陽だまりの恋を追いかけて
「レモネードさーん! えへへ、今日も会いに来ちゃいました!」
「はあ? 来んじゃねえ」
手をぶんぶんと振り回しながら、デケエ声でオレの名前を呼んでくる黄色い女。ここ最近、毎日毎日飽きもせずオレに会いに来るコイツに、オレは怪訝な態度を隠さない。
「今日もとーってもかっこいいです! レモネードさん大好き!」
レモネードに邪険に扱われようが、黄色い少女……ニコラシカは微塵も動じない。まるで大好きな飼い主を見つけた犬のように、彼女はレモネードの腕に抱き着く。アホ毛はハートの形になり、ゆらゆらと揺れている。
「チッ……! うざってえな!気安く抱き着いてくんじゃねえって何度言わせりゃ分かるんだテメエ!!」
「きゃっ?!」
抱き着かれるというか、そもそも他人に触れられるのが好きじゃない。オレは苛立ちが頂点に達し、自分の腕に絡み付いてきた女を乱暴に振り払う。女の驚く声と共に、手にもにゅ……とした、弾力があって柔らかい感触が当たった。
…………って、待て。もにゅ…………?
「あ、あの……レモネードさん……?」
「…………………………!!」
オレを心配したような女の声で、我に返る。自分の手は、しっかりがっちりと……女の胸を鷲掴んでいた。
「うわ……ついにやりましたね貴方……」
気まずすぎる空気が流れる中、心底うわあ……と言いたげなドン引きした言葉を発してきやがったマルゲリータの声がいやに鮮明に響く。つーかついにってどういう意味だ。ぶっ飛ばされてえのか。
「ッ!! むやみやたらと抱き着いてくるからこうなんだよ! バーカ!!」
悪態吐いて、オレはバッと女の胸から手を離す。完全に事故だし、不可抗力だ。触りたくて触ったわけでもなんでもねえし、ましてこんなガキみてえな女相手に……!!
「えー?! 触っておいてそんな言い草はないぞい!! レモネードサイテーだぞーい!! ニコラシカ大丈夫かぞい?!」
「一人の女性に対して無礼を働いたのです。一言くらい謝るのが筋ってものでは?」
「うるせえ! 外野が騒いでんじゃねえ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てられて、レモネードの機嫌はどんどん悪化していく。いたたまれない気持ちになっている中、やたらと突っつき回されるのが敵わなかった。
「……テメエ、今みてえな目にあいたくなかったらオレに二度と気安く触るな!分かったな?!」
きょとーんとしているニコラシカに、吐き捨てるような台詞を吐いてレモネードは足早にその場を立ち去る。今はとにかく、一人になって気持ちを落ち着かせたかった。
……思わず、女の胸を掴んでしまった手を見遣る。散々、ガキだなんだと言ってきたが……意外に……。
「……バカかオレは。あんなガキ相手に……!!」
感触を振り払うように、己の手を強く握り締める。……この胸に去来する、盛大なやってしまった感はしばらくの間、どうにも拭えそうにはなかった。
「はあ? 来んじゃねえ」
手をぶんぶんと振り回しながら、デケエ声でオレの名前を呼んでくる黄色い女。ここ最近、毎日毎日飽きもせずオレに会いに来るコイツに、オレは怪訝な態度を隠さない。
「今日もとーってもかっこいいです! レモネードさん大好き!」
レモネードに邪険に扱われようが、黄色い少女……ニコラシカは微塵も動じない。まるで大好きな飼い主を見つけた犬のように、彼女はレモネードの腕に抱き着く。アホ毛はハートの形になり、ゆらゆらと揺れている。
「チッ……! うざってえな!気安く抱き着いてくんじゃねえって何度言わせりゃ分かるんだテメエ!!」
「きゃっ?!」
抱き着かれるというか、そもそも他人に触れられるのが好きじゃない。オレは苛立ちが頂点に達し、自分の腕に絡み付いてきた女を乱暴に振り払う。女の驚く声と共に、手にもにゅ……とした、弾力があって柔らかい感触が当たった。
…………って、待て。もにゅ…………?
「あ、あの……レモネードさん……?」
「…………………………!!」
オレを心配したような女の声で、我に返る。自分の手は、しっかりがっちりと……女の胸を鷲掴んでいた。
「うわ……ついにやりましたね貴方……」
気まずすぎる空気が流れる中、心底うわあ……と言いたげなドン引きした言葉を発してきやがったマルゲリータの声がいやに鮮明に響く。つーかついにってどういう意味だ。ぶっ飛ばされてえのか。
「ッ!! むやみやたらと抱き着いてくるからこうなんだよ! バーカ!!」
悪態吐いて、オレはバッと女の胸から手を離す。完全に事故だし、不可抗力だ。触りたくて触ったわけでもなんでもねえし、ましてこんなガキみてえな女相手に……!!
「えー?! 触っておいてそんな言い草はないぞい!! レモネードサイテーだぞーい!! ニコラシカ大丈夫かぞい?!」
「一人の女性に対して無礼を働いたのです。一言くらい謝るのが筋ってものでは?」
「うるせえ! 外野が騒いでんじゃねえ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てられて、レモネードの機嫌はどんどん悪化していく。いたたまれない気持ちになっている中、やたらと突っつき回されるのが敵わなかった。
「……テメエ、今みてえな目にあいたくなかったらオレに二度と気安く触るな!分かったな?!」
きょとーんとしているニコラシカに、吐き捨てるような台詞を吐いてレモネードは足早にその場を立ち去る。今はとにかく、一人になって気持ちを落ち着かせたかった。
……思わず、女の胸を掴んでしまった手を見遣る。散々、ガキだなんだと言ってきたが……意外に……。
「……バカかオレは。あんなガキ相手に……!!」
感触を振り払うように、己の手を強く握り締める。……この胸に去来する、盛大なやってしまった感はしばらくの間、どうにも拭えそうにはなかった。