陽だまりの恋を追いかけて
ルッコラに最近女の友達ができた。その少女はニコラシカといって、レモネードを訪ねてBB7の元までやってきたという。おいら達の度肝を抜かすほどのメンタルの強さには度々驚かされるが……愛想もよく、明るく優しい少女だ。ルッコラはきっと、そういう彼女だからこそ、懐いているのだろう。
「今日ね〜!ニコラシカと一緒におやつ食べながら遊ぶんだぞい!」
「お〜よかったな〜」
「うん! あとでちゃーんとヤキソバの分のおやつも持ってくるぞい! 楽しみにしてるぞーい!」
ルンルン!と効果音が付きそうな程に、ルッコラははしゃいでニコラシカのいる部屋へと走っていった。転ぶんじゃねえぞ〜、とだけ声を掛けて、おいらはルッコラを見送る。
余程ニコラシカに遊んでもらえるのが嬉しいのだろう。女友達に憧れていた節のあるルッコラを知っているおいらからすれば、ルッコラに女友達ができたのは間違いなく喜ばしいことだ。けれども……。
「前まではおいらにべったりだったのになあ。ちょっぴり寂しいぜ〜」
ニコラシカが現れる前までは、いつもおいらの肩に乗って一緒にいたんだけどなあ。二人で花畑に行って、ルッコラが好きそうな花をプレゼントして、嬉しそうに笑う彼女を見て癒やされたのは……もう何週間前の話だろうか。一人残されたヤキソバは、ついそんなことをぼやいてしまう。
寂しいと思うのは確かだ。かと言って、ルッコラに着いていって女子会に混ざるわけにもいかないので、ここでおとなしく彼女が帰ってくるのを待つしかない。あの二人のことだから、自分が混ざっても快く歓迎してはくれそうなのは分かっているのだが……それができない理由があるのだ。
「オイ、んなとこで何突っ立ってんだ。只でさえデケエ図体してんだからボーッとしてんじゃねえよ」
「……レモネードよ〜、もうちょいオブラートに包んだ言い方しろよな〜」
「ケッ、事実だろうが」
「ひでえな〜傷つくだろ〜?」
そう。他ならぬこの男……レモネードにある。ツンケンした物言いと態度で数え切れないほどの人間の心をばきぼきに折ってきた、冷酷非道が人の形をしたようなこの男に。
「…………」
一言二言交わした後、暫しの無言が流れた。レモネードの視線が、周囲をどことなく見渡している。……レモネードはぜってえ言葉には出さねえみたいだが、おいらでもそれが示す意味は分かる。
「ニコラシカさんなら、ルッコラさんと一緒にいつもの部屋で遊んでいますよ。気になるのならば出向いてみれば如何です?」
「……あぁ?! 誰もアイツのこと探してるなんざ言ってねえだろうが! ぶっ飛ばされてえのか?!」
「人が親切に教えてあげたと言うのに何ですかその言い方は!? だいたいそんなにキョロキョロ見渡していたら分かるんですよ!!貴方は少しニコラシカさんの素直さを見習ったらどうなんですか?!」
「うっせえ!」
ああ……喧嘩になることなんて分かりきっているだろうに……。どうして火に油を注ぐのだろうか、我らがリーダーのマルゲリータ様よ……。レモネードの只でさえ鋭い目が、更につり上がっていらっしゃる。
「ケッ……まあいい、テメエの相手は後だ」
「結局会いに行くんじゃないですか」
「マジで跡形もなくぶっ飛ばしてやるからな」
カツカツと靴音を鳴らして、レモネードはニコラシカ達がいるであろう部屋へと赴く。
……うん、分かってはいたけどやっぱりニコラシカが来てるかどうか気になってたんだな……。おいらはいろんな意味でマルゲリータ様程の強さは持ってねえから、口が裂けてもレモネードに指摘できねえけど……。
「ふん、本当にしょうがない人ですねレモネードくんは……!」
「まあいいんじゃないんですかね〜。ある意味、ニコラシカのお陰で前より何考えてるのか分かるようになった気はしますぜ〜」
おいらがルッコラ達の輪に敢えて入らないのは、女子二人に気を遣ってってのも勿論ある。だがそれ以上に……ニコラシカと喋っているとレモネードの目がなんとな〜く怖いからという理由が大きかったりするのだ。ま、おいらにはルッコラがいるから、レモネードの心配なんて杞憂なんだけどな〜!
