アズール
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今ここに永遠の愛を誓います
「なんで、これが……」
ベルベットケースの台座にちょことん乗っているネオンブルーアパタイトをメインにつかったブローチ。宝石を囲うように作られた銀のフレームのデザインは真剣に選んだから見間違うはずがない。
「アズールへの誕生日プレゼントが何でここにあるの?」
サァと血の気が引いていく。今日は恋人のアズールの誕生日。恋人となって初めての誕生日だから形になるものがいいと思ってブローチを贈ることにした。
宝石からデザインから行きつけの老舗工房で依頼して完璧なものができた。そのブローチが何故か私の手元にある。
本来ここにあるべきなのは私が修理に出していたブローチだ。だのに、何故手元には大切な恋人に贈られるはずのブローチなのだ。
「なんで……」
依頼した工房の主人やスタッフが間違うはずない。ないけれど――ひとつ心当たりがあった。
「あのお弟子くん?」
依頼したときにいた工房主人の孫息子を紹介された。その孫息子は弟子になったというが頼りなさそうな風貌をしていた。しかもどうやら根っからのおっちょこちょいらしい。本人も自覚済み故に確認が必要で申し訳ないと言っていた。
つまり、今回そのおっちょこちょいが発揮されたというわけだ。いや、彼一人を疑ってはいけない。もしかした、何かの弾みでパッと入れ替わったのかもしれない。
もうここはどうでもいい。起こってしまったことを考えるなど無駄だ。それよりも私が今気にしないといけないのはアズールの方へ行ってしまった私のブローチだ。
「はぁ。でもよりによってあのブローチのときに起きるの!」
ギュッと藍色のベルベットのケースを握る。その間も冷や汗が止まらない。
「落ち着いて、落ち着い――落ち着きたいけど~~」
あのブローチだけはダメだ。まだ、というか、あんな重い意味を持ったブローチを未成年のアズールが手にしてはいけない。いや、私個人としては贈りたいけれど、今はそうじゃなくて、タイミングが、時期が悪い。
「別にアズールが持つことは全然悪くない。それに周りもその意味を知らなかったらいいけど」
あの学園には父方の従弟が通っている。しかも、同じ寮に所属している。冷や汗がまたじんわりと滲んで来る。それに写真をマジカメにアップでもされたら最後だ。
「あ、でも、着けていなければいいのよね」
それなら問題ない――わけじゃない。ダメだ。今日着けていなくても外出先のパーティーで着けてしまったら。それをパパラッチされたら大変だ。
「や、やっぱり、すぐに確認しよう」
時間を見ればお昼の時間だ。それならば授業もなく電話に出てくれるだろう。念のためテレビ電話にしよう。
すぐに目の前のスマホを手に取ってアズールに電話をかける。
早く、早く、早く、と念じる数コール目でパッとアズールが画面に映った。私はいつもより高めの声で彼を呼んだ。
「アズール!」
「っ、ど、どうしたんですか」
「あ、ごめん。ちょっと急いでいて、あの今時間平気かしら」
「え、ええ。大丈夫ですよ」
目を丸くさせたアズールはぎこちなく頷く。早速訊ねようと思ったがそれの前にと私は
「お誕生日おめでとう」と祝いの言葉を捧げた。バースデーカードを同封していたけれどやっぱり直接言う方がお祝い感も増すだろうから。
「ありがとうございます」
照れくさそうに返事をしながら眼鏡のブリッジをあげるアズール。照れているのがすぐに分かる反応にほっこりとしていたがそんな場合じゃない。
じっと画面を見つめるがスマホの角度のせいか、ブローチを着けているかわからない。もうこれは直球で聞くしかない。
「アズール、プレゼントのブローチなんだけど」
「ああ。このブローチですか?」
