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忍足 謙也
突然すまん!
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忍足 謙也
去年クラス一緒だった忍足やけど、覚えとる?
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水無月 紗南
うん!覚えてるよ〜、久しぶりー
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忍足 謙也
突然連絡したんは、ちょっと頼みたいことがあって…
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忍足 謙也
2組の白石ってやつ知っとるか?俺と同じテニス部なんやけど
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水無月 紗南
うん、知ってるよー、人気者だもん 笑
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忍足 謙也
なんか悔しいけど、せやな 笑
そいつに水無月の連絡先教えてほしいって言われたんやけど、ええか? -
忍足 謙也
嫌やったら全然断ってええから!
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え、あの憧れの白石くんが…?な、なんでだろう、嬉しいけど、期待していいのかな…というか、心臓バクバク…
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水無月 紗南
白石くんが?うん、別にいいよー
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忍足 謙也
おおきに!じゃあ教えるわ!
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次の日
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白石 蔵ノ介
初めまして、白石です!突然ごめんな!
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白石 蔵ノ介
連絡先教えてくれておおきに。
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わ…ほんとに白石くんからLINEきた…!どうしよう…めっちゃ緊張する!でも、冷静に返さなきゃ…
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水無月 紗南
初めまして、水無月です!
ちょっとびっくりしたけど、全然大丈夫だよ 笑 -
白石 蔵ノ介
驚かせてしもて、すまんな 笑
この間、試合見にきてくれてたやろ? -
水無月 紗南
うん、友達に誘われて 笑
試合初めて見たけど、凄かった! -
白石 蔵ノ介
来てくれておおきに!そう言ってもらえると頑張った甲斐があるわ〜笑
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水無月 紗南
というか、来てたの気づいてたんだね!まず私のこと知らないと思ってた 笑
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白石 蔵ノ介
同じクラスになったことないしなぁ 笑
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白石 蔵ノ介
この間来てくれてるの見て、自分と話してみたいと思って謙也に名前と連絡先聞いた 笑
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え、、!そうだったの!?気になって連絡してくれたってことなのかな、、
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白石 蔵ノ介
来週の土曜にまた試合あるんやけど、もし暇やったら見に来てくれへん?
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水無月 紗南
来週の土曜なら空いてるよ〜、見に行くね!
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白石 蔵ノ介
よっしゃ!自分が来てくれるならがんばるでー!
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白石 蔵ノ介
試合終わった後、ご飯でもいかへん?
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水無月 紗南
いいよー!でも、試合の後なのに疲れない?大丈夫?
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白石 蔵ノ介
大丈夫やで!水無月さん優しいなぁ 笑
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水無月 紗南
そんなことないよ!笑
土曜、楽しみにしてるね〜 -
試合当日
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水無月 紗南
試合頑張ってねー!🎾
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白石 蔵ノ介
おん!ありがとう!
終わったらすぐ連絡するわ! -
そして試合が始まった。白石くんのテニスは、素人の私から見ても美しくて、試合中ずっと見惚れてしまっていた。私以外にも、試合を見に来ている女の子は何人もいた。四天宝寺中テニス部はとても人気で、ファンが多い。私の友達もその一人で、私は前回誘われて付いていったのだ。
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四天宝寺中の選手に対して、よく黄色い声が飛ぶ。しかしその中でも、圧倒的に白石くんの時がすごかった。周りの声にかき消されて届かないと思いながらも、私も「白石くんがんばれ!」と応援した。そのとき、白石くんがこっちを向いてはにかんでくれたのだ。白石くんと目が合った、初めての瞬間だった。
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試合は白石くんの圧倒的勝利で終わった。
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白石 蔵ノ介
応援おおきに!ちゃんと聞こえてたで!
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白石 蔵ノ介
今から片付けとか終わらせるから、5分くらい待っとってや!すまん🙏
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水無月 紗南
おめでとう!今日も凄かった〜 笑
正門で待ってるね! -
その後すぐ、白石くんが一人で出て来た。他の部員の人たちが出てこなかったのが気になったけど…。
「さ、行こか!早よここから離脱せんと邪魔者がくるで…」 -
その後、ご飯に行った。憧れの白石くんと2人なんて、すごく緊張すると思っていた。でも、白石くんはとっても明るくて、初めて直接喋るのに、すっごく楽しくて、話が止まらなかった。
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白石 蔵ノ介
今日はほんまにおおきに!めっちゃ楽しかったわ!
