デフォルト名は「ライラ」になります。
カラスバ(ZA)×固定夢主🪻
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観光客らしき女が、路地裏に迷い込んでもうたのか途方に暮れた様子で佇んでいた。
その程度の光景なら、街の雑踏の中に埋もれてしまうやろう。
せやけど、その“女”は何かが違うと、オレの勘が反応していた。
最初に目に入ったのは、やたらと怯えたような、影を引きずる横顔。ほんで次に目についたんは……ポケモンを一匹も連れとらんという異様さやった。
(なんやコイツ……ほんまにただの観光客か? 警戒心の質がちゃう。どこかから逃げてきた匂いっちゅうんか……)
サビ組っちゅう日陰者の仕事やっとると、嫌でも分かるようになる。暴れに来た外野なのか、ただの無害な旅人なのか。
その“匂い”は、歩き方ひとつ、視線の動かし方ひとつで出てまうからな。
その女は、そのどちらとも違っていた。
筋が一本だけ、妙に強情そうに通っとる。
それでいて、まるで何かに怯えていて、迷子みたいな足取りや。
(……変わった女やな)
観察してるだけでも面白かったんやけど、万が一があってもアカンからな。ミアレを脅かす脅威になるかもしれんやろし、警戒しておくには越したことはない。
ポケモンを連れずにこのミアレに来る理由。
そのくせ、街中のポケモンを見ては痛ましげに目ぇ伏せる仕草。
(ミアレ荒らしに来た他地方の刺客……って線も考えられるしな)
躊躇する理由なんてなかった。
ヤバそうな芽は早いうちに摘む。それがボスの仕事や。
せやから――わざと声をかけた。
「おねえさん、迷っとるんか?」
予想外やったのは……振り返った女の顔が、思いのほか幼くて、綺麗で、迷子の子どもみたいに不安げな瞳しとったことや。
(……なんや、ほんとにただの迷子かい)
正直、そんな女の様子に拍子抜けした。
けど同時に、おもろい気配がした。危なっかしくて、どこか放っとけん空気がある。おどおどキョドキョドしている様子は、野生のニャスパーを彷彿とさせる愛らしさを感じさせた。
「案内したるわ」
案内を買って出たのは、女が泊まるホテルを把握する為や。ジプソ達に命じて、この女のことを念の為に調べさせるための、手がかりを押さえる必要があった。
けれど――案内しながら世間話しとるうちに、違う感情が混ざりだす。
(ほんまにポケモン一匹も連れとらんし、モンスターボールも持っとらん。なら、どうやって今まで生きてきたんや? ポケモン嫌いっちゅーわけでもなさそうなのに、なんでや)
ポケモンを何故連れとらんのかと探ってみるも、気まずそうに、誤魔化すように笑ってはぐらかされる。罪悪感をひた隠しにするように、女は服の袖をきゅっ……と握りしめて、オレからの詮索を耐えているようにも見えた。
この女への興味が、いっそう強うなった。
***
その日の夜、即座にジプソ達に探らせた。
「ライラっちゅー名前なんか。イッシュのヒウンシティ出身。……ほう、プラズマ団の元構成員かいな」
報告が上がってきた時、ひとりでわろてしもうた。あんな大人しそうな女が、イッシュで名を馳せたという過激な組織の一員やったとは。人はやはり見かけに寄らない。
しかし、プラズマ団に入団した経緯報告を見て、何故彼女がポケモンを一匹も連れとらんかったのかっちゅー理由にも合点がいった。ポケモンを愛するが故に、未だに自分の手元にポケモンを縛り付けていいのかとか考えとるんやろな。
だから、ポケモンと人間が共生するっちゅーミアレに興味持って、遠路はるばるここまで来たんか。
(なるほどなあ……やから怯えとって、筋が一本通っとったんか)
罪を背負った人間が持つ独特の空気感が、ライラには付き纏っとる。
ライラがプラズマ団に入団した経緯を見るに、彼女は愚直すぎるほどにある意味純粋で、他人の言葉や思想に流されやすい。でもそれは、裏を返せば……ポケモンや他人の気持ちに寄り添おうとしすぎた、彼女特有の度が過ぎた優しさから来るものやったんやろうなと推察できる。
あまりにも危なかっしくて、愚かなほど甘い女やと思ったのに……オレは、もっとのライラことを知りたいとおもて、監視することをやめられんかった。
この時から、オレはライラという女に囚われていたんやろな。
***
一週間、わざと泳がせた。
ミアレのどこを歩くのか、誰と関わるのか、何に惹かれるのか。
全部、各地に散らばる部下達に陰から見張らせた。
結果――想定外のもんを見せられた。
