デフォルト名は「ライラ」になります。
カラスバ(ZA)×固定夢主🪻
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ミアレシティの裏側を支配するサビ組の事務所。その最上階にある豪奢な一室が、ライラに与えられた世界のすべてだった。
ふかふかのベッドも、与えられる美しい衣服も、ライラにとっては自らを絡め取る蜘蛛の糸でしかない。カラスバの監視下で精神をすり減らしていく中、ある日、ほんのわずかな隙が生まれた。扉の鍵が開いたまま、彼が部屋を離れたのだ。
(今なら……!)
震える足で立ち上がり、音を殺して扉へ向かう。ここから出れば、誰かに助けを求められるかもしれない。希望にすがりつくように廊下へ足を踏み出した瞬間――。
「どこ行くん?」
背後から響いた、楽しげで底冷えする声。
振り返る間もなかった。強い力で髪を掴まれ、無造作に部屋の中へと引きずり戻される。床に投げ出されたライラを見下ろすカラスバの金色の瞳は、爬虫類のように細められていた。
「あれほど逃げるな言うたのに、ほんまに悪い子やな。……せやけど、もう心配せんでええよ」
彼の手には、鈍く光る刃が握られていた。
それが何を意味するのか理解するより早く、カラスバはライラの細い足首を掴み、一切の躊躇なくその刃を振り下ろした。
「あ、ぎっ……!? ぁあああああッ!!」
「ははっ、かわええ声やなあ。……次はないで?ライラ……」
肉と腱を断つ凄惨な痛み。自らの足から夥しい血が流れ出すのを見つめながら、ライラは絶叫した。二度と自分の足で歩くことができなくなったという絶望が、脳髄を白く焼き切っていく。泣き叫ぶライラの頬を、カラスバは愛おしそうに撫でていた。
――それから、どれほどの時間が経ったのだろう。
歩く自由を奪われ、完全に鳥籠の中の雛となったライラは、己の足りない知性を必死に掻き集めながら、いまだにカラスバの元から逃げ出す方法を考えていた。
どうすれば、この地獄から抜け出せるのだろう。どうすれば、どうすれば……。
そうして、絶対に選んではいけない、最も愚かな選択肢へと辿り着いてしまう。
(カラスバさんを……ころすしかない)
ある夜。ライラはひたすらに従順なふりをして、カラスバの油断を誘った。
彼が機嫌良くグラスを傾けている隙を見計らい、以前手に入れて密かに隠し持っていた致死量の毒を、その飲み物に紛れ込ませたのだ。
「……カラスバさん、これ……」
「お、オマエからお酌してくれるなんて珍しいな。嬉しいわあ」
カラスバは毒入りのグラスを受け取ると、ライラの目の前で一気に飲み干した。
ライラは息を詰め、彼が苦しんで倒れる瞬間を待った。これで終わる。ようやく解放される。
しかし。
「……ん? どないしたん、そんな顔して」
カラスバは全く表情を変えることなく、ケロリとしていた。
どくタイプを意のままに操るサビ組のボス。彼の身体には、致死量の毒などとうの昔に耐性がついていたのだ。
「な、んで……どうして……っ」
後ずさろうとするライラの腕を、カラスバが強引に引き寄せる。彼はようやくライラの意図に気づいたように、喉の奥で低く笑った。
「なるほどなあ。そういうことか。……オレに毒盛ろうとするなんて、ほんまに度胸あるやんか」
怒りではない。それは明らかな「歓喜」だった。
カラスバはライラの顎を力強く掴むと、逃げ場のない口付けを落とした。
「ん、ぐ……っ!? ぁ、んんんっ!!」
強引にこじ開けられた唇から、カラスバの口内に残っていた猛毒が、唾液とともに直接ライラの喉の奥へと注ぎ込まれる。
ゴクリ、と飲み込んでしまった瞬間、全身の血液が沸騰するような激痛がライラを襲った。
「あ……が、は……っ、あ……」
床に崩れ落ち、喉を掻きむしるライラ。毒耐性のない彼女にとって、それはあまりにも確実で、残酷な死の宣告だった。