いつもの黒い制服のジャケットではなく誕生日の生徒が着ると聞いた白いジャケットが画面に映った。そして、その真っ白なジャケットの襟に間違って贈ってしまった例のブローチが着けられていた。
「さっそく着けてくれたの……」
終わったと真っ白になった私が言えばアズールは可愛く微笑んで頷いてくれた。
「せっかくですし。もこのジャケットに似合うと思ったので」
「そう……で、アズール。私の従弟が同じ寮にいるけれど」
「ああ。彼ですね。そういえば朝、彼からもバースデーカードを頂いたんですが」
何だかとても驚いていたんですよね、と言う彼に私はスマホを持っていなければ頭を抱えているところだった。
「あの、何か問題でも」
私の異変を感じたアズールが眉を寄せて訊ねてきた。それに「いいえ」とも言えずにもう素直に説明することにした。
「実はね。そのブローチ間違えなの。それは私のブローチなのよ」
あなたへの誕生日プレゼントはこっち。台座からブローチを取って見せる。アズールは瞬く間に驚愕に目を見開き慌て出す。
「それなら早く言ってください! すぐに送り返します!」
あわあわする彼に私は「待って、待って」と返す。
「何ですか!」
「うん。えっと、ちょっとまず着けているところを見られちゃったのよね。だから、ちょっと、説明する時間をくれる」
「説明ですか?」
怪訝なアズールに頷く。まずは、と宝石について説明する。
「そのブローチに使っている宝石は私の父方の一族が所有する鉱山でしか採掘できない希少なものなの」
一見ただのブルーダイヤモンドにも見える宝石。だが、宝石は時間ごとに色味が変わっていく。朝は薄い青。昼は鮮やかな水色。そして、夜になると真っ青になる。徐々に色が変わる不思議な宝石で魔法石の亜種とも言われている。
「……色味が深まっていくのでもしや、とは思ったのですが」
「流石アズールねぇ。目の付け所が違うわ」
「いやいや、これで褒められても、じゃないですよ! というか、当たりなんですか!」
「そう正解よ」
じゃ、次はブローチについてね、と話しを続ける。
「私の父方の一族は新しい家族が誕生したときにそれを採掘する。そして、宝石に加工してお披露目会のときに贈られるの。世界のたった一つの大切な贈物なの」
「そ、そんな大切なものなんですか」
いつの間にかジャケットから外したアズールの表情から焦りが滲んでいる。確かにここまで話せばとても大切なものだと言うことが分かる。だけど、それだけではない重要な意味がそのブローチにはあるの。
「でね。その一点もののブローチを将来番いとなると約束した人または番いとなる人に贈るのが習慣なの」
「つ、番い!」
目ん玉飛び出そうなほど驚いた顔をしたと思ったら白い頬が真っ赤に染まる。薔薇を散らしたような赤というのはこういう色なのかもしれない。
「つ、つまり、あなたの従弟が驚いたのって、」
「婚約したと思われたかもね」
だって、彼は私があのブローチを着けたところを何度も見ている。さらに言えば私がたぶんアズールを特別に想っていることも気づいている。勘のいい子だから。その中で、誕生日にアズールが例のブローチをしていたら彼は「ようやくか」とか思っただろう。
「もしかしたら叔母様か叔父様に確認しているかも」
「何を呑気なことを言っているんですか」
「だって、もうアズールしちゃったし」
「僕の所為だって言うんですか!」
切れたアズールに私は首を横に振る。
「そうじゃないったら。でも、身内に見られたらほぼ全員に伝わるわ。だから、その、ブローチが私の手元に戻ってきたら――破局になるわ」
濁しながらも最後にはっきり告げる私にアズールは勘よく働き今度は真っ青になった。
「別れることになるんですか!」
馬鹿なと言いたげなアズールに私は苦笑いをした。
「実際にあったから一度贈ったけれど他に運命の人が現れたからってつっかえされたっての。あと、逆に君ではない人を愛したから返せっていうパターンとか」
だから、父方の一族では一度贈り戻って来たものは破局したことを意味する。
