デフォルト名は「ライラ」になります。
カラスバ(ZA)×固定夢主🪻
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脚の腱を断ち切ってからというもの、ライラはすっかり静かになった。
ベッドの上に力なく横たわり、空ろな瞳で天井を見つめるだけの毎日。逃げ出そうと足掻く気力すら奪ってしまったのは少し可哀想やった気もするが、しゃーない。オレの腕の中から飛び立とうとする鳥には、羽をもいでおくしかないんやから。
せやけど、オレは知っとった。
ライラの瞳の奥底に、まだ消え切っていない、小さくて黒い炎が燻っていることを。
(……なんや、オレに内緒でコソコソ隠し持っとるな?)
毒を扱うサビ組のボスを舐めたらあかん。部屋のわずかな匂いの変化、ライラの指先に微かに残るワイルドゾーン特有の痺れ草の成分。彼女が「足りない頭」で必死に考え、オレを殺すための猛毒を調合していることなんて、とうの昔に気づいていた。
それを知った時、オレの胸を満たしたのは怒りでも呆れでもない。
腹の底から湧き上がるような、甘くて、とろけるような「歓喜」だった。
(ああ、ええ子や。ライラ……オマエ、オレのこと殺したいほど憎んでくれとるんやな)
あのプラズマ団の過去に囚われ、自分の罪ばかりを見つめていたライラが。
ついに他の何でもない、この「カラスバ」という男だけを真っ直ぐに見据え、どうやって殺してやろうかと四六時中オレのことで頭をいっぱいにしている。
それがたまらなく愛おしくて、嬉しくて、オレはわざと騙されたふりをしてやることにした。
「……カラスバさん、これ……」
ある夜、ライラが震える手でグラスを差し出してきた。
グラスの中身からは、強烈な毒の気配が立ち上っている。これを飲めば死ぬと分かっているのに、ライラのその上目遣いがあまりにも健気で可愛らしくて、オレは躊躇なくそれを受け取った。
「お、オマエからお酌してくれるなんて珍しいな。嬉しいわあ」
一気に煽る。毒液が喉を焼け焦がすような感覚。普通の人間なら即死やろうが、長年毒に親しみ、耐性を作り上げてきたオレの身体には、ちょっと強い酒程度の刺激にしかならない。
グラスを空にしたオレを見て、ライラの顔に一瞬だけ「希望」が差した。
ようやくこの悪魔から解放される。そう信じたんやろな。
せやけど、オレがいつまで経っても倒れへんのを見て、その希望はゆっくりと絶望へと反転していく。
「な、んで……どうして……っ」
信じられないもんを見るような、怯え切った瞳。
あぁ、たまらん。ほんまに、オマエはどこまでオレを喜ばせたら気が済むんや。
「なるほどなあ。そういうことか。……オレに毒盛ろうとするなんて、ほんまに度胸あるやんか」
逃げようとするライラの顎を掴み、オレはそのまま唇を塞いだ。
舌を絡め、オレの口内にまだ残っていたその猛毒を、一滴残らずライラの喉の奥へと押し込んでやる。
「ん、ぐ……っ!? ぁ、んんんっ!!」
オマエがオレの為に作ってくれた毒や。二人で分け合わんと、寂しいやろ?
