Clear a Stage

◇ ジェイド視点



 少し、少し、あと少しだから。そうなだめすかしていたら随分の時間が経った気がする。

「そういえばここの時間はどう流れているんでしょうか」

 気絶している恋人となったジャックの世話をしながらジェイドは部屋を見回す。しかし、時計は変わらずない。もしかして、スマホも意味がないのかと思って召喚術を使って呼び寄せてみるが。

「止まってる」

 手元にやってきたスマホのディスプレイを見て見ればなんと廊下を歩いていたと思われる時間から動いていない。もしかしてここでの時間は外では流れていないのかもしれない。

「なんて高等な魔法でしょうか」

 感心しながらスマホをベッドに置く。そして、羽織っていたワイシャツの袖に腕を通す。釦を閉め終わりネクタイは、と探しているときだったピカと名案が浮かぶ。

「写真を撮らなくては」

 今まで処理をするときあらゆる情報から作られた妄想で補っていた。だが、この度めでたくジャックと恋人になることができた。そして、その恋人があられもない姿で寝ている。このチャンスを逃してはいけない。
 それに記憶はずっと維持できるわけではない。今日は大丈夫だろうが明日から分からない。
 ジェイドはベッドに置いたスマホを持ってカメラを起動する。そして、穏やかに眠るジャックにカメラを向けた。

「ふふ。今日から色んなあなたが見られて僕は幸せですよ」

 ジェイドはそれから何枚もの写真を撮影した。また、そのデータは暫くの間ジャックに気づかれることなかったのだった。


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