デフォルト名は「ライラ」になります。
カラスバ(ZA)×固定夢主🪻
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※ZA男主人公のキョウヤくんがゲスト出演しています
今日は2月14日――世間一般でバレンタインと呼ばれる日。好きな人に想いを伝える為に、手作りしたチョコレートを贈るという文化は、ミアレシティにも根付いていた。
街中のカフェやキッチンカーからはカカオ特有の甘い香りが漂っていたり、バトルの合間にチョコレートを交換し合うトレーナー達の姿も珍しくない。バレンタインという日を楽しんでいる人々が圧倒的に多かった。
しかし、そんな平和な街の片隅で。サビ組の事務所にて、一人の女の悲鳴が響き渡っていた。
「いやぁあああ! 帰して! 帰してくださいカラスバさん!!」
「アカン、帰さへんよ。今日のオマエのスケジュールは、夜まで『オレのためにチョコを作る』で埋まっとるんや!」
ライラは今日も今日とて、無理矢理サビ組事務所までカラスバによって拉致られていた。連行された場所はキッチンで、エプロンやら調理道具を突きつけられた彼女は半泣きになるしかない。
「なんで……っ、なんで私がここでチョコを手作りしなきゃいけないんですか!? 私、今日はペンちゃんとカフェでスペシャルチーズケーキ食べる予定だったんですよ?!」
「スペシャルチーズケーキは後でオレが奢ったるわ!!そんなことより、今日オマエがやることはオレにバレンタインチョコ作ることや!!ほら、さっさとボウル持て!」
ライラの腕をガシッと掴み、彼女の細い手に強制的にボウルを押し付ける。そんな二人の様子を先ほどからずっと苦笑交じりに見守っている男がいた。たまたまサビ組事務所に用事があって訪れていた青年――ミアレシティを危機から助けたことで、「ミアレの英雄」として有名人になったMZ団のキョウヤだ。泣いているライラの様子を見兼ねた彼は、困ったように眉を下げながらカラスバに声をかけた。
「……えっと、カラスバさん。普通、バレンタインってのは『貰えるかな?』ってドキドキする過程を楽しむものだと思うんですよね、おれ。誘拐してまで目の前で作らせるなんて、少しライラさんが可哀想じゃないかな?」
「喧しいわ、キョウヤ! しゃーないやろ?!普通に待ってても、ライラがオレにチョコなんて一欠片もくれへんから、こうやって作らせようとしてるんやないか!!」
カラスバはカッ!と目を見開きながら、いっそ清々しいほどの逆ギレをかました。悲しすぎる現実をある意味しっかり受け止めているカラスバの姿に、キョウヤは哀愁すら覚える。
「確実に貰うには、ライラにオレの目の前でチョコを作らす!! そんで出来上がったその瞬間、オレがそのチョコを貰う! これが一番正統な形で……ライラの手作りチョコがゲットできるんや!」
そんな悲しすぎる理屈ある?思わず喉元まで出掛かった直球すぎる感想を、キョウヤはぐっとこらえて飲み込んだ。
「……いや、まあ……理論上間違ってはないんだけども……。 ライラさん、あんまり無理しないでね。何かあったらすぐ呼んで」
本命からのチョコレートが何としてでもほしい。カラスバのあまりにも切実すぎる主張を前に、さすがのミアレの英雄もお手上げだったらしい。キョウヤはライラに優しく手を振って去っていった。唯一まともな救世主にすら見放されてしまったのだと悟ったライラは、目の前に積まれた最高級の製菓用チョコ達を見て絶望する。
「やだ!! こんな気持ちが一切乗らないチョコ作りなんて嫌です!! お店で売ってるチロルチョコの方が、絶対製造者の愛が籠もってますよ! そっち食べてください!」
「オマエ、そのチロルチョコすらくれへんやんけ!! ならこうして作らせるしかないやろが! ほれ、手ぇキビキビ動かすんや!!」
「いやっ! バレンタインに強制労働させられるのいやっ!!」
「いややない!!」
いいからはよ作らんか!!とカラスバに催促される。どうやら本当にバレンタインのチョコを作るまで帰してくれなさそうだ。それをいよいよ悟ったライラは「こんなバレンタインおかしいよお!!」と泣き喚きながらも、カラスバからの圧に耐えきれず、促されるがままにチョコレート作りを進めていくしかなかった。
そうして数時間後。事務所には、ライラお手製のトリュフチョコが並んでいた。完成したチョコレート達を、これまた用意されていた可愛らしいラッピング達で包み、ライラは渋々と言った様子でカラスバに差し出した。