唇を離した瞬間、ライラは床に崩れ落ち、喉を掻きむしって苦しみ始めた。毒耐性のない細い身体を、劇薬が容赦なく破壊していく。
「あ……が、は……っ、あ……」
血を吐き、涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにして痙攣するライラ。
その姿は酷たらしく、同時に、世界中のどんな宝石よりも美しかった。
オレは床に膝をつき、死にゆくライラの身体を優しく、壊れ物を扱うように抱きしめた。体温が急速に失われ、命の灯火が消えようとしている。
「ごめんなあ、ライラ。オレもオマエの為なら死んでやりたいのは山々なんやけどな? 可愛い子分達を見捨てるわけにはいかへんねん。オレは、オマエの為には死なれへんのや」
嘘やない。オマエと心中できたらどれだけ幸せか。
でも、オレにはサビ組のボスとしての責任がある。オレを慕ってくれる子分達の太陽で在り続けるのが、オレに課せられた責務や。だから、オマエには先に逝ってもらうしかない。
血に濡れたライラの頬を親指で撫でながら、オレはずっと言いたかった本音を囁いた。
「……でも、オマエがオレのことで頭いっぱいにして、どうやってオレのこと殺そうかってずっと必死に考えてくれてたの、嬉しかったさかい。……ようやっと、オレのこと見てくれたな。ライラ……」
プラズマ団の罪でもなく、ポケモンのことでもない。
最期の最期で、オマエの心は「オレへの殺意」で完全に満たされた。他の誰も入り込めないほどに、カラスバという毒で染まり切ってくれた。
これ以上の幸福が、この世のどこにある?
ライラの大きな瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
苦痛の中、彼女が何かを悟ったように、微かに表情を和らげたのを見逃さなかった。
オマエも、やっと気づいてくれたんか。これが、オマエがずっと求めていた「罰」で、そしてオレたちの「愛」の形なんやと。
「先に地獄で待っててな。オレも全てが終わったら、ライラと同じ地獄に行ったるからな。……ライラは独りじゃあらへんで」
ライラの身体から、ふっと最後の力が抜けた。
心臓の音が止まり、呼吸が永遠に途絶える。
「……ライラ?」
腕の中で完全に重力だけを従えるようになった亡骸。
オレは、まだ温かいその身体をきつく抱きしめ、血のついた唇に深く口付けをした。
もう、オレから逃げようと足掻くこともない。他の誰かを思い浮かべて泣くこともない。
これでようやく、ライラは永遠に、完璧に、オレだけのものになったんや。
ミアレシティの冷たい夜の底で、オレは愛おしい彼女を抱きしめながら、心の底から満ち足りた溜息をついた。
ベッドの上に力なく横たわり、空ろな瞳で天井を見つめるだけの毎日。逃げ出そうと足掻く気力すら奪ってしまったのは少し可哀想やった気もするが、しゃーない。オレの腕の中から飛び立とうとする鳥には、羽をもいでおくしかないんやから。
せやけど、オレは知っとった。
ライラの瞳の奥底に、まだ消え切っていない、小さくて黒い炎が燻っていることを。
(……なんや、オレに内緒でコソコソ隠し持っとるな?)
毒を扱うサビ組のボスを舐めたらあかん。部屋のわずかな匂いの変化、ライラの指先に微かに残るワイルドゾーン特有の痺れ草の成分。彼女が「足りない頭」で必死に考え、オレを殺すための猛毒を調合していることなんて、とうの昔に気づいていた。
それを知った時、オレの胸を満たしたのは怒りでも呆れでもない。
腹の底から湧き上がるような、甘くて、とろけるような「歓喜」だった。
(ああ、ええ子や。ライラ……オマエ、オレのこと殺したいほど憎んでくれとるんやな)
あのプラズマ団の過去に囚われ、自分の罪ばかりを見つめていたライラが。
ついに他の何でもない、この「カラスバ」という男だけを真っ直ぐに見据え、どうやって殺してやろうかと四六時中オレのことで頭をいっぱいにしている。
それがたまらなく愛おしくて、嬉しくて、オレはわざと騙されたふりをしてやることにした。
「……カラスバさん、これ……」
ある夜、ライラが震える手でグラスを差し出してきた。
