陽だまりの恋を追いかけて

 例え私の言葉が届かなくても。貴方が私を信じてくれなくても……私は貴方を愛し続ける。十年前からずっと、私の心は貴方に捧げ続けていたのだから。

「綺麗事ばっか抜かしやがって……! うぜえんだよ!」

 ぎろり、と氷のように凍てついた、鋭い視線に射抜かれる。びしばしと容赦なく込められた殺気。私に対する憎悪すら感じるそれに、息が止まりそうになった。
 十年という長い年月を経て、私はやっと、会いたくて会いたくてたまらなかった、レモネードさんと再会することができた。十年前の出来事は、レモネードさんにとってはありふれた出来事の内の一つでしかなかったらしく、私のことなんて覚えていなかったけれど……それでも。彼の為に、やっと自分の力を捧げられる日が来たのだと思って、それだけでもずっと嬉しかったんだ。
 ……けれど、それは私の、独りよがりの願望でしかなかったのだと思い知る。
 レモネードさんのお傍にいたい。力になりたい。大好きなのだと……自分の想いを伝える度に、レモネードさんは怪訝な表情を浮かべて、ワケが分からないと否定する。

「てめえ何企んでやがる。いいこちゃんぶられんのが一番ムカつくんだよ……!」

 見返りを求めない献身なんて、自分に何のメリットもない行動をしたがるなんてあり得ないと。猜疑心に満ちた彼の言葉に、傷つかなかったと言えば嘘になる。

「……私は、レモネードさんのお傍にいたいだけなんです。私の望みは、それだけなんです」

 一度でも怪しいと思ったら、私のことを殺しても構わない。レモネードさんが望むのならば、この命を捧げる覚悟は……とうの昔にできているのだから。

「ケッ……! マジでお前どうかしてるんじゃねえの?!」

 私を見る目がどこまでも冷たかったとしても。信じてくれなくても……嫌われても、憎まれても。私の心は決して、揺るがないから。

「……そうかも、しれませんね」

 どれだけ罵られたって、私は貴方に寄り添いたい。大好きな人の傍にいられたら、それだけで幸せだと思えるから。
 私の心は、ずっと、変わらない。
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