秘密のメッセージ
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アズール視点
ついに2月に入り、もうすぐ僕は〝18歳〟になる。
珊瑚の海では〝成人〟の年齢だ。大人の仲間入りをするけれど、僕はまだ学生で、10代であることに変わりはない。同時に彼女が僕よりも3歳も年上であることもまた変わらない。同じと言っていいのは学生という身分だろうか。
もう何度確認したことか。そして、何度確認したところでこの事実は変わらない。
たかが3歳だ。大人になれば些末な年齢差。だというのに、この時期はこの3歳差がどうにも大きい。
恨めしい、という感情を抱くようになったのは、ユニーク魔法を取得したときだっただろうか。それとももう少し前だっただろうか。まだ泣き虫の墨吐き坊やだったときはこんな感情はなかった気がする。
あの頃の彼女は僕からしたらただただ眩しい存在だった。身の程知らずの感情だった。でも、今は違う――と胸を張って言いたいが。
彼女は昔から僕に対する態度は何も変わらない。
優しいといえば優しい。それも同情から来るような憐みはない。ならば、彼女の妹たちのように僕を弟という扱いをしているかといえばそうでもない。なら、ジェイドやフロイドたちのように年上らしい態度をしているかといえば違う。
僕に対する距離感というのか? それも正直いまひとつ分からない。
幼馴染というのはこういうものなのか?
他に幼馴染と言えるの、まずはジャミルさんに、カリムさん。でもあの二人は幼馴染の前主従関係があるから論外。次に幼い頃から一緒に修行しているというシルバーさんとセベクさん。あちらも幼馴染というよりも、兄弟子と弟弟子という関係性がある。
「ああ。そういえばリドルさんとトレイさんも幼馴染なんでしたっけ?」
でも、この二人も寮長と副寮長という印象が強いし。そもそもあの二人は兄弟にも見えなくもない。
「あとは――ああ。そういえばヴィルさんとジャックさんも同郷でしたっけ?」
随分親し気だったから尋ねてみたら子どもの頃一緒の街に住んでいた期間があるとか。となると、彼女と僕の間柄とはまた違う。
「それでも幼馴染であることは変わらない、か」
歳の差のある幼馴染は〝きょうだい〟関係に陥りやすいがそれはつまり恋愛対象からほど遠いともいえる。それだけは絶対に避けたい。
まずは彼女が僕のことを〝弟〟に見ていなければ問題ない。だが、ここで問題なのが彼女の恋愛対象や恋愛観が掴めない。
真珠のように輝く美貌と謳われるほど彼女は、ルーシーは美しい人魚だ。異性だけではなく同性からも恋情を向けられてもおかしくはない。というか、実際同性からも交際申し込みがあったとか、なかったとか。きっと数えきれないほど、アプローチを受けたに違いない。一応、調べた限りでは恋人という恋人がいた形跡はない。
ここまで来るともしかしたら恋愛感情というものがないのではとも思う。調べていく中で恋愛感情を持たない人もいると言う。恋とは、人間関係とは、なんて奥深い、と思ったほどだ。
「だからあらゆる案を講じるしかない」
アプローチするにあたりルーシーの恋愛観を予想してプランを立てた。
分厚いファイルを見て満足する思いがあるが不安はぬぐえない。それが〝恋〟というものなのかもしれない。
「……まずは手始めに2月14日」
むず痒いことを考え追い払うように最初の一手を考える。
2月14日は各国で恋人、家族、友人同士に愛を伝える日。おおむねどこの国でも恋人や夫婦のイベントとなっている。珊瑚の海でも例外ではなくその日は贈り物を送り合って、食事をする日だ。
その日は母のレストランテも忙しかったのを覚えている。きっと今年もまた予約で埋まり忙しいのだろう。
この日、ルーシーや彼女の妹である双子も贈り物をくれる。出会ってから毎年だ。
きっと今年もあるだろう。そして、僕も彼女たちに返す贈り物をすでに準備しているが、ルーシーのみ今年は趣向を変えるつもりだ。
昨年度まで妹たちとはいつも違うが彼女は気づいている様子はない。だが、僕は今年成人する。本格的なアプローチをする初年度だ。はっきりと、分かりやすく変える。
とはいえ、いきなり張りきった品のないものにはしない。ルーシーは珊瑚の海でも有名な音楽一家の令嬢だ。下手なものは贈れない。だが、高価な物が好きなわけではないのもとっくの昔に知っている。だが背伸びしたものにならないように。絶対に微笑ましい対象にならないように。
これほど神経を使ったのは初めて彼女から贈り物をもらった時以来だ。細心の注意を払った贈り物は果たしてルーシーは気に入ってくれるのだろうか。
これが同い年ならもっと分かりやすくできるのにやはり3歳の年齢差が恨めしい。
「大人になれば3歳差など同年代扱いだというのに、」
今だって同じでいいだろう。同じでと年齢差に悪態をつきながらカレンダーの14日を睨みつけた。
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