「なら、返しません」
「でもね。アズールあなた未成年よ」
「だからなんですか」
眼鏡のレンズ越しに深海のように深い青の瞳で睨みつけられる。何だか猫のような可愛らしさを覚えるけれど困った。
「破局にはしないように根回しするから一端返してちょうだい」
「……別の雄 に贈るんですか」
「なんでそうなるの」
お利口さんだから返してといってもアズールは首を横に振る。本当に子どもみたい。
「はぁ。未成年のあなたには荷が重いでしょ。でも、あの、成人したらちゃんとリメイクしてプレゼントするから」
これ自分で言っていてなんだかプロポーズではないだろうか。いや、でも私はこのままそれでもいいけれど。たぶん、他に好きな雄など一生現れないし。
「僕も他の雌 に乗り換える予定ないですよ」
「あなた三つ年下でしょ。わからないわよ」
可愛い人魚やヒト属に、獣人属もしかしたら妖精族とも出逢えるかもしれない。
「まだ世界は広がるのよ」
「っっ~~! あなたはまだそんなこと言うんですか!」
わかれよ、と荒く叫ぶアズール。そんな叫んで大丈夫な場所なのだろか。ちょっと不安になってくるけれど聞ける雰囲気でもない。それにアズールが顔を真っ赤にしながら画面越しに迫りながら声をあげる。
「だから! あなたには僕しかいないし、僕はあなたがいいって何度言えばいいんですか!」
もう、もう、と憤慨するアズールに私は言われた言葉にやっぱり嬉しくなる。そして、不安になるたびに何度でも聞きたい台詞だ。
「……ずっと言ってくれるといいわね」
言ってくれるのでしょ、と暗に聞き返す。私の言葉を優秀なアズールは受け取ったのだろう。前髪を掴みながら「言いますよ」とかえしてくれた。ならば、私も想いを返そう。
「なら、持っていてちょうだい」
できれば永遠に私が死ぬそのときまで肌身離さず持っていてほしい。
「ええ。持っていますよ」
大切に、というアズールに私はまた彼への愛おしさが込み上げたのだった。
「なんで、これが……」
ベルベットケースの台座にちょことん乗っているネオンブルーアパタイトをメインにつかったブローチ。宝石を囲うように作られた銀のフレームのデザインは真剣に選んだから見間違うはずがない。
「アズールへの誕生日プレゼントが何でここにあるの?」
サァと血の気が引いていく。今日は恋人のアズールの誕生日。恋人となって初めての誕生日だから形になるものがいいと思ってブローチを贈ることにした。
宝石からデザインから行きつけの老舗工房で依頼して完璧なものができた。そのブローチが何故か私の手元にある。
本来ここにあるべきなのは私が修理に出していたブローチだ。だのに、何故手元には大切な恋人に贈られるはずのブローチなのだ。
「なんで……」
依頼した工房の主人やスタッフが間違うはずない。ないけれど――ひとつ心当たりがあった。
「あのお弟子くん?」
依頼したときにいた工房主人の孫息子を紹介された。その孫息子は弟子になったというが頼りなさそうな風貌をしていた。しかもどうやら根っからのおっちょこちょいらしい。本人も自覚済み故に確認が必要で申し訳ないと言っていた。
つまり、今回そのおっちょこちょいが発揮されたというわけだ。いや、彼一人を疑ってはいけない。もしかした、何かの弾みでパッと入れ替わったのかもしれない。
もうここはどうでもいい。起こってしまったことを考えるなど無駄だ。それよりも私が今気にしないといけないのはアズールの方へ行ってしまった私のブローチだ。
「はぁ。でもよりによってあのブローチのときに起きるの!」
ギュッと藍色のベルベットのケースを握る。その間も冷や汗が止まらない。
「落ち着いて、落ち着い――落ち着きたいけど~~」
あのブローチだけはダメだ。まだ、というか、あんな重い意味を持ったブローチを未成年のアズールが手にしてはいけない。いや、私個人としては贈りたいけれど、今はそうじゃなくて、タイミングが、時期が悪い。