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白石 蔵ノ介
自分がおると、いつも以上に試合頑張ってまう 笑
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水無月 紗南
こちらこそありがとう!楽しかった〜。
試合もかっこよかったよ✨ -
白石 蔵ノ介
ほんまか!うわー、めっちゃ嬉しいわ 笑
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白石と謙也のトーク
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白石 蔵ノ介
謙也〜!!水無月さんにかっこよかったって言われたんやけど!!
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忍足 謙也
おう
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白石 蔵ノ介
ほんまエクスタシーや!!初めて話したけど、めっちゃかわええし、ええ子やし…もうどんどん好きになってまう…
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忍足 謙也
あーそうですかよかったですね
でも水無月さん、めっちゃ男子に人気あるで。ドンマイ -
白石 蔵ノ介
なんでそんな冷たいん!?あ、妬いとるんやろ〜!
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白石 蔵ノ介
まあ、人気あるやろなあ…
俺、本気やから、まじで頑張るわ -
忍足 謙也
おー、白石がそこまで言うん初めて聞いたわ。ま、がんばりー
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数日後の登校中
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白石 蔵ノ介
何の曲聞いとるん?
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水無月 紗南
えっ?
-
その時、肩をトントンと叩かれ、振り返ると、白石くんがいた。
とっさにイヤホンを外す。
「おはようさん」
「おはよう、びっくりした〜!」
朝から会うなんて、一緒に登校できるなんて、夢みたいだ。 -
数日後
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ある日、テスト期間の放課後に図書室にいると…
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白石 蔵ノ介
隣り行ってええか?
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水無月 紗南
え?
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白石くんからのメッセージに驚き、周りを見渡すと、本棚の陰から白石くんが出てきた。
「びっくりしたー!」
「一緒に帰りたいと思って、教室に行ったらおらへんかったから、友達に聞いたら図書室やって。」
わざわざ来てくれたんだ、まさか会えると思ってなかったから、すっごい嬉しい、眠気も吹っ飛ぶ…!
「俺も一緒にとなりで勉強してええか?」
「うん!もちろん!」
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私たちのいる机は本棚に囲まれていて、密室のようになっている。なんだか二人きりみたいだし、周りがシーンと静かなのもあって緊張する。
緊張を誤魔化すように目の前のテキストに集中する…ふりをする。
白石くんもテキストを出して、勉強を始めるようだ。しばらくして、静かだな、と思って一瞬となりを見ると、白石くんがこちらを凝視していた。
目が合った瞬間、恥ずかしくて、なにもいえなくなってしまう -
「ど、どうしたの?」
「……水無月さんって、勉強得意なん?」
「えっ…うーん、普通かな…。白石くんは?」
「俺も普通やな…(やばい、見惚れてて何も考えてなかったから適当に話題振ってしもた)じゃあ、今度のテストで勝負せーへん?」
「いいよ、じゃあ総合点で勝負にしようか!」
そんな話をしながら、夕方の図書室、2人で過ごした。その流れで一緒にも帰れて、すごくついてる日だ -
次の日
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次の日も、私は図書室に向かった。白石くん、来ないかな…流石に今日はこないか。
なんて思いながら、昨日と同じ席へ向かう。
すると、そこに白石くんがいた。
「おう!奇遇やな」
白石くんが少し恥ずかしそうに笑顔で声をかけてくれる。
それがとても嬉しくて、こちらまで笑顔になった。
その後のテストまでの何日か、放課後の図書室で同じ時間を過ごした。
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テスト終了後
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白石 蔵ノ介
テストお疲れさん!
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水無月 紗南
お疲れさま〜!数学難しくなかった?笑
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白石 蔵ノ介
最後の方難しかったな…とりあえず書いといたけどな 笑
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白石 蔵ノ介
テストの点、低かった方が相手のいうことを1つ聞くってことでどや?笑
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水無月 紗南
おっけー!
