短編夢まとめ
「てめえ、いつまでオレのことさん付けで呼ぶつもりだ?」
「……え?」
ムスッ、といつになく不機嫌な面持ちと声音で、レモネードさんは私に問い掛ける。あまりにも唐突だったその問いに、私は素頓狂な声しか出せなかった。
「……いい加減、呼び捨てで呼べっつってんだろ」
「うっ……! そ、それは……!」
じとりとした目で見据えられ、私は言葉を詰まらせるしかない。
……レモネードさんが望むことは、私にできる範囲で叶えたいと常日頃思っている。けれど……レモネードさんに度々言われる「呼び捨てで呼べ」というお願いだけは……どうしても、実行できないでいるのだ。
「レモネードさんを呼び捨てでなんて……呼べないですっ! それに、さん付けで呼ぶのは……私にとっては口癖に近いようなものですし……」
「……一部の奴等にはさん付けじゃねーだろーが」
「そ、それは……! ルッコラちゃんやコロッケくんは私より年下だからで……っ!」
わたわたと説明しても、レモネードさんの機嫌はなかなか治らない。……要は、他の人とはまた違う……特別な呼び方をすればいいのだろうか?
「じゃ、じゃあ……レモネードさまは……どうでしょうか?」
「あぁ?! なんで距離感遠退いてんだよ〜!!」
「いひゃい!! いひゃいれす〜!!」
むにむにと頬を抓られて抗議される。……こ、こんなにも分かりやすく怒って拗ねていらっしゃるレモネードさんは本当に珍しい……! ……今までずっと、呼び捨てで呼んでほしいって仰っていたから……いよいよ我慢の限界が来てしまったのかもしれない……!
「……オレとてめえは、対等だろうが。いつまでもどっか距離置いたような呼び方してんじゃねえって……言いてえんだよ、ニコラシカ」
私の頬を抓っていたレモネードさんの指先は、いつの間にか私の頬をいたわるような撫で方に変わっていた。
……レモネードさんの表情は、ほんの少し寂しそうに見えて、私は胸が痛む。距離を置いているつもりはないのだけれど、レモネードさんが、そんなふうに思っていたなんて知らなかった。
「ごめんなさい、レモネードさっ……!」
言葉は最後まで声にならず。ぐい、と引き寄せられて、そのまま柔らかな感触が唇に当たっていた。
「……てめえがオレのこと、呼び捨てで呼べるようになるまで何度も唇塞いでやるよ」
「はわっ……?! そ、そんなのずるいですっ!」
にやにやと不敵な笑みを溢して、レモネードさんはとんでもないことを仰られる。わたわたと抗議しても、レモネードさんは慌てふためく私の姿を、どこか楽しそうな表情で見つめているだけだった。
「だったら、早くオレのこと呼び捨てで呼べるようになるんだな」
レモネードさんの親指が、私の唇を優しく撫でる。その感触に、私は頬が一気に熱くなった。
「……え?」
ムスッ、といつになく不機嫌な面持ちと声音で、レモネードさんは私に問い掛ける。あまりにも唐突だったその問いに、私は素頓狂な声しか出せなかった。
「……いい加減、呼び捨てで呼べっつってんだろ」
「うっ……! そ、それは……!」
じとりとした目で見据えられ、私は言葉を詰まらせるしかない。
……レモネードさんが望むことは、私にできる範囲で叶えたいと常日頃思っている。けれど……レモネードさんに度々言われる「呼び捨てで呼べ」というお願いだけは……どうしても、実行できないでいるのだ。
「レモネードさんを呼び捨てでなんて……呼べないですっ! それに、さん付けで呼ぶのは……私にとっては口癖に近いようなものですし……」
「……一部の奴等にはさん付けじゃねーだろーが」
「そ、それは……! ルッコラちゃんやコロッケくんは私より年下だからで……っ!」
わたわたと説明しても、レモネードさんの機嫌はなかなか治らない。……要は、他の人とはまた違う……特別な呼び方をすればいいのだろうか?
「じゃ、じゃあ……レモネードさまは……どうでしょうか?」
「あぁ?! なんで距離感遠退いてんだよ〜!!」
「いひゃい!! いひゃいれす〜!!」
むにむにと頬を抓られて抗議される。……こ、こんなにも分かりやすく怒って拗ねていらっしゃるレモネードさんは本当に珍しい……! ……今までずっと、呼び捨てで呼んでほしいって仰っていたから……いよいよ我慢の限界が来てしまったのかもしれない……!
「……オレとてめえは、対等だろうが。いつまでもどっか距離置いたような呼び方してんじゃねえって……言いてえんだよ、ニコラシカ」
私の頬を抓っていたレモネードさんの指先は、いつの間にか私の頬をいたわるような撫で方に変わっていた。
……レモネードさんの表情は、ほんの少し寂しそうに見えて、私は胸が痛む。距離を置いているつもりはないのだけれど、レモネードさんが、そんなふうに思っていたなんて知らなかった。
「ごめんなさい、レモネードさっ……!」
言葉は最後まで声にならず。ぐい、と引き寄せられて、そのまま柔らかな感触が唇に当たっていた。
「……てめえがオレのこと、呼び捨てで呼べるようになるまで何度も唇塞いでやるよ」
「はわっ……?! そ、そんなのずるいですっ!」
にやにやと不敵な笑みを溢して、レモネードさんはとんでもないことを仰られる。わたわたと抗議しても、レモネードさんは慌てふためく私の姿を、どこか楽しそうな表情で見つめているだけだった。
「だったら、早くオレのこと呼び捨てで呼べるようになるんだな」
レモネードさんの親指が、私の唇を優しく撫でる。その感触に、私は頬が一気に熱くなった。