ワイルドゾーンからあぶれた瀕死のフシデを見つけて、迷いなく抱えてポケモンセンターまで駆けていく姿。
ポケモンに乱暴する男に、果敢に食って掛かる勇ましい姿。
カフェで頼んだチーズケーキ一つで目を輝かせる幼い愛らしさ。
(……ほんまになんや、この女。どこまでおもろいねん)
危なっかしくて、頑固で、弱くて、それでも必死に、ちゃんと立とうとしてる。自分のやりたいこと、許せないこと、曲げられないことを……怯えながらもやり遂げようとする気概がある。
ポケモンを心から愛するが故に、自分の痛みをひた隠しにする。ポケモンの為ならばどこまでも体を張れる。そんなライラを、オレが囲って守ってやりたい……ミアレから出したくないと、心の底から思うようになっとった。
***
そして今日。
カフェ・カンコドールで、フシデとふわふわしとるライラに、オレは背後からわざと声を掛けた。
「ミアレ観光、楽しんどるか? ライラちゃん」
振り返った瞬間のライラの怯えた目は、オレの中に潜む加虐心を掻き立てるほどに……見応えのあるものだった。このミアレの地で、ライラの名前を知るものなんて本来おらん筈なのに。急に呼ばれたからビビっとるんやろうなと……容易に想像ができる。
(ええわ、その顔……やっぱりオレの勘は間違うてへん)
名前を呼べば震える。
テーブル越しに近づけば、フシデまで怯える。
せやのに、逃げん……震えながら、ちゃんと向き合おうとしとる。
その弱さは、誰にでも見せていいタイプの弱さちゃう。
守ってやりたくなる。……囲いたくなる。
全部教えたった。
ライラの過去も、弱みも、ミアレに来た理由も、全部知っとると。
そしたらライラの目が、今にも涙を零しそうなほどに潤んで、震えていて、息を呑んだ。
(ああ、ええ顔や)
逃げられへんように、ちゃんと教えてやる。
「オレ、サビ組のボスやらせてもろてるカラスバっていうねん。これからよろしゅうな、ライラ」
手を取って、指先に口付けた時……ライラの体が小さく跳ねた。そのあまりにも愛らしい反応に、胸の奥が熱くなる。
(もうええ。決めたわ)
この女を絶対に手に入れて、オレのもんにしたると。
まだアイツ自身は気付いてへんけどな。
ゆっくり、じわじわと。
逃げ場を全部塞いでいったらええ。
(覚悟しとき……ライラ)
オマエはいずれ、オレの毒で逃げられなくなる。身動き一つ取れなくなっていくんや。
その程度の光景なら、街の雑踏の中に埋もれてしまうやろう。
せやけど、その“女”は何かが違うと、オレの勘が反応していた。
最初に目に入ったのは、やたらと怯えたような、影を引きずる横顔。ほんで次に目についたんは……ポケモンを一匹も連れとらんという異様さやった。
(なんやコイツ……ほんまにただの観光客か? 警戒心の質がちゃう。どこかから逃げてきた匂いっちゅうんか……)
サビ組っちゅう日陰者の仕事やっとると、嫌でも分かるようになる。暴れに来た外野なのか、ただの無害な旅人なのか。
その“匂い”は、歩き方ひとつ、視線の動かし方ひとつで出てまうからな。
その女は、そのどちらとも違っていた。
筋が一本だけ、妙に強情そうに通っとる。
それでいて、まるで何かに怯えていて、迷子みたいな足取りや。
(……変わった女やな)
観察してるだけでも面白かったんやけど、万が一があってもアカンからな。ミアレを脅かす脅威になるかもしれんやろし、警戒しておくには越したことはない。
ポケモンを連れずにこのミアレに来る理由。
そのくせ、街中のポケモンを見ては痛ましげに目ぇ伏せる仕草。
(ミアレ荒らしに来た他地方の刺客……って線も考えられるしな)
躊躇する理由なんてなかった。
ヤバそうな芽は早いうちに摘む。それがボスの仕事や。
せやから――わざと声をかけた。
「おねえさん、迷っとるんか?」
予想外やったのは……振り返った女の顔が、思いのほか幼くて、綺麗で、迷子の子どもみたいに不安げな瞳しとったことや。
(……なんや、ほんとにただの迷子かい)
正直、そんな女の様子に拍子抜けした。
けど同時に、おもろい気配がした。危なっかしくて、どこか放っとけん空気がある。おどおどキョドキョドしている様子は、野生のニャスパーを彷彿とさせる愛らしさを感じさせた。
「案内したるわ」
案内を買って出たのは、女が泊まるホテルを把握する為や。ジプソ達に命じて、この女のことを念の為に調べさせるための、手がかりを押さえる必要があった。
けれど――案内しながら世間話しとるうちに、違う感情が混ざりだす。