「うう……これ、どうぞ……」
「ええやん!最高や。 ライラ、ようやった!」
カラスバは、完成したチョコをひったくるように受け取ると、さっそくラッピングを解いてその一粒を口に放り込んだ。ライラの確かな腕前が生み出した甘美な味わいに、カラスバの表情がこれ以上ないほどとろける。
「……美味い。……ほんまに美味いわ。やっぱオレのライラは最高やな」
「私、カラスバさんのものじゃないもん!! ……もう帰る!!」
めそめそと泣きながら、ライラは帰ろうと荷物を纏め始める。だが、カラスバは「ちょい待ち!」と言いながら、控えさせていたしたっぱ達に目配せをした。そうして即座に運ばれてきたのは、ミアレでも予約困難な有名店の、ライラが大好物とするチーズケーキだった。
「ほれ、お礼や。オマエこれ好きやろ? 食うていき」
「えっ、チーズケーキ……!!……っ、食べます!!」
大好物であるチーズケーキの誘惑には勝てず、ライラは飛びつくように椅子に座り直す。フォークでケーキをもぐもぐと頬張り、「おいしい〜!!」と幸せそうに表情を緩める。
そんな彼女を、カラスバは頬杖をつきながら、至近距離で、それこそ舐めるように、愛おしげにガン見していた。
「……んむ。……あの、カラスバさん? なんでそんなにこっち見てるんですか」
「美味そうに食うとるなあと思って。ほんま可愛ええなあ。癒されるわあ」
「いやっ!! 見ないでください! セクハラー!!」
ライラがケーキの皿を抱えて椅子ごと後ずさると、カラスバの血管がビキビキと浮いた。
「ただ見とっただけやないか!!なにがセクハラや、ほんましばくで?! オレが金出したケーキ食うとんねんから、ちょっとくらい眺めさせんかい!!」
「いやです! 食べにくいです!!」
事務所には再び二人の怒号が響き渡った。
甘いムードもへったくれもないバレンタイン。
だが、カラスバは手元の小包に収まった「ライラお手製のチョコ」をそっと指で撫で、口角を吊り上げる。
(……まあ、なんやかんや言うても、オレのためだけに作らせたチョコやからな。今はこれでええわ)
不器用で強引な毒が、いつか彼女の心まで回る日を信じて。カラスバは満足げに、最後の一粒を大切に味わうのだった。
今日は2月14日――世間一般でバレンタインと呼ばれる日。好きな人に想いを伝える為に、手作りしたチョコレートを贈るという文化は、ミアレシティにも根付いていた。
街中のカフェやキッチンカーからはカカオ特有の甘い香りが漂っていたり、バトルの合間にチョコレートを交換し合うトレーナー達の姿も珍しくない。バレンタインという日を楽しんでいる人々が圧倒的に多かった。
しかし、そんな平和な街の片隅で。サビ組の事務所にて、一人の女の悲鳴が響き渡っていた。
「いやぁあああ! 帰して! 帰してくださいカラスバさん!!」
「アカン、帰さへんよ。今日のオマエのスケジュールは、夜まで『オレのためにチョコを作る』で埋まっとるんや!」
ライラは今日も今日とて、無理矢理サビ組事務所までカラスバによって拉致られていた。連行された場所はキッチンで、エプロンやら調理道具を突きつけられた彼女は半泣きになるしかない。
「なんで……っ、なんで私がここでチョコを手作りしなきゃいけないんですか!? 私、今日はペンちゃんとカフェでスペシャルチーズケーキ食べる予定だったんですよ?!」
「スペシャルチーズケーキは後でオレが奢ったるわ!!そんなことより、今日オマエがやることはオレにバレンタインチョコ作ることや!!ほら、さっさとボウル持て!」
ライラの腕をガシッと掴み、彼女の細い手に強制的にボウルを押し付ける。そんな二人の様子を先ほどからずっと苦笑交じりに見守っている男がいた。たまたまサビ組事務所に用事があって訪れていた青年――ミアレシティを危機から助けたことで、「ミアレの英雄」として有名人になったMZ団のキョウヤだ。泣いているライラの様子を見兼ねた彼は、困ったように眉を下げながらカラスバに声をかけた。
「……えっと、カラスバさん。普通、バレンタインってのは『貰えるかな?』ってドキドキする過程を楽しむものだと思うんですよね、おれ。誘拐してまで目の前で作らせるなんて、少しライラさんが可哀想じゃないかな?」