「別にアズールが持つことは全然悪くない。それに周りもその意味を知らなかったらいいけど」
あの学園には父方の従弟が通っている。しかも、同じ寮に所属している。冷や汗がまたじんわりと滲んで来る。それに写真をマジカメにアップでもされたら最後だ。
「あ、でも、着けていなければいいのよね」
それなら問題ない――わけじゃない。ダメだ。今日着けていなくても外出先のパーティーで着けてしまったら。それをパパラッチされたら大変だ。
「や、やっぱり、すぐに確認しよう」
時間を見ればお昼の時間だ。それならば授業もなく電話に出てくれるだろう。念のためテレビ電話にしよう。
すぐに目の前のスマホを手に取ってアズールに電話をかける。
早く、早く、早く、と念じる数コール目でパッとアズールが画面に映った。私はいつもより高めの声で彼を呼んだ。
「アズール!」
「っ、ど、どうしたんですか」
「あ、ごめん。ちょっと急いでいて、あの今時間平気かしら」
「え、ええ。大丈夫ですよ」
目を丸くさせたアズールはぎこちなく頷く。早速訊ねようと思ったがそれの前にと私は
「お誕生日おめでとう」と祝いの言葉を捧げた。バースデーカードを同封していたけれどやっぱり直接言う方がお祝い感も増すだろうから。
「ありがとうございます」
照れくさそうに返事をしながら眼鏡のブリッジをあげるアズール。照れているのがすぐに分かる反応にほっこりとしていたがそんな場合じゃない。
じっと画面を見つめるがスマホの角度のせいか、ブローチを着けているかわからない。もうこれは直球で聞くしかない。
「アズール、プレゼントのブローチなんだけど」
「ああ。このブローチですか?」
いつもの黒い制服のジャケットではなく誕生日の生徒が着ると聞いた白いジャケットが画面に映った。そして、その真っ白なジャケットの襟に間違って贈ってしまった例のブローチが着けられていた。
「さっそく着けてくれたの……」
終わったと真っ白になった私が言えばアズールは可愛く微笑んで頷いてくれた。
「せっかくですし。もこのジャケットに似合うと思ったので」
「そう……で、アズール。私の従弟が同じ寮にいるけれど」
「ああ。彼ですね。そういえば朝、彼からもバースデーカードを頂いたんですが」
何だかとても驚いていたんですよね、と言う彼に私はスマホを持っていなければ頭を抱えているところだった。
「あの、何か問題でも」
私の異変を感じたアズールが眉を寄せて訊ねてきた。それに「いいえ」とも言えずにもう素直に説明することにした。
「実はね。そのブローチ間違えなの。それは私のブローチなのよ」
あなたへの誕生日プレゼントはこっち。台座からブローチを取って見せる。アズールは瞬く間に驚愕に目を見開き慌て出す。
「それなら早く言ってください! すぐに送り返します!」
あわあわする彼に私は「待って、待って」と返す。
「何ですか!」
「うん。えっと、ちょっとまず着けているところを見られちゃったのよね。だから、ちょっと、説明する時間をくれる」
「説明ですか?」
怪訝なアズールに頷く。まずは、と宝石について説明する。
「そのブローチに使っている宝石は私の父方の一族が所有する鉱山でしか採掘できない希少なものなの」
一見ただのブルーダイヤモンドにも見える宝石。だが、宝石は時間ごとに色味が変わっていく。朝は薄い青。昼は鮮やかな水色。そして、夜になると真っ青になる。徐々に色が変わる不思議な宝石で魔法石の亜種とも言われている。
「……色味が深まっていくのでもしや、とは思ったのですが」
「流石アズールねぇ。目の付け所が違うわ」
「いやいや、これで褒められても、じゃないですよ! というか、当たりなんですか!」
「そう正解よ」
じゃ、次はブローチについてね、と話しを続ける。