(ほんまにポケモン一匹も連れとらんし、モンスターボールも持っとらん。なら、どうやって今まで生きてきたんや? ポケモン嫌いっちゅーわけでもなさそうなのに、なんでや)
ポケモンを何故連れとらんのかと探ってみるも、気まずそうに、誤魔化すように笑ってはぐらかされる。罪悪感をひた隠しにするように、女は服の袖をきゅっ……と握りしめて、オレからの詮索を耐えているようにも見えた。
この女への興味が、いっそう強うなった。
***
その日の夜、即座にジプソ達に探らせた。
「ライラっちゅー名前なんか。イッシュのヒウンシティ出身。……ほう、プラズマ団の元構成員かいな」
報告が上がってきた時、ひとりでわろてしもうた。あんな大人しそうな女が、イッシュで名を馳せたという過激な組織の一員やったとは。人はやはり見かけに寄らない。
しかし、プラズマ団に入団した経緯報告を見て、何故彼女がポケモンを一匹も連れとらんかったのかっちゅー理由にも合点がいった。ポケモンを愛するが故に、未だに自分の手元にポケモンを縛り付けていいのかとか考えとるんやろな。
だから、ポケモンと人間が共生するっちゅーミアレに興味持って、遠路はるばるここまで来たんか。
(なるほどなあ……やから怯えとって、筋が一本通っとったんか)
罪を背負った人間が持つ独特の空気感が、ライラには付き纏っとる。
ライラがプラズマ団に入団した経緯を見るに、彼女は愚直すぎるほどにある意味純粋で、他人の言葉や思想に流されやすい。でもそれは、裏を返せば……ポケモンや他人の気持ちに寄り添おうとしすぎた、彼女特有の度が過ぎた優しさから来るものやったんやろうなと推察できる。
あまりにも危なかっしくて、愚かなほど甘い女やと思ったのに……オレは、もっとのライラことを知りたいとおもて、監視することをやめられんかった。
この時から、オレはライラという女に囚われていたんやろな。
***
一週間、わざと泳がせた。
ミアレのどこを歩くのか、誰と関わるのか、何に惹かれるのか。
全部、各地に散らばる部下達に陰から見張らせた。
結果――想定外のもんを見せられた。
ワイルドゾーンからあぶれた瀕死のフシデを見つけて、迷いなく抱えてポケモンセンターまで駆けていく姿。
ポケモンに乱暴する男に、果敢に食って掛かる勇ましい姿。
カフェで頼んだチーズケーキ一つで目を輝かせる幼い愛らしさ。
(……ほんまになんや、この女。どこまでおもろいねん)
危なっかしくて、頑固で、弱くて、それでも必死に、ちゃんと立とうとしてる。自分のやりたいこと、許せないこと、曲げられないことを……怯えながらもやり遂げようとする気概がある。
ポケモンを心から愛するが故に、自分の痛みをひた隠しにする。ポケモンの為ならばどこまでも体を張れる。そんなライラを、オレが囲って守ってやりたい……ミアレから出したくないと、心の底から思うようになっとった。
***
そして今日。
カフェ・カンコドールで、フシデとふわふわしとるライラに、オレは背後からわざと声を掛けた。
「ミアレ観光、楽しんどるか? ライラちゃん」
振り返った瞬間のライラの怯えた目は、オレの中に潜む加虐心を掻き立てるほどに……見応えのあるものだった。このミアレの地で、ライラの名前を知るものなんて本来おらん筈なのに。急に呼ばれたからビビっとるんやろうなと……容易に想像ができる。
(ええわ、その顔……やっぱりオレの勘は間違うてへん)
名前を呼べば震える。
テーブル越しに近づけば、フシデまで怯える。
せやのに、逃げん……震えながら、ちゃんと向き合おうとしとる。
その弱さは、誰にでも見せていいタイプの弱さちゃう。
守ってやりたくなる。……囲いたくなる。
全部教えたった。
ライラの過去も、弱みも、ミアレに来た理由も、全部知っとると。
そしたらライラの目が、今にも涙を零しそうなほどに潤んで、震えていて、息を呑んだ。
(ああ、ええ顔や)
逃げられへんように、ちゃんと教えてやる。
「オレ、サビ組のボスやらせてもろてるカラスバっていうねん。これからよろしゅうな、ライラ」
手を取って、指先に口付けた時……ライラの体が小さく跳ねた。そのあまりにも愛らしい反応に、胸の奥が熱くなる。
(もうええ。決めたわ)
この女を絶対に手に入れて、オレのもんにしたると。
まだアイツ自身は気付いてへんけどな。
ゆっくり、じわじわと。
逃げ場を全部塞いでいったらええ。
(覚悟しとき……ライラ)
オマエはいずれ、オレの毒で逃げられなくなる。身動き一つ取れなくなっていくんや。