「……どうでもいいと言う割に気に掛けて、そのくせ彼女を前にすれば悪態吐いて……気難しいにも程がありすぎるんですよ、レモネードくんは」
どう見たって、レモネードはニコラシカに心を砕き始めている。バンカーバトルから帰ってきてすぐに、彼女の姿を無意識に探そうとしているのがその証拠なのに……。他ならぬ、レモネード自身がそれを認めないのが、マルゲリータ様からすれば理解不能であるようだった。
「いきなりレモネードが素直になったらそれはそれでこえ〜と思いますけどね〜」
「……はあ。それは確かに一理ありますかね」
ある意味一周回って素直な気もする。そんなことを零したら、きっとレモネードは水のリボルバーを無数に飛ばしてくるだろう。
「ニコラシカは今あたいと一緒に遊ぶんだぞーい!!」と、レモネードに抗議するルッコラの声が聞こえてきて、おいらとマルゲリータ様は呆れたように笑うしかなかった。
「今日ね〜!ニコラシカと一緒におやつ食べながら遊ぶんだぞい!」
「お〜よかったな〜」
「うん! あとでちゃーんとヤキソバの分のおやつも持ってくるぞい! 楽しみにしてるぞーい!」
ルンルン!と効果音が付きそうな程に、ルッコラははしゃいでニコラシカのいる部屋へと走っていった。転ぶんじゃねえぞ〜、とだけ声を掛けて、おいらはルッコラを見送る。
余程ニコラシカに遊んでもらえるのが嬉しいのだろう。女友達に憧れていた節のあるルッコラを知っているおいらからすれば、ルッコラに女友達ができたのは間違いなく喜ばしいことだ。けれども……。
「前まではおいらにべったりだったのになあ。ちょっぴり寂しいぜ〜」
ニコラシカが現れる前までは、いつもおいらの肩に乗って一緒にいたんだけどなあ。二人で花畑に行って、ルッコラが好きそうな花をプレゼントして、嬉しそうに笑う彼女を見て癒やされたのは……もう何週間前の話だろうか。一人残されたヤキソバは、ついそんなことをぼやいてしまう。
寂しいと思うのは確かだ。かと言って、ルッコラに着いていって女子会に混ざるわけにもいかないので、ここでおとなしく彼女が帰ってくるのを待つしかない。あの二人のことだから、自分が混ざっても快く歓迎してはくれそうなのは分かっているのだが……それができない理由があるのだ。
「オイ、んなとこで何突っ立ってんだ。只でさえデケエ図体してんだからボーッとしてんじゃねえよ」
「……レモネードよ〜、もうちょいオブラートに包んだ言い方しろよな〜」
「ケッ、事実だろうが」
「ひでえな〜傷つくだろ〜?」
そう。他ならぬこの男……レモネードにある。ツンケンした物言いと態度で数え切れないほどの人間の心をばきぼきに折ってきた、冷酷非道が人の形をしたようなこの男に。
「…………」
一言二言交わした後、暫しの無言が流れた。レモネードの視線が、周囲をどことなく見渡している。……レモネードはぜってえ言葉には出さねえみたいだが、おいらでもそれが示す意味は分かる。
「ニコラシカさんなら、ルッコラさんと一緒にいつもの部屋で遊んでいますよ。気になるのならば出向いてみれば如何です?」
「……あぁ?! 誰もアイツのこと探してるなんざ言ってねえだろうが! ぶっ飛ばされてえのか?!」
「人が親切に教えてあげたと言うのに何ですかその言い方は!? だいたいそんなにキョロキョロ見渡していたら分かるんですよ!!貴方は少しニコラシカさんの素直さを見習ったらどうなんですか?!」
「うっせえ!」
ああ……喧嘩になることなんて分かりきっているだろうに……。どうして火に油を注ぐのだろうか、我らがリーダーのマルゲリータ様よ……。レモネードの只でさえ鋭い目が、更につり上がっていらっしゃる。
「ケッ……まあいい、テメエの相手は後だ」
「結局会いに行くんじゃないですか」
「マジで跡形もなくぶっ飛ばしてやるからな」
カツカツと靴音を鳴らして、レモネードはニコラシカ達がいるであろう部屋へと赴く。
……うん、分かってはいたけどやっぱりニコラシカが来てるかどうか気になってたんだな……。おいらはいろんな意味でマルゲリータ様程の強さは持ってねえから、口が裂けてもレモネードに指摘できねえけど……。
「ふん、本当にしょうがない人ですねレモネードくんは……!」
「まあいいんじゃないんですかね〜。ある意味、ニコラシカのお陰で前より何考えてるのか分かるようになった気はしますぜ〜」
おいらがルッコラ達の輪に敢えて入らないのは、女子二人に気を遣ってってのも勿論ある。だがそれ以上に……ニコラシカと喋っているとレモネードの目がなんとな〜く怖いからという理由が大きかったりするのだ。ま、おいらにはルッコラがいるから、レモネードの心配なんて杞憂なんだけどな〜!
「……どうでもいいと言う割に気に掛けて、そのくせ彼女を前にすれば悪態吐いて……気難しいにも程がありすぎるんですよ、レモネードくんは」
どう見たって、レモネードはニコラシカに心を砕き始めている。バンカーバトルから帰ってきてすぐに、彼女の姿を無意識に探そうとしているのがその証拠なのに……。他ならぬ、レモネード自身がそれを認めないのが、マルゲリータ様からすれば理解不能であるようだった。
「いきなりレモネードが素直になったらそれはそれでこえ〜と思いますけどね〜」
「……はあ。それは確かに一理ありますかね」
ある意味一周回って素直な気もする。そんなことを零したら、きっとレモネードは水のリボルバーを無数に飛ばしてくるだろう。
「ニコラシカは今あたいと一緒に遊ぶんだぞーい!!」と、レモネードに抗議するルッコラの声が聞こえてきて、おいらとマルゲリータ様は呆れたように笑うしかなかった。