陽だまりの恋を追いかけて
ビシソワーズパーティーでの戦いが終わって、半年の月日が経過した。
コロッケくんのお陰で、私はまたレモネードさんとお逢いすることができた。今でも、その時のことを鮮明に思い出せる。レモネードさんの胸元に思わず飛び込んで、わんわん泣いてしまって……随分と困らせてしまったと思う。でも、レモネードさんは「ひでえ顔だな。どんだけ泣いたんだよ」と、仕方なさそうに笑って、優しく私の涙を拭ってくれたのだ。
もう二度と逢えない。そう思っていただけに、あの瞬間は私にとって、紛れもなく奇跡だった。いつかコロッケくんに、この恩を返せたらと思う。
「なにぼーっとしてんだよ」
「……えへ。こうして、レモネードさんのお傍にいれて、幸せだなって思って……」
「……ケッ、相変わらず大袈裟なんだよテメエは」
「……大袈裟なんかじゃないです」
ビシソワーズパーティーの後。レモネードさんは私が、レモネードさんの旅に付いていくことを許してくださった。「もたもたしてたら置いてくからな」とぶっきらぼうに言っていたけれど、レモネードさんは未だに一度も、未熟者な私を置いていくことをしない。そんな優しいところに、私はもっともっと、レモネードさんのことが愛しくなってしまう。
大好きな人の隣にいられて、こんなに幸せでいいのだろうか。私はレモネードさんのお役に立って、彼が歩む人生を幸せにするお手伝いがしたい。だけど、今は私ばかりが幸せで、レモネードさんの幸せに貢献できているのだろうか……と、不安に思ってしまう。
「……私、レモネードさんのご迷惑になってたり、しますか?」
「…………はあ? いきなり意味わかんねえこと言ってんじゃねえ」
「だって、私はレモネードさんのお役に立つ為にお傍にいるんです。……だけど、私ばかり幸せで、レモネードさんの幸せの役に、立てていないんじゃないかなって……ご迷惑ばかり掛けてるんじゃないかなって……」
ぽつりぽつりと、纏まらない言葉達が溢れていく。レモネードさんは、本来ならば私の力がなくとも生きていけるくらいの、とても強い人だ。私がいることで、彼の足を引っ張っているのでは……?と、思うことがある。
傍にいたいと思うのは私の願望で、エゴで。私は自分の幸せを優先しすぎて、レモネードさんのご迷惑を考えられてないんじゃないのか?という考えが過るようになったのだ。
「……てめえは馬鹿か」
「きゃ……っ!」
ぐいっと腕を強く引かれて、そのままレモネードさんの腕の中に収まってしまった。抱き締められている、そう思うと頬に熱が集まって、どきどきと胸が煩く高鳴る。
「迷惑だと思ってたら、とっくに切り捨ててんだよ。……くだらねえことうだうだ考えやがって」
「レモネードさん……」
「言っただろ。オレに構ってくる奴なんて、てめえ一人で充分だって。……今更離れるなんて絶対に許さねえ。オレの幸せの役に立ちてえって思うなら、ずっとオレの隣で笑ってやがれ」
レモネードさんの言葉の一つ一つが、私を幸せにしていく。嬉しすぎて、幸せすぎて、胸が苦しいくらいに締め付けられる。
「……こっち向け」
「え、」
レモネードさんに促されるまま、顔を上げる。レモネードさんのカッコいいお顔が至近距離にあって……そのまま、柔らかな感触が、唇に当たった。
キスをされた。それをようやく理解した頃に、ゆっくりと唇が離れる。……レモネードさんの鋭い、アイスブルーの三白眼が、私をまっすぐに射抜く。
「……一度しか言わねえからよく聞け。ニコラシカ、てめえが好きだ。愛してやるから傍にいろ」
「う、うそ……」
「あ? 嘘じゃねえ。なに、オレの言うことが信じられねえのか?」
「だって、こんな、こんな幸せなことがあっていいんですか? ……本当に、私でいいんですか……?」
声が震える。涙で視界が滲んで……これは、都合の良すぎる私の夢なんじゃないかと思ってしまう。
「嘘じゃねえよ、タコ」
これから嫌というほど分からせてやるから覚悟しとけ、と。レモネードさんは不敵に笑って、また私に優しく口付けた。
