Clear a Stage
◆ ジャック視点
答えは分かりきっているのにこの愉快犯が。心の中で悪態を尽きながらガルルと唸る。だが、ジェイドには聞かないのか妖しげな笑みを浮かべて顔が近づけてきた。
「もう一度キスしてみますか」
「あれでは分からなかったみたいですし」と言ってジャックが許可する前にまたキスをしてくる。最初の触れ合うようなキスから徐々に深くなっていくキス。
うっとりしかけたがジャックはすぐにぐっとジェイドの肩を押す。
「んはっ、なにか?」
「はっ、このっ、ぁっふ」
やめろと言いかけてまたキスされた。このウツボの人魚はどうやらジャックの返事がいらないらしい。というより、もしかしたらこっちの答えが分かっているのか。なんでもお見通しなのか。それは腹が立つ。
「まてッッッ!」
ジャックは力の限りジェイドを押しやって叫ぶ。するとようやくジェイドもキスをするのをやめた。それでも何だかすべてお見通しといった顔で見下ろしてくる。やっぱり腹立たしい人魚だ。
「そう怒らないで」
「腹が立つ」
「すいません」
謝罪をしているにしてもなんて嬉しそうな――幸せそうな顔だ。怒りが削がれていく中、ジャックは腹筋で上体を起し向き合う。ワクワクしているジェイドに腹立たしさもなくなるのはあまりにも絆され過ぎている。けれど、そのワクワクしている彼が可愛いのだからもう完全に自分の負けだ。
「はぁ、俺も好きです」
「両想いですね」
「そうっす」
半ば投げやりに答えるがふくふくと嬉しそうなジェイドにくすぐったさを覚えて――ハッと思い出す。すぐに辺りを見回すと今までなかった扉があった。ジャックはすぐにジェイドを見て叫ぶ。
「先輩っ! 扉っ!」
「おや。見つけてしまいましたか」
「いや、見つけるって、これでようやく出られるじゃねぇか……」
がっかりというようなジェイドに眉を顰める。そもそもキスの始まりはここを脱出するため。途中からいい気持ちではあったが本来の目的の脱出を忘れてはいけない。
「ジェイド先輩、ここから出――」
「ジャックくん」
「わっ」
言葉を遮られると再び押し倒される形になった。思わず睨み上げるとジェイドが少しばかり拗ねた顔をする。
「本当にもう出ていくつもりですか」
「脱出が目的だろ」
「せっかく恋人同士になったのに?」
「うっ」
恋人同士という言葉に種族の本能が擽られる。狼の獣人属は番いになると時間が許す限りずっと共にいる。だから、ジャックもできればジェイドと一緒にいたい。だが、何が起きるか分からない魔法の部屋からは出たい。
「そ、外でも一緒に居られるじゃないっすか」
「学年も、寮も違うのに?」
「うっ、それは」
ジャックの返事に拗ねたままのジェイド。その拗ねた顔が初めて見るものでこういう顔が見られるという特別な立場になったことにドキドキしてくる。
「ジャックくん」
「きゅぅ」
耳元で囁かれて思わず鳴いてしまう。恥ずかしさに顔に熱が集まるがジェイドはそこから離れず「寂しいです」と切ない声を出す。そんな声を出されてしまえばジャックが勝てるはずなんてない。
「ぐっ、ぅぅ、す、すこし、だけ、なら」
「ん? なにか?」
クスクス耳元で笑うジェイドにイラつきながらもう一度叫ぶ。
「少しだけならここにいますッ!」
その叫びが全然少しでないことは薄らとジャックは気づいていた。
答えは分かりきっているのにこの愉快犯が。心の中で悪態を尽きながらガルルと唸る。だが、ジェイドには聞かないのか妖しげな笑みを浮かべて顔が近づけてきた。
「もう一度キスしてみますか」
「あれでは分からなかったみたいですし」と言ってジャックが許可する前にまたキスをしてくる。最初の触れ合うようなキスから徐々に深くなっていくキス。
うっとりしかけたがジャックはすぐにぐっとジェイドの肩を押す。
「んはっ、なにか?」
「はっ、このっ、ぁっふ」
やめろと言いかけてまたキスされた。このウツボの人魚はどうやらジャックの返事がいらないらしい。というより、もしかしたらこっちの答えが分かっているのか。なんでもお見通しなのか。それは腹が立つ。
「まてッッッ!」
ジャックは力の限りジェイドを押しやって叫ぶ。するとようやくジェイドもキスをするのをやめた。それでも何だかすべてお見通しといった顔で見下ろしてくる。やっぱり腹立たしい人魚だ。
「そう怒らないで」
「腹が立つ」
「すいません」
謝罪をしているにしてもなんて嬉しそうな――幸せそうな顔だ。怒りが削がれていく中、ジャックは腹筋で上体を起し向き合う。ワクワクしているジェイドに腹立たしさもなくなるのはあまりにも絆され過ぎている。けれど、そのワクワクしている彼が可愛いのだからもう完全に自分の負けだ。
「はぁ、俺も好きです」
「両想いですね」
「そうっす」
半ば投げやりに答えるがふくふくと嬉しそうなジェイドにくすぐったさを覚えて――ハッと思い出す。すぐに辺りを見回すと今までなかった扉があった。ジャックはすぐにジェイドを見て叫ぶ。
「先輩っ! 扉っ!」
「おや。見つけてしまいましたか」
「いや、見つけるって、これでようやく出られるじゃねぇか……」
がっかりというようなジェイドに眉を顰める。そもそもキスの始まりはここを脱出するため。途中からいい気持ちではあったが本来の目的の脱出を忘れてはいけない。
「ジェイド先輩、ここから出――」
「ジャックくん」
「わっ」
言葉を遮られると再び押し倒される形になった。思わず睨み上げるとジェイドが少しばかり拗ねた顔をする。
「本当にもう出ていくつもりですか」
「脱出が目的だろ」
「せっかく恋人同士になったのに?」
「うっ」
恋人同士という言葉に種族の本能が擽られる。狼の獣人属は番いになると時間が許す限りずっと共にいる。だから、ジャックもできればジェイドと一緒にいたい。だが、何が起きるか分からない魔法の部屋からは出たい。
「そ、外でも一緒に居られるじゃないっすか」
「学年も、寮も違うのに?」
「うっ、それは」
ジャックの返事に拗ねたままのジェイド。その拗ねた顔が初めて見るものでこういう顔が見られるという特別な立場になったことにドキドキしてくる。
「ジャックくん」
「きゅぅ」
耳元で囁かれて思わず鳴いてしまう。恥ずかしさに顔に熱が集まるがジェイドはそこから離れず「寂しいです」と切ない声を出す。そんな声を出されてしまえばジャックが勝てるはずなんてない。
「ぐっ、ぅぅ、す、すこし、だけ、なら」
「ん? なにか?」
クスクス耳元で笑うジェイドにイラつきながらもう一度叫ぶ。
「少しだけならここにいますッ!」
その叫びが全然少しでないことは薄らとジャックは気づいていた。