陽だまりの恋を追いかけて

 これから先。どんな艱難辛苦が待ち受けていたとしても……レモネードさん。私は、貴方という存在がいるのならば、決して屈せず、前を向いて立ち上がれます。
 十年前。初めて貴方と出逢った時からずっと、私は貴方の存在に助けられていたから。私は貴方のお陰で、今こうして生きていられる。

「私と出逢ってくれて、ありがとうございます」

 レモネードさんのことが愛おしくて、大好きでたまらない気持ちは……いつだって溢れてやまない。ぎゅう、と彼に抱きつきながら、私は感謝の気持ちを伝える。

「いきなりなんだよ。つーか何度も同じこと言ってんじゃねえ、知ってんだよんなこと」
「えへへ。でも、伝えたくて仕方がなかったんです。……レモネードさんが私のことを、お傍に置いてくださるのが……身に余るくらい、幸せなんです」

 貴方の傍にいられるだけでとても幸せなのに。レモネードさんが、私のことを愛して、大切にしてくれているという事実が……信じられなくて。今でも、夢なのではないかと思ってしまうくらいだ。

「ケッ、これくらいのことで幸せとか言ってんじゃねえよ」

 私を抱き締め返してくれるレモネードさんの手は、とても優しい。ずっと、この人の腕の中にいたいと願ってやまない私は……昔よりずっと、欲深くなった。

「大体、てめえはもう二度とオレさまから離れられねえんだよ。離れようとしたってぜってえ許さねえし、何度だっててめえの手を掴みに行ってやる」

 逃げたくなっても逃してなどやらない。てめえが好きになった男はそういう人間なんだよ、と……レモネードさんは不敵に笑って、私に言った。力強い、確かな言葉に……私は嬉しくてたまらなくなる。

「離れたりなどしません……! 私はずっと、いつまでも……レモネードさんのお傍に居続けます!」
「当たり前のことばっか言ってんじゃねえ」

 ニコラシカは、レモネードという男に出逢ったからこそ救われた。彼女の人生に光が射したのはまぎれもなく、レモネードの存在が在ってこそだった。
 そして……レモネードもまた、ニコラシカの存在にきっと、救われていた。氷のように凍てついていた、孤独な彼の心を……ニコラシカは、彼への熱き想いで溶かした。例え世界中が彼を、レモネードという男を悪だと断じたとしても……ニコラシカは離れない。彼を裏切らず、最後まで傍にいると誓うのだ。

「レモネードさん、これからもずっと、ずーっと……貴方のことが大好きです!」

 孤独に泣きながら、ずっと冷たい雨に打たれ続けていた少年がいた。自分を見下し、嘲笑ってきた人間達を見返してやろうと……その手を汚し続けながら、前へと進んできたあの頃の自分はきっと、想像もしていない。
 心に降りしきる、冷たい雨を晴らしてくれる……太陽の女が現れることなんて。

「……オレも、」

 自分だけを健気に見つめ続ける、向日葵の女。愛しいこの存在を、この温もりを……決して、手放しはしないと誓おう。死が二人を分かつ、その時まで。

 二人の道行きはこれからも続いていく。溺れるような、愛とともに。

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