視界が急速に黒く染まり、呼吸が浅くなっていく。朦朧とする意識の中、ライラを見下ろすカラスバの顔が見えた。
彼は、かつてないほどうっとりと、優しく、甘く微笑んでいた。
「ごめんなあ、ライラ。オレもオマエの為なら死んでやりたいのは山々なんやけどな? 可愛い子分達を見捨てるわけにはいかへんねん。オレは、オマエの為には死なれへんのや」
掠れるライラの息を惜しむように、カラスバは血を吐く彼女の身体をそっと抱き寄せる。
「……でも、オマエがオレのことで頭いっぱいにして、どうやってオレのこと殺そうかってずっと必死に考えてくれてたの、嬉しかったさかい。……ようやっと、オレのこと見てくれたな。ライラ……」
その言葉は、純粋な愛の告白だった。彼にとって、自分を殺そうとするほどの憎悪と執着を向けられたことが、何よりも嬉しかったのだ。
カラスバの体温が、急速に冷え切っていくライラの身体を包み込む。
「先に地獄で待っててな。オレも全てが終わったら、ライラと同じ地獄に行ったるからな。……ライラは独りじゃあらへんで」
愛おしそうに囁かれるその言葉を聞きながら、ライラは限界を迎えた身体で、静かに涙をこぼした。
過去の罪に苛まれ、ミアレシティへ逃げてきた自分。
自分の致命的な選択ミスが、カラスバの狂気を引き出し、この凄惨な結末を招いてしまった。
(私はイッシュに戻って、罰を受けることを望んでいた。だけど、今更だけど分かった。カラスバさんと出逢ってしまったこと。こうして殺されることが…私にとっての罰だったんだ……)
ずっと探していた「贖罪」の答え。
それが、この男の毒に身を滅ぼされることだったのだと、ライラは最期にようやく理解した。
「……あ……」
声にならない吐息とともに、ライラの瞳から絶望の涙がひとすじ零れ落ちる。
それを最期に、彼女の身体から完全に力が抜け、世界は永遠の暗闇へと沈んでいった。
静まり返った部屋の中。
カラスバは、冷たくなっていく愛しい骸をいつまでもいつまでも、強く抱きしめ続けていた。
ふかふかのベッドも、与えられる美しい衣服も、ライラにとっては自らを絡め取る蜘蛛の糸でしかない。カラスバの監視下で精神をすり減らしていく中、ある日、ほんのわずかな隙が生まれた。扉の鍵が開いたまま、彼が部屋を離れたのだ。
(今なら……!)
震える足で立ち上がり、音を殺して扉へ向かう。ここから出れば、誰かに助けを求められるかもしれない。希望にすがりつくように廊下へ足を踏み出した瞬間――。
「どこ行くん?」
背後から響いた、楽しげで底冷えする声。
振り返る間もなかった。強い力で髪を掴まれ、無造作に部屋の中へと引きずり戻される。床に投げ出されたライラを見下ろすカラスバの金色の瞳は、爬虫類のように細められていた。
「あれほど逃げるな言うたのに、ほんまに悪い子やな。……せやけど、もう心配せんでええよ」
彼の手には、鈍く光る刃が握られていた。
それが何を意味するのか理解するより早く、カラスバはライラの細い足首を掴み、一切の躊躇なくその刃を振り下ろした。
「あ、ぎっ……!? ぁあああああッ!!」
「ははっ、かわええ声やなあ。……次はないで?ライラ……」
肉と腱を断つ凄惨な痛み。自らの足から夥しい血が流れ出すのを見つめながら、ライラは絶叫した。二度と自分の足で歩くことができなくなったという絶望が、脳髄を白く焼き切っていく。泣き叫ぶライラの頬を、カラスバは愛おしそうに撫でていた。
――それから、どれほどの時間が経ったのだろう。
歩く自由を奪われ、完全に鳥籠の中の雛となったライラは、己の足りない知性を必死に掻き集めながら、いまだにカラスバの元から逃げ出す方法を考えていた。
どうすれば、この地獄から抜け出せるのだろう。どうすれば、どうすれば……。
