お願い、どこにも行かないで
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
深い森の中で、ふと見慣れない緑色の小さなポケモン――セレビィと目が合った瞬間のことだった。
ふわり、と温かく不可思議な光に全身を包まれたかと思うと、フランの視界は一瞬にして真っ白に染まり、次の瞬間には全く別の場所へと放り出されていた。
「……えっ? ここ、どこ……?」
目を瞬かせたフランの目に飛び込んできたのは、見たこともないほど豪奢で、けれどどこか重苦しい空気が漂う薄暗い廊下だった。
壁には歴史を感じさせる絵画が飾られ、床には足音を完全に吸い込む分厚い絨毯が敷き詰められている。まるで中世のお城か、大貴族の屋敷にでも迷い込んでしまったかのようだった。
(ど、どうしよう。あたし、不法侵入になっちゃう……っ!)
パニックになりかけ、急いで出口を探そうと右往左往したその時。
廊下の向こうから、複数の足音と大人たちの低く緊迫した話し声が近づいてくるのが聞こえた。
『不審な物音だと? 警備はどうなっている!』
『すぐに探せ! 旦那様のお耳に入る前に……!』
(見つかったら絶対にまずい!)
心臓が早鐘のように鳴り響く。逃げ場を探して後ずさったフランの背中が、壁の装飾の一部にドンとぶつかった。
もう駄目だ、とギュッと目を瞑った瞬間――。
「……こっちだ」
「えっ?」
不意に、壁の一部が音もなく開き、暗がりから伸びてきた小さな手がフランの手首をガシリと掴んだ。
そのまま強い力で引っ張られ、フランの身体は壁の裏側に隠された細い通路へと引きずり込まれる。バタン、と壁が閉まると同時に、すぐ外を警備の大人たちが足早に通り過ぎていく気配がした。
「……ふぅ。危ないところだったね」
暗闇の中で、涼やかな、けれどまだ声変わりしきっていない幼い声が響いた。
ランプに火が灯され、ぽうっと暖かな光が空間を照らし出す。そこは、使われなくなった古い物置を改造したような、小さな隠し部屋だった。
そして、フランの手を引いて助けてくれたその人物を見た瞬間、フランは息を呑んで固まった。
「おれ……わたしのひみつきちへようこそ。ここなら誰も来ないから、安心していいぜ」
質の良いシャツに身を包んだ、まだ十歳にも満たないであろう小さな男の子。
しかし、その逆立った青みがかった黒髪も、ランプの光を反射して鋭く輝く空色の切れ長の瞳も。どこか大人びていて、それでいて危うい魅力を放つその顔立ちに、フランは嫌というほど見覚えがあった。
「ギ、ギーマ……さん……?」
信じられない思いでその名前をこぼすと、男の子はピクリと眉を動かし、その空色の瞳でフランの顔をじっと見つめ返した。
「……おや。きみ、わたしの名前を知っているのかい?」
警戒心と、それを上回る好奇心が入り混じったような視線。
間違いない。目の前にいるのは、フランが心から愛しているイッシュ四天王のあくタイプ使い――ギーマの、子ども時代の姿だったのだ。
ふわり、と温かく不可思議な光に全身を包まれたかと思うと、フランの視界は一瞬にして真っ白に染まり、次の瞬間には全く別の場所へと放り出されていた。
「……えっ? ここ、どこ……?」
目を瞬かせたフランの目に飛び込んできたのは、見たこともないほど豪奢で、けれどどこか重苦しい空気が漂う薄暗い廊下だった。
壁には歴史を感じさせる絵画が飾られ、床には足音を完全に吸い込む分厚い絨毯が敷き詰められている。まるで中世のお城か、大貴族の屋敷にでも迷い込んでしまったかのようだった。
(ど、どうしよう。あたし、不法侵入になっちゃう……っ!)
パニックになりかけ、急いで出口を探そうと右往左往したその時。
廊下の向こうから、複数の足音と大人たちの低く緊迫した話し声が近づいてくるのが聞こえた。
『不審な物音だと? 警備はどうなっている!』
『すぐに探せ! 旦那様のお耳に入る前に……!』
(見つかったら絶対にまずい!)
心臓が早鐘のように鳴り響く。逃げ場を探して後ずさったフランの背中が、壁の装飾の一部にドンとぶつかった。
もう駄目だ、とギュッと目を瞑った瞬間――。
「……こっちだ」
「えっ?」
不意に、壁の一部が音もなく開き、暗がりから伸びてきた小さな手がフランの手首をガシリと掴んだ。
そのまま強い力で引っ張られ、フランの身体は壁の裏側に隠された細い通路へと引きずり込まれる。バタン、と壁が閉まると同時に、すぐ外を警備の大人たちが足早に通り過ぎていく気配がした。
「……ふぅ。危ないところだったね」
暗闇の中で、涼やかな、けれどまだ声変わりしきっていない幼い声が響いた。
ランプに火が灯され、ぽうっと暖かな光が空間を照らし出す。そこは、使われなくなった古い物置を改造したような、小さな隠し部屋だった。
そして、フランの手を引いて助けてくれたその人物を見た瞬間、フランは息を呑んで固まった。
「おれ……わたしのひみつきちへようこそ。ここなら誰も来ないから、安心していいぜ」
質の良いシャツに身を包んだ、まだ十歳にも満たないであろう小さな男の子。
しかし、その逆立った青みがかった黒髪も、ランプの光を反射して鋭く輝く空色の切れ長の瞳も。どこか大人びていて、それでいて危うい魅力を放つその顔立ちに、フランは嫌というほど見覚えがあった。
「ギ、ギーマ……さん……?」
信じられない思いでその名前をこぼすと、男の子はピクリと眉を動かし、その空色の瞳でフランの顔をじっと見つめ返した。
「……おや。きみ、わたしの名前を知っているのかい?」
警戒心と、それを上回る好奇心が入り混じったような視線。
間違いない。目の前にいるのは、フランが心から愛しているイッシュ四天王のあくタイプ使い――ギーマの、子ども時代の姿だったのだ。
1/5ページ
