気だるさの残る体を叱咤して、私はベッドから起き上がった。素肌に冷たい空気が当たって、幾分か眠気が覚めていく。
「ッ……!」
意識が少しずつはっきりしていくと、今度は腰から鈍い痛みを感じる。それは昨夜……レモネードさんと体を重ねた証拠の痛みだ。初めてじゃないのに、もう何度も経験していることなのに……思い出すと恥ずかしくなって、頬がかあっと熱くなった。
「ケケケ……何顔赤くしてんだよ。相変わらず初だな、てめえは」
「だ、だって……! うう……。あまり、意地悪言わないでください……」
私の反応を見て、レモネードさんは楽しそうにからかってくる。余裕のある……大人っぽい表情と言い回し。レモネードさんには、私の心情など全てお見通しなのだろうなって思う。
「……私、とりあえずお風呂に入ってきますね……」
「あぁ? 待てよ」
腰の痛みを抑えつつ、少しよろけながらバスルームへと向かおうとしたら……レモネードさんに腕を掴まれた。どうしたのだろう?と思っているのも束の間、次にレモネードさんの口から飛び出た言葉に……私はフリーズすることを余儀なくされる。
「そんな生まれたての子鹿みてえにふらつかれてたら、オレさまも気が気じゃねえんだよ。……だから、責任取って風呂、入れてやる」
「…………はい?!」
レモネードさんから言われた言葉に、私は素頓狂な声を上げてしまった。
一緒に……お風呂……?
レモネードさんと……?!
「だ、大丈夫ですっ! レモネードさんのお手を煩わせるわけには……! きゃっ?!」
「んなこと気にしてんじゃねえ。……オレもまだ風呂入ってねえんだよ。だからついでだと思っとけ」
そ、そういうことではないのですが……?!と突っ込む暇もなく、レモネードさんは問答無用で私の両脇に手を差し込むと、そのまま軽々と抱き上げてしまった。ばたばたと足を動かしてみても、レモネードさんは「おとなしくしてろ」と言うだけで、全く引く様子がない。
(恥ずかしい、けど……っ! レモネードさんは多分……引いてくれませんよね……)
一度決めたら、レモネードさんは絶対に曲げないことを知っているから……。私は羞恥心を堪えて、レモネードさんの腕の中におとなしく収まることにした。
……そうこうしているうちに、あっという間にバスルームへと辿り着く。がらり、と扉が開くと同時に、バニラミルクのような甘い香りがした。ちらり、と浴槽を見遣ると、既に乳白色のお湯が張られていた。
……レモネードさん、お風呂の準備をしていてくださっていたんだ……。
「暴れるなよ」
ぼーっとしていたら、レモネードさんはいつのまにかシャワーヘッドを手にしていた。私はそれを見て、思わず目をぱちくりとさせてしまう。
「え、えと……! レモネードさん! さ、流石に……身体は自分で洗えますよ……?!」
「ケッ、ここまで来て何言ってやがる。……いいから、てめえは黙ってオレさまに世話されてりゃいーんだよ。……目瞑れ」
「ううっ……! わ、かりました……」
観念して、言われるがままに目を瞑ることにした。すると、ちょうどいい熱さのお湯が、頭から爪先まで……隈なく注がれる。
髪を丁寧に洗われた後。レモネードさんの指先が、まるで壊れ物を扱うかのような優しい手付きで……私の身体を綺麗にしていく。
「んっ……!」
「……何? くすぐってえの?」
レモネードさんの手が、私の身体を滑る度に……声を上げてしまいそうになる。びくり、と身体を震わせている私を見て……レモネードさんはくすくすと笑っていた。悪戯っぽいその笑みに……どきどきと心臓が高鳴っていく。
「そういうわけでは、ないのですが……!」
レモネードさんに触れられて、感じてしまっているだなんて……とてもじゃないが言えるわけがない。レモネードさんはただ、私の身体を洗ってくださってるだけなのに……。昨日もあんなに、えっちなことをしたのに……また、レモネードさんを求めたがる自分の身体のはしたなさに、恥ずかしくなる。
「……逆上せたら元も子もねえから……また後で、な?」
「ひゃっ……?!」
耳元で囁かれた後、ちゅ、と唇を落とされた。不意打ちにされたキスに……私はもうどきまぎとするしかない。
……本当に、レモネードさんには何もかもがお見通しみたいで……敵わないなあ。
一通り身体を洗われた後、また身体を抱き上げられる。バスミルクが溶け込んだお湯に、レモネードさんはゆっくりと私の身体を下ろした。
「……あったかいです。入浴剤も……本当にとっても良い香りで……」
「ケッ、そりゃよかったな」
心地良いお湯に、癒やされていく感覚。身体から自然と力が抜けて……レモネードさんの胸板に、背中を預けるような形になっていた。
「れもねーどさん……だいすきです……」
「知ってる」
私は、レモネードさんにとても大切にされている。そう実感する度に……彼への愛しさがまた、止まらなくなった。
もそもそと、ベッドの中で何度か身を捩る。重たい瞼を押し上げたら、私のことをまっすぐに見つめてくれている……大好きなアイスブルーの三白眼が、真っ先に視界に入った。
「よお。やっと起きたか」
「……おはようございます、れもねーどさん……」