「喧しいわ、キョウヤ! しゃーないやろ?!普通に待ってても、ライラがオレにチョコなんて一欠片もくれへんから、こうやって作らせようとしてるんやないか!!」
カラスバはカッ!と目を見開きながら、いっそ清々しいほどの逆ギレをかました。悲しすぎる現実をある意味しっかり受け止めているカラスバの姿に、キョウヤは哀愁すら覚える。
「確実に貰うには、ライラにオレの目の前でチョコを作らす!! そんで出来上がったその瞬間、オレがそのチョコを貰う! これが一番正統な形で……ライラの手作りチョコがゲットできるんや!」
そんな悲しすぎる理屈ある?思わず喉元まで出掛かった直球すぎる感想を、キョウヤはぐっとこらえて飲み込んだ。
「……いや、まあ……理論上間違ってはないんだけども……。 ライラさん、あんまり無理しないでね。何かあったらすぐ呼んで」
本命からのチョコレートが何としてでもほしい。カラスバのあまりにも切実すぎる主張を前に、さすがのミアレの英雄もお手上げだったらしい。キョウヤはライラに優しく手を振って去っていった。唯一まともな救世主にすら見放されてしまったのだと悟ったライラは、目の前に積まれた最高級の製菓用チョコ達を見て絶望する。
「やだ!! こんな気持ちが一切乗らないチョコ作りなんて嫌です!! お店で売ってるチロルチョコの方が、絶対製造者の愛が籠もってますよ! そっち食べてください!」
「オマエ、そのチロルチョコすらくれへんやんけ!! ならこうして作らせるしかないやろが! ほれ、手ぇキビキビ動かすんや!!」
「いやっ! バレンタインに強制労働させられるのいやっ!!」
「いややない!!」
いいからはよ作らんか!!とカラスバに催促される。どうやら本当にバレンタインのチョコを作るまで帰してくれなさそうだ。それをいよいよ悟ったライラは「こんなバレンタインおかしいよお!!」と泣き喚きながらも、カラスバからの圧に耐えきれず、促されるがままにチョコレート作りを進めていくしかなかった。
そうして数時間後。事務所には、ライラお手製のトリュフチョコが並んでいた。完成したチョコレート達を、これまた用意されていた可愛らしいラッピング達で包み、ライラは渋々と言った様子でカラスバに差し出した。
「うう……これ、どうぞ……」
「ええやん!最高や。 ライラ、ようやった!」
カラスバは、完成したチョコをひったくるように受け取ると、さっそくラッピングを解いてその一粒を口に放り込んだ。ライラの確かな腕前が生み出した甘美な味わいに、カラスバの表情がこれ以上ないほどとろける。
「……美味い。……ほんまに美味いわ。やっぱオレのライラは最高やな」
「私、カラスバさんのものじゃないもん!! ……もう帰る!!」
めそめそと泣きながら、ライラは帰ろうと荷物を纏め始める。だが、カラスバは「ちょい待ち!」と言いながら、控えさせていたしたっぱ達に目配せをした。そうして即座に運ばれてきたのは、ミアレでも予約困難な有名店の、ライラが大好物とするチーズケーキだった。
「ほれ、お礼や。オマエこれ好きやろ? 食うていき」
「えっ、チーズケーキ……!!……っ、食べます!!」
大好物であるチーズケーキの誘惑には勝てず、ライラは飛びつくように椅子に座り直す。フォークでケーキをもぐもぐと頬張り、「おいしい〜!!」と幸せそうに表情を緩める。
そんな彼女を、カラスバは頬杖をつきながら、至近距離で、それこそ舐めるように、愛おしげにガン見していた。
「……んむ。……あの、カラスバさん? なんでそんなにこっち見てるんですか」
「美味そうに食うとるなあと思って。ほんま可愛ええなあ。癒されるわあ」
「いやっ!! 見ないでください! セクハラー!!」
ライラがケーキの皿を抱えて椅子ごと後ずさると、カラスバの血管がビキビキと浮いた。
「ただ見とっただけやないか!!なにがセクハラや、ほんましばくで?! オレが金出したケーキ食うとんねんから、ちょっとくらい眺めさせんかい!!」
「いやです! 食べにくいです!!」
事務所には再び二人の怒号が響き渡った。
甘いムードもへったくれもないバレンタイン。
だが、カラスバは手元の小包に収まった「ライラお手製のチョコ」をそっと指で撫で、口角を吊り上げる。
(……まあ、なんやかんや言うても、オレのためだけに作らせたチョコやからな。今はこれでええわ)
不器用で強引な毒が、いつか彼女の心まで回る日を信じて。カラスバは満足げに、最後の一粒を大切に味わうのだった。