負けそうで怖いなー 笑 -
白石 蔵ノ介
楽しみやなー
何聞いてもらおうかー 笑 -
水無月 紗南
勝つの前提じゃーん 笑
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白石 蔵ノ介
冗談や 笑
正直水無月さんめっちゃ勉強できそうやし、自信ない 笑 -
水無月 紗南
プレッシャーかけないでー 笑
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白石 蔵ノ介
せや、テスト返って来たらどっか遊びにいかへん?
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水無月 紗南
いいね!どこ行こうか?
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白石 蔵ノ介
どっか行きたいところとかある?
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水無月 紗南
ちょうど花が綺麗な季節だから、見に行きたいな〜
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白石 蔵ノ介
それええな!俺、植物園とか好きやねん。
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数日後
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水無月 紗南
謙也くん、ちょっと相談なんだけど
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忍足 謙也
どした?
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水無月 紗南
テニス部ってマネージャー募集してるの…?
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忍足 謙也
せやで、絶賛募集中や!
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忍足 謙也
まさか、マネージャーやってくれはるんか!?
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水無月 紗南
試合見に行ってるうちに、興味あるなーって思って!
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忍足 謙也
ほんまか!ぜひ待ってるで!大歓迎や!
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デート当日
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その日は、張り切ってお弁当をつくって、植物園に行って2人で花を見ながら食べた。
すごく白石くんが嬉しそうにしてくれて、見てるこっちのほうが嬉しかった。
白石くんは植物に詳しくて、色んなことを教えてもらった。
そして、テストの点数の結果発表もした。 -
「負けた…数学で最後まちがえたせいだ…」
3点という僅差で、私は白石くんに負けた。
「勝ったけど、あんま勝った気せーへんなぁ。というか、今回俺めっちゃ点数上がったんやけど、水無月さんと勉強したおかげやな!」
「私も点数上がったよ!というか、今回学年二位だって先生に言われた。だから、白石くんが一位じゃない?」
「ほんまか!2人で勉強した成果やなあ!」
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「約束どおり、1つお願い聞いてあげる!」
白石くんは悩ましげに答えた。
「めっちゃいろいろ考えてたんやけど…どれもこれも今やないというか…俺個人の願望過ぎるというか…」
「ん?」
「んーー、今やなくて、もうちょい先延ばしでもええ!?」
「うん、いいよ?」
そんなこんなで、その日は一日中一緒にいて、さらに仲が深まった気がした。
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数日後、謙也と白石のトーク
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忍足 謙也
マネージャーの話聞いたか?
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白石 蔵ノ介
ん?なんの話?
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忍足 謙也
水無月がマネージャー興味あるって言うてなかった?
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白石 蔵ノ介
えっ、全く初耳なんやけど!!!ほんまか?
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忍足 謙也
てか、まだ水無月に告ってへんのか?
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白石 蔵ノ介
おん…まだやで
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忍足 謙也
おっそいわ、なにとろとろしとんねん
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白石 蔵ノ介
いや、ほんまは言いたいんやけど…
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白石 蔵ノ介
正直に言うけど笑わんといてな
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白石 蔵ノ介
自分から好きになったの初めてやし、びっくりするくらい自信ないんや
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白石 蔵ノ介
振られて関わりがなくなるの想像したら、気持ち言おうと思っても言えへん
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忍足 謙也
はあ?なに女々しいこと言っとんねん
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忍足 謙也
そんなん言っとると明日の試合も勝てへんで
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白石 蔵ノ介
やから笑わんとってって言ったやん 笑
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忍足 謙也
いいこと教えたるわ
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忍足 謙也
水無月とおんなじクラスの男が、告ろうとしてるみたいやで
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白石 蔵ノ介
え
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白石 蔵ノ介
それほんまか
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忍足 謙也
ほんまや。
あと、のろのろしとると俺も告ってまうで -
白石 蔵ノ介
はぁ!?それは許さへん!!
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忍足 謙也
スピードスター舐めるんやないで
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白石 蔵ノ介
おん
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白石 蔵ノ介
おおきに
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白石 蔵ノ介
取られる前に男見せたるわ
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同日
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忍足 謙也
明日の試合はこーへんの?