グラスの中身からは、強烈な毒の気配が立ち上っている。これを飲めば死ぬと分かっているのに、ライラのその上目遣いがあまりにも健気で可愛らしくて、オレは躊躇なくそれを受け取った。
「お、オマエからお酌してくれるなんて珍しいな。嬉しいわあ」
一気に煽る。毒液が喉を焼け焦がすような感覚。普通の人間なら即死やろうが、長年毒に親しみ、耐性を作り上げてきたオレの身体には、ちょっと強い酒程度の刺激にしかならない。
グラスを空にしたオレを見て、ライラの顔に一瞬だけ「希望」が差した。
ようやくこの悪魔から解放される。そう信じたんやろな。
せやけど、オレがいつまで経っても倒れへんのを見て、その希望はゆっくりと絶望へと反転していく。
「な、んで……どうして……っ」
信じられないもんを見るような、怯え切った瞳。
あぁ、たまらん。ほんまに、オマエはどこまでオレを喜ばせたら気が済むんや。
「なるほどなあ。そういうことか。……オレに毒盛ろうとするなんて、ほんまに度胸あるやんか」
逃げようとするライラの顎を掴み、オレはそのまま唇を塞いだ。
舌を絡め、オレの口内にまだ残っていたその猛毒を、一滴残らずライラの喉の奥へと押し込んでやる。
「ん、ぐ……っ!? ぁ、んんんっ!!」
オマエがオレの為に作ってくれた毒や。二人で分け合わんと、寂しいやろ?
唇を離した瞬間、ライラは床に崩れ落ち、喉を掻きむしって苦しみ始めた。毒耐性のない細い身体を、劇薬が容赦なく破壊していく。
「あ……が、は……っ、あ……」
血を吐き、涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにして痙攣するライラ。
その姿は酷たらしく、同時に、世界中のどんな宝石よりも美しかった。
オレは床に膝をつき、死にゆくライラの身体を優しく、壊れ物を扱うように抱きしめた。体温が急速に失われ、命の灯火が消えようとしている。
「ごめんなあ、ライラ。オレもオマエの為なら死んでやりたいのは山々なんやけどな? 可愛い子分達を見捨てるわけにはいかへんねん。オレは、オマエの為には死なれへんのや」
嘘やない。オマエと心中できたらどれだけ幸せか。
でも、オレにはサビ組のボスとしての責任がある。オレを慕ってくれる子分達の太陽で在り続けるのが、オレに課せられた責務や。だから、オマエには先に逝ってもらうしかない。
血に濡れたライラの頬を親指で撫でながら、オレはずっと言いたかった本音を囁いた。
「……でも、オマエがオレのことで頭いっぱいにして、どうやってオレのこと殺そうかってずっと必死に考えてくれてたの、嬉しかったさかい。……ようやっと、オレのこと見てくれたな。ライラ……」
プラズマ団の罪でもなく、ポケモンのことでもない。
最期の最期で、オマエの心は「オレへの殺意」で完全に満たされた。他の誰も入り込めないほどに、カラスバという毒で染まり切ってくれた。
これ以上の幸福が、この世のどこにある?
ライラの大きな瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
苦痛の中、彼女が何かを悟ったように、微かに表情を和らげたのを見逃さなかった。
オマエも、やっと気づいてくれたんか。これが、オマエがずっと求めていた「罰」で、そしてオレたちの「愛」の形なんやと。
「先に地獄で待っててな。オレも全てが終わったら、ライラと同じ地獄に行ったるからな。……ライラは独りじゃあらへんで」
ライラの身体から、ふっと最後の力が抜けた。
心臓の音が止まり、呼吸が永遠に途絶える。
「……ライラ?」
腕の中で完全に重力だけを従えるようになった亡骸。
オレは、まだ温かいその身体をきつく抱きしめ、血のついた唇に深く口付けをした。
もう、オレから逃げようと足掻くこともない。他の誰かを思い浮かべて泣くこともない。
これでようやく、ライラは永遠に、完璧に、オレだけのものになったんや。
ミアレシティの冷たい夜の底で、オレは愛おしい彼女を抱きしめながら、心の底から満ち足りた溜息をついた。
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