ジェイド × ジャック
塩分濃度3.4%
「最近ジャックくんは僕に塩対応ですよね」
授業で使う薬草を回収する手を止める。言葉の発信源である隣で薬草を同じように回収しているジェイドを見る。ジェイドはこちらを見ることなく別の薬草を回収していた。ならばこちらも手を止めることではないと作業を再開しながら素っ気なく答える。
「なんだよ」
「ほら。それですよ」
「ア?」
若干苛つきながらもう一度ジェイドを見れば今度はこちらを見ていた。真面目な顔で唇のキュッと結んで見つめていた。真剣とはいいがたい質問だったが相手はこちらが思うよりも真剣さを帯びている。
今度こそ作業の手を止めて立ち上がる。それにつられるようにジェイドも立ち上がった。ほぼ変わらない目線で見つめられるとどうにも居心地が悪い。だが、視線を逸らしたくはなくて見つめ返しながらもう一度「なんだよ」と返す。
「はぁ。ですから、それです。少し前の貴方は僕に尊敬の念を込めて尻尾まで振っていたじゃないですか。今じゃその面影も薄れて塩分濃度が高めの態度ですよ」
「んだよ。あんたのことは……まぁ尊敬しているぜ。主に魔法薬学に対してはな」
「僕に幻滅したんですか」
眉を下げて悲しげな雰囲気を醸し出すジェイドにジャックは顔を険しくさせる。
「俺からすれば〝それ〟なんだよ」
「どれです」
「だから、その胡散臭さ」
ジェイドの胡散臭さなんてイソギンチャクの件やキクラゲ原木の件など分かっていたはずだった。だのに、どうにもオクタヴィネル寮はアズールやフロイドの印象が強く彼の胡散臭さをすっかりすっぽりと隠れてしまっていて印象に薄い。でも、こうして交流すれば彼の胡散臭さは流石あのオクタヴィネルの三人組と言える。
「先輩に対して胡散臭いはないでしょう」
途端にいつもの口角を上げた上品な微笑みにジャックは半眼になる。
「うさんくせぇよ。でも、一部は尊敬しているところはしている。それだけでいいだろ。それともあんたは俺が目キラキラさせてただ先輩と慕う可愛い後輩のままが良かったかよ」
「お望みならしてやるぜ」と兆発すれば彼は顎に手をかけて考え込む。
あまりにも考え込むのでジャックは片眉を上げて少し不満気に口を開く。
「んだよ。あんたはそっちがいいのか?」
「確かに。貴方は僕に対して塩対応になりました。それに不満はあったのですが……うん。初期化したジャックくんのことを考えると物足りないな、と」
「じゃぁ、このままで問題ねぇな。ほら、ジェイド先輩、作業に戻るぜ」
しゃがんで薬草に手を伸ばしかけたときだった。不意に手首を掴まれた。その手は確認しなくても分かる。けれど、視線はどうしても彼に向いてしまう。
隣に同じようにしゃがんだジェイドはやはり胡散臭い笑みを浮かべている。でも、どこか先ほどと違う妖しさを漂わせた。
くっそ。あんたの〝それ〟も嫌なんだよ。
ただの先輩後輩か切り替わった微笑みにジャックは喉を鳴らす。
威嚇めいた唸り声にジェイドは口を開く。
「普段はその塩梅でいいかもしれませんね」
「それに」と勿体ぶった言葉に身構える。途端に薄い唇が微かに開きギザギザの歯を見せ微笑んだジェイドが愉しげに言い放った。
「恋人のときの貴方がとても可愛く見えますしね」
愉しそうな彼に思い切りジャックは舌打ちを返すが、何かを見透かされたように不意に頬にキスされた。
「最近ジャックくんは僕に塩対応ですよね」
授業で使う薬草を回収する手を止める。言葉の発信源である隣で薬草を同じように回収しているジェイドを見る。ジェイドはこちらを見ることなく別の薬草を回収していた。ならばこちらも手を止めることではないと作業を再開しながら素っ気なく答える。
「なんだよ」
「ほら。それですよ」
「ア?」
若干苛つきながらもう一度ジェイドを見れば今度はこちらを見ていた。真面目な顔で唇のキュッと結んで見つめていた。真剣とはいいがたい質問だったが相手はこちらが思うよりも真剣さを帯びている。
今度こそ作業の手を止めて立ち上がる。それにつられるようにジェイドも立ち上がった。ほぼ変わらない目線で見つめられるとどうにも居心地が悪い。だが、視線を逸らしたくはなくて見つめ返しながらもう一度「なんだよ」と返す。
「はぁ。ですから、それです。少し前の貴方は僕に尊敬の念を込めて尻尾まで振っていたじゃないですか。今じゃその面影も薄れて塩分濃度が高めの態度ですよ」
「んだよ。あんたのことは……まぁ尊敬しているぜ。主に魔法薬学に対してはな」
「僕に幻滅したんですか」
眉を下げて悲しげな雰囲気を醸し出すジェイドにジャックは顔を険しくさせる。
「俺からすれば〝それ〟なんだよ」
「どれです」
「だから、その胡散臭さ」
ジェイドの胡散臭さなんてイソギンチャクの件やキクラゲ原木の件など分かっていたはずだった。だのに、どうにもオクタヴィネル寮はアズールやフロイドの印象が強く彼の胡散臭さをすっかりすっぽりと隠れてしまっていて印象に薄い。でも、こうして交流すれば彼の胡散臭さは流石あのオクタヴィネルの三人組と言える。
「先輩に対して胡散臭いはないでしょう」
途端にいつもの口角を上げた上品な微笑みにジャックは半眼になる。
「うさんくせぇよ。でも、一部は尊敬しているところはしている。それだけでいいだろ。それともあんたは俺が目キラキラさせてただ先輩と慕う可愛い後輩のままが良かったかよ」
「お望みならしてやるぜ」と兆発すれば彼は顎に手をかけて考え込む。
あまりにも考え込むのでジャックは片眉を上げて少し不満気に口を開く。
「んだよ。あんたはそっちがいいのか?」
「確かに。貴方は僕に対して塩対応になりました。それに不満はあったのですが……うん。初期化したジャックくんのことを考えると物足りないな、と」
「じゃぁ、このままで問題ねぇな。ほら、ジェイド先輩、作業に戻るぜ」
しゃがんで薬草に手を伸ばしかけたときだった。不意に手首を掴まれた。その手は確認しなくても分かる。けれど、視線はどうしても彼に向いてしまう。
隣に同じようにしゃがんだジェイドはやはり胡散臭い笑みを浮かべている。でも、どこか先ほどと違う妖しさを漂わせた。
くっそ。あんたの〝それ〟も嫌なんだよ。
ただの先輩後輩か切り替わった微笑みにジャックは喉を鳴らす。
威嚇めいた唸り声にジェイドは口を開く。
「普段はその塩梅でいいかもしれませんね」
「それに」と勿体ぶった言葉に身構える。途端に薄い唇が微かに開きギザギザの歯を見せ微笑んだジェイドが愉しげに言い放った。
「恋人のときの貴方がとても可愛く見えますしね」
愉しそうな彼に思い切りジャックは舌打ちを返すが、何かを見透かされたように不意に頬にキスされた。
2/15ページ