コロッケくんのお陰で、私はまたレモネードさんとお逢いすることができた。今でも、その時のことを鮮明に思い出せる。レモネードさんの胸元に思わず飛び込んで、わんわん泣いてしまって……随分と困らせてしまったと思う。でも、レモネードさんは「ひでえ顔だな。どんだけ泣いたんだよ」と、仕方なさそうに笑って、優しく私の涙を拭ってくれたのだ。
もう二度と逢えない。そう思っていただけに、あの瞬間は私にとって、紛れもなく奇跡だった。いつかコロッケくんに、この恩を返せたらと思う。
「なにぼーっとしてんだよ」
「……えへ。こうして、レモネードさんのお傍にいれて、幸せだなって思って……」
「……ケッ、相変わらず大袈裟なんだよテメエは」
「……大袈裟なんかじゃないです」
ビシソワーズパーティーの後。レモネードさんは私が、レモネードさんの旅に付いていくことを許してくださった。「もたもたしてたら置いてくからな」とぶっきらぼうに言っていたけれど、レモネードさんは未だに一度も、未熟者な私を置いていくことをしない。そんな優しいところに、私はもっともっと、レモネードさんのことが愛しくなってしまう。
大好きな人の隣にいられて、こんなに幸せでいいのだろうか。私はレモネードさんのお役に立って、彼が歩む人生を幸せにするお手伝いがしたい。だけど、今は私ばかりが幸せで、レモネードさんの幸せに貢献できているのだろうか……と、不安に思ってしまう。
「……私、レモネードさんのご迷惑になってたり、しますか?」
「…………はあ? いきなり意味わかんねえこと言ってんじゃねえ」
「だって、私はレモネードさんのお役に立つ為にお傍にいるんです。……だけど、私ばかり幸せで、レモネードさんの幸せの役に、立てていないんじゃないかなって……ご迷惑ばかり掛けてるんじゃないかなって……」
ぽつりぽつりと、纏まらない言葉達が溢れていく。レモネードさんは、本来ならば私の力がなくとも生きていけるくらいの、とても強い人だ。私がいることで、彼の足を引っ張っているのでは……?と、思うことがある。
傍にいたいと思うのは私の願望で、エゴで。私は自分の幸せを優先しすぎて、レモネードさんのご迷惑を考えられてないんじゃないのか?という考えが過るようになったのだ。
「……てめえは馬鹿か」
「きゃ……っ!」
ぐいっと腕を強く引かれて、そのままレモネードさんの腕の中に収まってしまった。抱き締められている、そう思うと頬に熱が集まって、どきどきと胸が煩く高鳴る。
「迷惑だと思ってたら、とっくに切り捨ててんだよ。……くだらねえことうだうだ考えやがって」
「レモネードさん……」
「言っただろ。オレに構ってくる奴なんて、てめえ一人で充分だって。……今更離れるなんて絶対に許さねえ。オレの幸せの役に立ちてえって思うなら、ずっとオレの隣で笑ってやがれ」
レモネードさんの言葉の一つ一つが、私を幸せにしていく。嬉しすぎて、幸せすぎて、胸が苦しいくらいに締め付けられる。
「……こっち向け」
「え、」
レモネードさんに促されるまま、顔を上げる。レモネードさんのカッコいいお顔が至近距離にあって……そのまま、柔らかな感触が、唇に当たった。
キスをされた。それをようやく理解した頃に、ゆっくりと唇が離れる。……レモネードさんの鋭い、アイスブルーの三白眼が、私をまっすぐに射抜く。
「……一度しか言わねえからよく聞け。ニコラシカ、てめえが好きだ。愛してやるから傍にいろ」
「う、うそ……」
「あ? 嘘じゃねえ。なに、オレの言うことが信じられねえのか?」
「だって、こんな、こんな幸せなことがあっていいんですか? ……本当に、私でいいんですか……?」
声が震える。涙で視界が滲んで……これは、都合の良すぎる私の夢なんじゃないかと思ってしまう。
「嘘じゃねえよ、タコ」
これから嫌というほど分からせてやるから覚悟しとけ、と。レモネードさんは不敵に笑って、また私に優しく口付けた。