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あれから何回か試合を見に行ってたけど、明日試合があるとは聞いてない。
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水無月 紗南
あれ、明日あるんだ?何も聞いてないよ〜
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忍足 謙也
そーなんか…まあそんなことやろうとは思ったわ
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忍足 謙也
明日の試合、結構厳しい試合なんや。せやから白石、負けるとこ見せたなくて言ってへんのや。
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水無月 紗南
そうなんだ…
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忍足 謙也
あした、来てほしい。水無月がきたら、白石絶対勝てるから。
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忍足 謙也
これ、本人には秘密で
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水無月 紗南
うん!教えてくれてありがとう。
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大事な試合なのに、教えてくれないなんて。白石くんらしくないけど、それだけ厳しい試合なんだろう。私が行ったら邪魔しちゃうんじゃないかとか、考えてしまったけど、謙也くんが言ってたことを信じたい。誰よりも近くで、いちばん、応援したい。
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次の日
-
開始直前に、試合会場へ向かった。まだ気付かれてないみたい。よかった。
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そして、ついに最後の試合、白石くんのS1が始まった。それまでの試合は2:2で引き分け、つまり、白石くんの試合が勝利を分ける。
あんなに強い白石くんが、押されている。なんだかいつもの白石くんを、見失っているような気がした。
いつもそんなにかいていない汗が、今日は滴り落ちている。 -
「白石くん!がんばって!」
普段小さい声の私の、精一杯の大きな声で、精一杯の気持ちで、そう叫んだ。
白石くんがこちらを見る。
驚いたような、何かを決意したような、見たことのない表情になった。
いつもの白石くんとは、違う。
そこから、白石くんの動きが大きく変わった。 -
相手を圧倒し始め、あっという間に同点にまで追いついた。あともう少し。もう少しで、勝てる。
精一杯声を振り絞って、誰よりも応援する。
そして、白石くんは勝利を収めた。 -
試合後、白石くんに駆け寄る部員たち。すごく嬉しそうで、白石くん、もみくちゃになってる 笑
そして部員たちは部室に撤収し、片付けを始めた。
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白石 蔵ノ介
部室の外にきてくれへん?
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水無月 紗南
うん、わかった!
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一言だけのメッセージに、鼓動が早くなる。
なにを言われるんだろう。黙って来たこと、怒られるかな?
ドキドキしながら、部室の近くに行く。 -
そこには、白石くんが待っていた。
いつもと違う、緊張感のある空気。
『おめでとう』
そう言おうとしたとき、白石くんの言葉で遮られた。
「好きや!水無月さん、俺と付き合ってください!」
それはとても真剣な声、表情で。
その言葉が耳に入って来たと同時に、もう胸がいっぱいで、感情の行き場がなくなりそうだった。
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答え…なきゃ、伝えたい。
きっと白石くんと同じくらい、いや、それ以上の気持ち。
「わたしも、白石くんのこと大好き。」
その瞬間、白石くんは私を抱きしめた。
まだ少し火照った体から、熱が伝わってくる。
「ほんまに…?嬉しい、どないしよう」
抱きしめる腕の力がさらに強まる。
しばらくして、腕が解かれると、白石くんに見つめられる。
「好きや…絶対、大事にする…」 -
真剣な目、優しい声。この人と、ずっと一緒にいたいと思った。
「あー…もう、可愛すぎる…」
なんだか困ったような表情をしたと思ったら、後ろにある部室の壁に、私をもたれさせ、下からすくい上げるように
ちゅ…
長いキス
ドキドキしすぎて、もうなにも考えられない。
ゆっくりと離れる唇。
再び真っ直ぐ見つめられる。
「あのときのお願いも、聞いてくれるか?」
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思わず声が出ず、こくんと頷く。
「マネージャーになってください」
「…はい!」
「俺の勝利の女神は紗南や…」
そして再び、抱きしめられた。
白石くんの胸板は、とても心地が良くて。
「好きやで…紗南、離さへん…」
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部室の陰
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小春「ちょっと!押さんといてー!聞こえへんやないの!」
財前「謙也さん邪魔ッスわ」
謙也「あーなったのは俺のおかげなんやで!おい!聞いとるか!」 -
END
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