「私の父方の一族は新しい家族が誕生したときにそれを採掘する。そして、宝石に加工してお披露目会のときに贈られるの。世界のたった一つの大切な贈物なの」
「そ、そんな大切なものなんですか」
いつの間にかジャケットから外したアズールの表情から焦りが滲んでいる。確かにここまで話せばとても大切なものだと言うことが分かる。だけど、それだけではない重要な意味がそのブローチにはあるの。
「でね。その一点もののブローチを将来番いとなると約束した人または番いとなる人に贈るのが習慣なの」
「つ、番い!」
目ん玉飛び出そうなほど驚いた顔をしたと思ったら白い頬が真っ赤に染まる。薔薇を散らしたような赤というのはこういう色なのかもしれない。
「つ、つまり、あなたの従弟が驚いたのって、」
「婚約したと思われたかもね」
だって、彼は私があのブローチを着けたところを何度も見ている。さらに言えば私がたぶんアズールを特別に想っていることも気づいている。勘のいい子だから。その中で、誕生日にアズールが例のブローチをしていたら彼は「ようやくか」とか思っただろう。
「もしかしたら叔母様か叔父様に確認しているかも」
「何を呑気なことを言っているんですか」
「だって、もうアズールしちゃったし」
「僕の所為だって言うんですか!」
切れたアズールに私は首を横に振る。
「そうじゃないったら。でも、身内に見られたらほぼ全員に伝わるわ。だから、その、ブローチが私の手元に戻ってきたら――破局になるわ」
濁しながらも最後にはっきり告げる私にアズールは勘よく働き今度は真っ青になった。
「別れることになるんですか!」
馬鹿なと言いたげなアズールに私は苦笑いをした。
「実際にあったから一度贈ったけれど他に運命の人が現れたからってつっかえされたっての。あと、逆に君ではない人を愛したから返せっていうパターンとか」
だから、父方の一族では一度贈り戻って来たものは破局したことを意味する。
「なら、返しません」
「でもね。アズールあなた未成年よ」
「だからなんですか」
眼鏡のレンズ越しに深海のように深い青の瞳で睨みつけられる。何だか猫のような可愛らしさを覚えるけれど困った。
「破局にはしないように根回しするから一端返してちょうだい」
「……別の
「なんでそうなるの」
お利口さんだから返してといってもアズールは首を横に振る。本当に子どもみたい。
「はぁ。未成年のあなたには荷が重いでしょ。でも、あの、成人したらちゃんとリメイクしてプレゼントするから」
これ自分で言っていてなんだかプロポーズではないだろうか。いや、でも私はこのままそれでもいいけれど。たぶん、他に好きな雄など一生現れないし。
「僕も他の
「あなた三つ年下でしょ。わからないわよ」
可愛い人魚やヒト属に、獣人属もしかしたら妖精族とも出逢えるかもしれない。
「まだ世界は広がるのよ」
「っっ~~! あなたはまだそんなこと言うんですか!」
わかれよ、と荒く叫ぶアズール。そんな叫んで大丈夫な場所なのだろか。ちょっと不安になってくるけれど聞ける雰囲気でもない。それにアズールが顔を真っ赤にしながら画面越しに迫りながら声をあげる。
「だから! あなたには僕しかいないし、僕はあなたがいいって何度言えばいいんですか!」
もう、もう、と憤慨するアズールに私は言われた言葉にやっぱり嬉しくなる。そして、不安になるたびに何度でも聞きたい台詞だ。
「……ずっと言ってくれるといいわね」
言ってくれるのでしょ、と暗に聞き返す。私の言葉を優秀なアズールは受け取ったのだろう。前髪を掴みながら「言いますよ」とかえしてくれた。ならば、私も想いを返そう。
「なら、持っていてちょうだい」
できれば永遠に私が死ぬそのときまで肌身離さず持っていてほしい。
「ええ。持っていますよ」
大切に、というアズールに私はまた彼への愛おしさが込み上げたのだった。
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