行きつく先はみな同じ
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俺が薫に成って数年が経った。子どもらしくない態度をすれば周りの大人に不信感を抱かせてしまうため、千鶴を手本に夜泣き、寝返り、ハイハイ、おしめを変えてほしいときに泣いたりした。千鶴に合わせてこれらのことを行ったので、父母には「仲がいいね~。さすが、双子」なんて言われた。ちょっとは疑おうぜ。それはそれで俺が困るけど。
この時代での文字が読み書きできるようになると、この世界のことを知るために色々な書を読み始めた。ハイハイの時同様、両親は五歳にも満たない幼い我が子が年齢に似つかわしくない物を読んでいても
「勉強熱心だな。さすが我が子だ」
「明は随分書物が好きねえ」
以上が両親。世話係や女中も両親と同じことを言うだけで、俺が知る限りでは「気味が悪い」などの悪口などは言っていない。
今日も一人縁側で医術についての書を読んでいると
「にいさまー」
舌足らずな声で名を呼ばれ、書物にむけていた視線をそちらに向ける。今世の妹でありこの薄桜鬼の世界のヒロインである千鶴がこっち向かって走ってきていた。まだ幼いこともあり、今にも転んでしまいそうではらはらしながら待つ。
「にいさま、おべんきょうしてるの?」
『もうおわってるからだいじょうぶ。それより、きょうはなにしようか』
俺の勉強の邪魔をしてしまったのではないか、そう思ったのか尋ねた千鶴に今日の勉学は終わったことを伝えてなにをして遊ぼうかと言うと、笑顔を浮かべて
「おはなつみ!」
『じゃあ、はなをあんで、とうさまとかあさまにあげよう』
千鶴の手を握って、置いてあった草履をはいて二人で花畑へとかけた
―――いつかおとずれる終わりの日まで、俺は楽しみたい。
* * * * *
それから数日後の四月の半ば、皐月が言っていた鬼化の意味がやっとわかった。というのも、千鶴と遊んでいると近所にいる幼馴染の間柄のクソガキが遊びに誘ってきた。嫌だというと、今さっきまで泥団子でもつくっていた泥だらけの手で千鶴の手を引っ張った。無理やり誘ってくることと泥だらけの手で千鶴に触れたことにきれた俺は鬼の力が覚醒した。
あたりは騒然とした。俺の歳で覚醒した者はおらず、周りにいた者たちは急いで家へ覚醒のことを伝えに走った。俺はと言えば、視界の端で風に揺られてチラチラ映る黒から白にかわった髪に驚いていた。
だいたいの鬼は十代の半ばで覚醒するようで、俺は幼いということで父から直々に力の制御方法を教わることとなった。完全に制御できるようになるまで毎日のように走り込みや組手をしてもらった。何故体力づくりのメニューなのかと言えば、父曰く制御するにはまずは体を丈夫にしなければならない。らしい。健全なる魂は~とか、そうゆうのだろう。
力をむやみやたらと発動させることなく制御することができた日、長州の重臣らが来た。なにか話し合っていたが、父の怒号が屋敷に響いた。かなり離れた部屋で母と千鶴の三人で遊んでいた俺たちにも聞こえた。不安げに母を見上げると「大丈夫よ母様と父様がなにがあっても守るわ」そう言って笑ったけれど、俺は未来を知ってるからとても不安になる。
『もうすぐかな・・・』
「どうしたんですか兄様?」
『何でもないよ』
こうは言ったものの、内心では不安が渦巻いている。
もうすぐ終わる。そして、始まる。
(もう少し続いてほしかったなあ)
願望を内心呟いて、母の胸に縋りついた。
この時代での文字が読み書きできるようになると、この世界のことを知るために色々な書を読み始めた。ハイハイの時同様、両親は五歳にも満たない幼い我が子が年齢に似つかわしくない物を読んでいても
「勉強熱心だな。さすが我が子だ」
「明は随分書物が好きねえ」
以上が両親。世話係や女中も両親と同じことを言うだけで、俺が知る限りでは「気味が悪い」などの悪口などは言っていない。
今日も一人縁側で医術についての書を読んでいると
「にいさまー」
舌足らずな声で名を呼ばれ、書物にむけていた視線をそちらに向ける。今世の妹でありこの薄桜鬼の世界のヒロインである千鶴がこっち向かって走ってきていた。まだ幼いこともあり、今にも転んでしまいそうではらはらしながら待つ。
「にいさま、おべんきょうしてるの?」
『もうおわってるからだいじょうぶ。それより、きょうはなにしようか』
俺の勉強の邪魔をしてしまったのではないか、そう思ったのか尋ねた千鶴に今日の勉学は終わったことを伝えてなにをして遊ぼうかと言うと、笑顔を浮かべて
「おはなつみ!」
『じゃあ、はなをあんで、とうさまとかあさまにあげよう』
千鶴の手を握って、置いてあった草履をはいて二人で花畑へとかけた
―――いつかおとずれる終わりの日まで、俺は楽しみたい。
* * * * *
それから数日後の四月の半ば、皐月が言っていた鬼化の意味がやっとわかった。というのも、千鶴と遊んでいると近所にいる幼馴染の間柄のクソガキが遊びに誘ってきた。嫌だというと、今さっきまで泥団子でもつくっていた泥だらけの手で千鶴の手を引っ張った。無理やり誘ってくることと泥だらけの手で千鶴に触れたことにきれた俺は鬼の力が覚醒した。
あたりは騒然とした。俺の歳で覚醒した者はおらず、周りにいた者たちは急いで家へ覚醒のことを伝えに走った。俺はと言えば、視界の端で風に揺られてチラチラ映る黒から白にかわった髪に驚いていた。
だいたいの鬼は十代の半ばで覚醒するようで、俺は幼いということで父から直々に力の制御方法を教わることとなった。完全に制御できるようになるまで毎日のように走り込みや組手をしてもらった。何故体力づくりのメニューなのかと言えば、父曰く制御するにはまずは体を丈夫にしなければならない。らしい。健全なる魂は~とか、そうゆうのだろう。
力をむやみやたらと発動させることなく制御することができた日、長州の重臣らが来た。なにか話し合っていたが、父の怒号が屋敷に響いた。かなり離れた部屋で母と千鶴の三人で遊んでいた俺たちにも聞こえた。不安げに母を見上げると「大丈夫よ母様と父様がなにがあっても守るわ」そう言って笑ったけれど、俺は未来を知ってるからとても不安になる。
『もうすぐかな・・・』
「どうしたんですか兄様?」
『何でもないよ』
こうは言ったものの、内心では不安が渦巻いている。
もうすぐ終わる。そして、始まる。
(もう少し続いてほしかったなあ)
願望を内心呟いて、母の胸に縋りついた。