BLACK LABEL〜IF〜

 レモネードさんを最期までお守りする。この身、この命の全てを掛けて……レモネードさんのお役に立つ。それだけが、私にとっての願いだった。
 私はどれだけ、この人のお役に立つことができたのだろうか。思い返してみると、私がレモネードさんのお役に立てたことは……あまりなかったかもしれない。むしろ、足を引っ張ってばかりだったんじゃないかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「れもねーど、さん……」
 だっていま。レモネードさんがとても悲しそうで、苦しそうな顔をして……私のことを見つめている。どうか笑ってほしい。私のことなんか気にしなくていいんですよって……言いたいけれど。きっと、優しいこの人は、そうすることはしてくれないのだろう。傷付き、死にゆく私のために……涙を流してくれる。失いたくないと言葉にして、私の身体を必死に抱き締めてくれる。こんなにも、レモネードさんは私のことを想い、愛してくれていた。嬉しかったけれどそれ以上に、私は……彼の心に、傷を残してしまうのだと思うと、つらかった。
「わたしのことはわすれて、しあわせになってください」
 せいいっぱい笑って、口にした言葉。それすらもきっと、レモネードさんの心を傷つけてしまったことが、悲しくて仕方がなかった。
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