眠気が残っている私の声を聞いて、レモネードさんは「まだ寝足りねえのかよ?」とおかしそうに笑っていた。さらさらと私の髪を掬って、梳いてくださる手付きはとても優しくて……心地よくて、また眠りの世界へと誘われてしまいそうになる。
「……んう、いま、おきます……」
けれど、そういうわけにもいかないから。まだ気だるさの残る体を叱咤して、私はベッドから起き上がった。素肌に冷たい空気が当たって、幾分か眠気が覚めていく。
「ッ……!」
意識が少しずつはっきりしていくと、今度は腰から鈍い痛みを感じる。それは昨夜……レモネードさんと体を重ねた証拠の痛みだ。初めてじゃないのに、もう何度も経験していることなのに……思い出すと恥ずかしくなって、頬がかあっと熱くなった。
「ケケケ……何顔赤くしてんだよ。相変わらず初だな、てめえは」
「だ、だって……! うう……。あまり、意地悪言わないでください……」
私の反応を見て、レモネードさんは楽しそうにからかってくる。余裕のある……大人っぽい表情と言い回し。レモネードさんには、私の心情など全てお見通しなのだろうなって思う。
「……私、とりあえずお風呂に入ってきますね……」
「あぁ? 待てよ」
腰の痛みを抑えつつ、少しよろけながらバスルームへと向かおうとしたら……レモネードさんに腕を掴まれた。どうしたのだろう?と思っているのも束の間、次にレモネードさんの口から飛び出た言葉に……私はフリーズすることを余儀なくされる。
「そんな生まれたての子鹿みてえにふらつかれてたら、オレさまも気が気じゃねえんだよ。……だから、責任取って風呂、入れてやる」
「…………はい?!」
レモネードさんから言われた言葉に、私は素頓狂な声を上げてしまった。
一緒に……お風呂……?
レモネードさんと……?!
「だ、大丈夫ですっ! レモネードさんのお手を煩わせるわけには……! きゃっ?!」
「んなこと気にしてんじゃねえ。……オレもまだ風呂入ってねえんだよ。だからついでだと思っとけ」
そ、そういうことではないのですが……?!と突っ込む暇もなく、レモネードさんは問答無用で私の両脇に手を差し込むと、そのまま軽々と抱き上げてしまった。ばたばたと足を動かしてみても、レモネードさんは「おとなしくしてろ」と言うだけで、全く引く様子がない。
(恥ずかしい、けど……っ! レモネードさんは多分……引いてくれませんよね……)
一度決めたら、レモネードさんは絶対に曲げないことを知っているから……。私は羞恥心を堪えて、レモネードさんの腕の中におとなしく収まることにした。
……そうこうしているうちに、あっという間にバスルームへと辿り着く。がらり、と扉が開くと同時に、バニラミルクのような甘い香りがした。ちらり、と浴槽を見遣ると、既に乳白色のお湯が張られていた。
……レモネードさん、お風呂の準備をしていてくださっていたんだ……。
「暴れるなよ」
ぼーっとしていたら、レモネードさんはいつのまにかシャワーヘッドを手にしていた。私はそれを見て、思わず目をぱちくりとさせてしまう。
「え、えと……! レモネードさん! さ、流石に……身体は自分で洗えますよ……?!」
「ケッ、ここまで来て何言ってやがる。……いいから、てめえは黙ってオレさまに世話されてりゃいーんだよ。……目瞑れ」
「ううっ……! わ、かりました……」
観念して、言われるがままに目を瞑ることにした。すると、ちょうどいい熱さのお湯が、頭から爪先まで……隈なく注がれる。
髪を丁寧に洗われた後。レモネードさんの指先が、まるで壊れ物を扱うかのような優しい手付きで……私の身体を綺麗にしていく。
「んっ……!」
「……何? くすぐってえの?」
レモネードさんの手が、私の身体を滑る度に……声を上げてしまいそうになる。びくり、と身体を震わせている私を見て……レモネードさんはくすくすと笑っていた。悪戯っぽいその笑みに……どきどきと心臓が高鳴っていく。
「そういうわけでは、ないのですが……!」
レモネードさんに触れられて、感じてしまっているだなんて……とてもじゃないが言えるわけがない。レモネードさんはただ、私の身体を洗ってくださってるだけなのに……。昨日もあんなに、えっちなことをしたのに……また、レモネードさんを求めたがる自分の身体のはしたなさに、恥ずかしくなる。
「……逆上せたら元も子もねえから……また後で、な?」
「ひゃっ……?!」
耳元で囁かれた後、ちゅ、と唇を落とされた。不意打ちにされたキスに……私はもうどきまぎとするしかない。
……本当に、レモネードさんには何もかもがお見通しみたいで……敵わないなあ。
一通り身体を洗われた後、また身体を抱き上げられる。バスミルクが溶け込んだお湯に、レモネードさんはゆっくりと私の身体を下ろした。
「……あったかいです。入浴剤も……本当にとっても良い香りで……」
「ケッ、そりゃよかったな」
心地良いお湯に、癒やされていく感覚。身体から自然と力が抜けて……レモネードさんの胸板に、背中を預けるような形になっていた。
「れもねーどさん……だいすきです……」
「知ってる」
私は、レモネードさんにとても大切にされている。そう実感する度に……彼への愛しさがまた、止まらなくなった。