ギーマ夢主の名前変換
ギーマ(BW)×固定夢主💮
🪙夢主の名前
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※ギーマさんの過去を捏造しています。
分厚い扉の向こうから、キャイキャイと楽しげな女性たちの話し声が漏れてくる。
どうやらシキミとカトレア、それにフランが優雅なティータイムを開いているらしい。
わたしは本来、盗み聞きなどという無粋な真似は好まない。
だが、聞こえてしまったのだから仕方がない。風に乗って運ばれてきたカードの内容が、あまりにも興味深いものだったのだから。
「名前も聞けなかったし、顔もよく見えなかったけど……あの子はあたしにとって、物語に出てくる王子様みたいだったなあって。……あれがきっと、あたしの初恋でした」
フランのうっとりとした声。私は壁に背を預けたまま、思わず口元を手で覆った。笑いを堪えるのに、これほど苦労する日が来るとはね。
「王子様、か……」
ククッ、と喉の奥で音が漏れる。今のわたしが「ギャンブラー」と揶揄されているのだと知ったら、あの日の彼女はどう思うのだろうか。
……いや、彼女は気づいていないのだ。
その「王子様」とやらが、今こうして彼女が熱烈な視線を送っている「ギーマ」と同一人物であることに。
記憶のカードをめくれば、あの日の情景は色褪せることなく蘇る。
当時の私は、まだ四天王の座になどついていなかった。
没落していく実家、のしかかる重圧、大人達の探り合う視線。
すべてに反吐が出るような嫌悪感を抱き、わたしは相棒のチョロネコ――今のレパルダスだけを連れて、屋敷を飛び出したのだ。
そうして、行く宛も特にないまままに4番道路を歩いていた時、砂嵐の中でうずくまる小さな影を見つけた。
それが、泣きじゃくるフランだったのだ。
「家に帰りたくない」と叫びながら、本当は寂しくてたまらない少女。それは、まるで鏡写しのわたし自身のようにも思えた。だから当時のわたしは、柄にもなく手を差し伸べたのだ。
「王子様」の仮面を被り、彼女をエスコートすることで、わたし自身もまた、辛い現実から目を背けたかったのかもしれない。
ライモンシティでの数時間。彼女はわたしに与えられた色とりどりのマカロンをおいしそうに頬張り、観覧車からの景色に目を輝かせ、わたしの拙いエスコートに心からの感謝を捧げてくれた。
『お兄さんに、たくさん幸せなことがありますように!』
別れ際、彼女がわたしの手を握りしめて言った言葉。あんな純粋な「祈り」を向けられたのは、生まれて初めてだった。何もかも捨てて逃げ出した空っぽのわたしに、彼女は「幸せになれ」と言ったのだ。
あの日、わたしはチョロネコと共に屋敷に戻った。彼女という光に触れて、もう少しだけ、配られたカードで戦ってみようと思えたからだ。
まさかその数年後。彼女が成長し、トレーナーとしてわたしの前に現れ、さらにはリーグのスタッフとして働くことになるとは……。
「……運命の女神も、粋な演出をしてくれる」
彼女がわたしに一目惚れしたと言った時、そして「昔、素敵な男の子に助けられた」と語った時。二つの点が線で繋がった瞬間の、あの震えるような高揚感は忘れられない。
彼女は、過去のわたしも、現在のわたしも、すべて愛してくれている。本人がそれに気づかず、「どっちも好きなんて浮気者かなぁ」と悩んでいる姿さえ、愛おしくてたまらない。
ガチャリ、と扉が開く音がした。お茶会がお開きになったようだ。フランが顔を赤くしたまま、ふらふらと廊下に出てくる。
「うう……シキミさんたちに笑われちゃった……。でも、王子様のこと思い出すと、胸がキュッてなるし……」
独り言を呟きながら歩く彼女の前に、わたしは音もなく姿を現した。
「やあ、フラン。楽しそうなお茶会だったね」
「ひゃっ!? ギ、ギーマさん!?」