そうして、絶対に選んではいけない、最も愚かな選択肢へと辿り着いてしまう。
(カラスバさんを……ころすしかない)
ある夜。ライラはひたすらに従順なふりをして、カラスバの油断を誘った。
彼が機嫌良くグラスを傾けている隙を見計らい、以前手に入れて密かに隠し持っていた致死量の毒を、その飲み物に紛れ込ませたのだ。
「……カラスバさん、これ……」
「お、オマエからお酌してくれるなんて珍しいな。嬉しいわあ」
カラスバは毒入りのグラスを受け取ると、ライラの目の前で一気に飲み干した。
ライラは息を詰め、彼が苦しんで倒れる瞬間を待った。これで終わる。ようやく解放される。
しかし。
「……ん? どないしたん、そんな顔して」
カラスバは全く表情を変えることなく、ケロリとしていた。
どくタイプを意のままに操るサビ組のボス。彼の身体には、致死量の毒などとうの昔に耐性がついていたのだ。
「な、んで……どうして……っ」
後ずさろうとするライラの腕を、カラスバが強引に引き寄せる。彼はようやくライラの意図に気づいたように、喉の奥で低く笑った。
「なるほどなあ。そういうことか。……オレに毒盛ろうとするなんて、ほんまに度胸あるやんか」
怒りではない。それは明らかな「歓喜」だった。
カラスバはライラの顎を力強く掴むと、逃げ場のない口付けを落とした。
「ん、ぐ……っ!? ぁ、んんんっ!!」
強引にこじ開けられた唇から、カラスバの口内に残っていた猛毒が、唾液とともに直接ライラの喉の奥へと注ぎ込まれる。
ゴクリ、と飲み込んでしまった瞬間、全身の血液が沸騰するような激痛がライラを襲った。
「あ……が、は……っ、あ……」
床に崩れ落ち、喉を掻きむしるライラ。毒耐性のない彼女にとって、それはあまりにも確実で、残酷な死の宣告だった。
視界が急速に黒く染まり、呼吸が浅くなっていく。朦朧とする意識の中、ライラを見下ろすカラスバの顔が見えた。
彼は、かつてないほどうっとりと、優しく、甘く微笑んでいた。
「ごめんなあ、ライラ。オレもオマエの為なら死んでやりたいのは山々なんやけどな? 可愛い子分達を見捨てるわけにはいかへんねん。オレは、オマエの為には死なれへんのや」
掠れるライラの息を惜しむように、カラスバは血を吐く彼女の身体をそっと抱き寄せる。
「……でも、オマエがオレのことで頭いっぱいにして、どうやってオレのこと殺そうかってずっと必死に考えてくれてたの、嬉しかったさかい。……ようやっと、オレのこと見てくれたな。ライラ……」
その言葉は、純粋な愛の告白だった。彼にとって、自分を殺そうとするほどの憎悪と執着を向けられたことが、何よりも嬉しかったのだ。
カラスバの体温が、急速に冷え切っていくライラの身体を包み込む。
「先に地獄で待っててな。オレも全てが終わったら、ライラと同じ地獄に行ったるからな。……ライラは独りじゃあらへんで」
愛おしそうに囁かれるその言葉を聞きながら、ライラは限界を迎えた身体で、静かに涙をこぼした。
過去の罪に苛まれ、ミアレシティへ逃げてきた自分。
自分の致命的な選択ミスが、カラスバの狂気を引き出し、この凄惨な結末を招いてしまった。
(私はイッシュに戻って、罰を受けることを望んでいた。だけど、今更だけど分かった。カラスバさんと出逢ってしまったこと。こうして殺されることが…私にとっての罰だったんだ……)
ずっと探していた「贖罪」の答え。
それが、この男の毒に身を滅ぼされることだったのだと、ライラは最期にようやく理解した。
「……あ……」
声にならない吐息とともに、ライラの瞳から絶望の涙がひとすじ零れ落ちる。
それを最期に、彼女の身体から完全に力が抜け、世界は永遠の暗闇へと沈んでいった。
静まり返った部屋の中。
カラスバは、冷たくなっていく愛しい骸をいつまでもいつまでも、強く抱きしめ続けていた。