フランは飛び上がって驚き、あからさまに動揺した。分かりやすく感情を表に出す彼女の反応が面白くて、わたしは自身の口角が自然と吊り上がるのが分かる。
「き、聞いてたんですか!? もしかして、今の話……!」
「さあね。風の音に混じって、少しばかり耳に入った気もするが」
わたしは意地悪く笑い、彼女の頬に触れた。
「……随分と熱心に、他の男の話をしていたようじゃないか」
「ち、ちがうんです! あれは昔の話で……その、初恋っていうか……! い、今はギーマさんが一番で……!」
必死に弁解する彼女を、壁際に追い詰める。この反応が見たいがあまりに、わたしは未だに真実を明かさないでいた。
「ふうん? 昔の『王子様』と、今の『わたし』。……きみのハートのエースを持っているのは、一体どちらなのかな?」
「ええっ!? そ、それは……っ!」
フランの瞳が潤み、視線が泳ぐ。過去の幻影に嫉妬するふりをして、彼女を困らせるのはわたしの悪い趣味だ。だが、こればかりはやめられない。
「……選べない、という顔だね」
「うぅ……ごめんなさい……あたし、欲張りで……」
「いいさ」
わたしは彼女の耳元に唇を寄せ、あの日と同じように囁いた。
「……どちらも愛せばいい。きみのその欲張りな愛ごと、わたしがすべて受け止めてあげるよ」
「え……?」
「過去も、現在のわたしも。……きみが愛するのは、結局のところ『わたし』だけなんだからね」
「……は、はい……? どういう意味ですか……?」
フランがキョトンと首を傾げる。まだ種明かしには早い。この鈍感で愛らしい彼女が、いつか真実に気づき、「あの時の王子様がギーマさんだったの!?」と顔を真っ赤にして卒倒するその瞬間まで……。
この極上のゲームは、わたしだけの楽しみとして取っておくとしよう。
「……なんでもないよ。さあ、仕事に戻ろうか、わたしの可愛いお姫様」
「えっ、あ、はい! ……って、今お姫様って……?」
わたしはにまにまと笑い、彼女の背中を押した。
勝負は最初から、わたしの勝ちで決まっているのだから。
分厚い扉の向こうから、キャイキャイと楽しげな女性たちの話し声が漏れてくる。
どうやらシキミとカトレア、それにフランが優雅なティータイムを開いているらしい。
わたしは本来、盗み聞きなどという無粋な真似は好まない。
だが、聞こえてしまったのだから仕方がない。風に乗って運ばれてきたカードの内容が、あまりにも興味深いものだったのだから。
「名前も聞けなかったし、顔もよく見えなかったけど……あの子はあたしにとって、物語に出てくる王子様みたいだったなあって。……あれがきっと、あたしの初恋でした」
フランのうっとりとした声。私は壁に背を預けたまま、思わず口元を手で覆った。笑いを堪えるのに、これほど苦労する日が来るとはね。
「王子様、か……」
ククッ、と喉の奥で音が漏れる。今のわたしが「ギャンブラー」と揶揄されているのだと知ったら、あの日の彼女はどう思うのだろうか。
……いや、彼女は気づいていないのだ。
その「王子様」とやらが、今こうして彼女が熱烈な視線を送っている「ギーマ」と同一人物であることに。
記憶のカードをめくれば、あの日の情景は色褪せることなく蘇る。
当時の私は、まだ四天王の座になどついていなかった。
没落していく実家、のしかかる重圧、大人達の探り合う視線。
すべてに反吐が出るような嫌悪感を抱き、わたしは相棒のチョロネコ――今のレパルダスだけを連れて、屋敷を飛び出したのだ。
そうして、行く宛も特にないまままに4番道路を歩いていた時、砂嵐の中でうずくまる小さな影を見つけた。
それが、泣きじゃくるフランだったのだ。
「家に帰りたくない」と叫びながら、本当は寂しくてたまらない少女。それは、まるで鏡写しのわたし自身のようにも思えた。だから当時のわたしは、柄にもなく手を差し伸べたのだ。
「王子様」の仮面を被り、彼女をエスコートすることで、わたし自身もまた、辛い現実から目を背けたかったのかもしれない。
ライモンシティでの数時間。彼女はわたしに与えられた色とりどりのマカロンをおいしそうに頬張り、観覧車からの景色に目を輝かせ、わたしの拙いエスコートに心からの感謝を捧げてくれた。
『お兄さんに、たくさん幸せなことがありますように!』
別れ際、彼女がわたしの手を握りしめて言った言葉。あんな純粋な「祈り」を向けられたのは、生まれて初めてだった。何もかも捨てて逃げ出した空っぽのわたしに、彼女は「幸せになれ」と言ったのだ。
あの日、わたしはチョロネコと共に屋敷に戻った。彼女という光に触れて、もう少しだけ、配られたカードで戦ってみようと思えたからだ。
まさかその数年後。彼女が成長し、トレーナーとしてわたしの前に現れ、さらにはリーグのスタッフとして働くことになるとは……。
「……運命の女神も、粋な演出をしてくれる」
彼女がわたしに一目惚れしたと言った時、そして「昔、素敵な男の子に助けられた」と語った時。二つの点が線で繋がった瞬間の、あの震えるような高揚感は忘れられない。
彼女は、過去のわたしも、現在のわたしも、すべて愛してくれている。本人がそれに気づかず、「どっちも好きなんて浮気者かなぁ」と悩んでいる姿さえ、愛おしくてたまらない。
ガチャリ、と扉が開く音がした。お茶会がお開きになったようだ。フランが顔を赤くしたまま、ふらふらと廊下に出てくる。
「うう……シキミさんたちに笑われちゃった……。でも、王子様のこと思い出すと、胸がキュッてなるし……」
独り言を呟きながら歩く彼女の前に、わたしは音もなく姿を現した。
「やあ、フラン。楽しそうなお茶会だったね」
「ひゃっ!? ギ、ギーマさん!?」
フランは飛び上がって驚き、あからさまに動揺した。分かりやすく感情を表に出す彼女の反応が面白くて、わたしは自身の口角が自然と吊り上がるのが分かる。
「き、聞いてたんですか!? もしかして、今の話……!」
「さあね。風の音に混じって、少しばかり耳に入った気もするが」
わたしは意地悪く笑い、彼女の頬に触れた。
「……随分と熱心に、他の男の話をしていたようじゃないか」
「ち、ちがうんです! あれは昔の話で……その、初恋っていうか……! い、今はギーマさんが一番で……!」
必死に弁解する彼女を、壁際に追い詰める。この反応が見たいがあまりに、わたしは未だに真実を明かさないでいた。
「ふうん? 昔の『王子様』と、今の『わたし』。……きみのハートのエースを持っているのは、一体どちらなのかな?」
「ええっ!? そ、それは……っ!」
フランの瞳が潤み、視線が泳ぐ。過去の幻影に嫉妬するふりをして、彼女を困らせるのはわたしの悪い趣味だ。だが、こればかりはやめられない。
「……選べない、という顔だね」
「うぅ……ごめんなさい……あたし、欲張りで……」
「いいさ」
わたしは彼女の耳元に唇を寄せ、あの日と同じように囁いた。
「……どちらも愛せばいい。きみのその欲張りな愛ごと、わたしがすべて受け止めてあげるよ」
「え……?」
「過去も、現在のわたしも。……きみが愛するのは、結局のところ『わたし』だけなんだからね」
「……は、はい……? どういう意味ですか……?」
フランがキョトンと首を傾げる。まだ種明かしには早い。この鈍感で愛らしい彼女が、いつか真実に気づき、「あの時の王子様がギーマさんだったの!?」と顔を真っ赤にして卒倒するその瞬間まで……。
この極上のゲームは、わたしだけの楽しみとして取っておくとしよう。
「……なんでもないよ。さあ、仕事に戻ろうか、わたしの可愛いお姫様」
「えっ、あ、はい! ……って、今お姫様って……?」
わたしはにまにまと笑い、彼女の背中を押した。
勝負は最初から、わたしの勝ちで決まっているのだから。